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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

9月C定期(プレヴィン指揮)

2007年09月14日 | N響公演の感想(~2016)
9月14日(金)アンドレ・プレヴィン指揮 NHK交響楽団
《9月Cプロ》 NHKホール

【曲目】
1.ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」
2.ラヴェル/ピアノ協奏曲ト長調
Pf:ジャン・イヴ・ティボーデ
3.ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)

プレヴィン/N響の2つめのプログラムを聴いた。あのモーツァルトを聴いたらもうこっちも聴くしかない。

「マ・メール・ロア」の何ともソフトなタッチ。柔らかで滑らかな弦に甘い管が溶ける。ん~、でもちょっとありがた過ぎる気が… 何だか悟りを開いたような境地で、もっと遊びがあったほうが面白いのでは… 全体的に静かな音楽だが、終曲では思いっきり盛り上げて欲しいのだが、これもとても理性的で神父さまか坊さんのありがたいお話を聞いている感じ。

ピアノコンチェルトではティボーデの澄んだピアノの美しい音が耳に沁みる。それにリズム感が素晴らしい。ボコボコと細かい泡がどんどん浮かび上がって割れるような気持ちよさ。オケもいい。とりわけ柔らかい部分が絶品。でも、ジャズ的な部分で期待していたプレヴィンのスウィング的なご機嫌なリズム感の冴えはあまり伝わってこない気が…

そして大曲「ダフニスとクロエ」。ここではN響の管楽器の妙技が耳を引く。神田さんの澄み切った伸びやかなフルートは全曲を通して明るい光を投げていたし、池田さんのイングリッシュホルンの粘っこい湿感のある歌もいい。ホルン1番さんの健闘ぶりも目を見張る。クラ、オーボエ、関山さんのトランペット… どれも頼もしいばかりにハイレベルの歌を奏でる。弦も相変わらず柔らかく美しいハーモニーを聴かせてくれる。

けれど演奏全体としての印象はというと、どうもはっきりしない。柔らかなタッチはもちろん素晴らしいし、アンサンブルとしても充実した音を鳴らしているのだが、何が足りないのだろうか… テンポが遅めなのはいいとして、何と言うか「強引さ」という表現は適切ではないかも知れないが、強力にある到達点に向かって音楽がエネルギーをみなぎらせて盛り上がっていく瞬間についぞお目にかかることができなかった。

「夜明け」のクライマックスではドキドキするような眩いばかりの光線の代わりに、楽園の明るい陽光に満たされた幸福感に浸るような演奏になったのは「こういうのもありかな…」と思えたのだが、「全員の踊り」の最後の最後も「クライマックスはいつやって来るのか?」と思っているうちに終わってしまった感じ。これがプレヴィンの意図した演奏だったのか… ちょっとよくわからない。
来週のラフマニノフに期待!


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