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お気に入りblah-blah-blah

個人的にブームなもの,これお薦め!って思ったモノ・コトについてつらつらと。

「犯人に告ぐ」 雫井脩介著

2005年05月31日 10時05分48秒 | 読書
雫井脩介(しずくいしゅうすけ)氏のミステリー「犯人に告ぐ」,
かなり分厚いのですが,通勤電車の中であっという間に読んじゃいました。

雫井氏の著書は「火の粉」を読んだことがあり,これが2冊目です。

~出版社の紹介文引用~
神奈川県下で連続児童殺人事件が発生。
特別捜査官,巻島は夜のニュース番組に出演し,姿見えぬ犯人との対話を試みる。
長編警察小説。


キーワードは劇場型捜査です。

「劇場型犯罪」なら聞いたことあるけど,「劇場型捜査」!?
このプロットが斬新で良かったです。
また,単に警察vs犯人というだけでなく,マスコミ(テレビ局)のあり方をも問う作品で,
そういう観点でも興味深く読めました。

そして,主人公巻島が魅力的。描写が丁寧で,彼のキャラクターがしっかりと伝わってきました。
もし映画化されたりしたら配役は誰がいいかしら?
渋いところで役所広司?今をときめく渡辺謙?それとも寺尾聰?ちょっと線が細いかしら。
うーん。。。などと勝手に悩んでみたりして
テレビのニュース番組を通して,「犯人に告ぐ!」って言って,
巻島が犯人に宣戦布告するシーンが,一番の見せ場になるだろうなあ・・・

ただ,対犯人の部分よりむしろ,巻島vs植草(キャリアで巻島の上司)の駆け引き部分が
面白かったです。公私混同しまくりの植草を出し抜いたところは,ホントすっきりした~。

・・・と,全体的にはかなり面白かったのですが,肝心の犯人逮捕のところはあっけない感じが否めません。
まだ犯人見えてこないのに,あとページはこれしか残ってない・・・と不安になりながら読み進めたら,
えぇ~そんなあっさりって・・・。ちょっと残念。

長編ですが,とても読みやすいです!

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

「幸福な食卓」 瀬尾まいこ著

2005年05月18日 11時31分32秒 | 読書
瀬尾まいこさんの作品を読んだのはこれが初めてです。

本の帯より
大きなものをなくしても、まだあった、大切なもの。
とっても切なくて、ちょっとおかしくて、あったまる。
いま最注目の作家が放つ、心にふわりと響く長編小説!
父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。
そして、その悲しい出来事のあとも……。
泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。


ここのところ,男性作家の骨っぽい作品ばかり読んでいたので,
なんかホンワカしたやさしい文体が新鮮で良かったです。

主人公佐和子の家族はちょっと変わっています。
朝の食卓で「父さんは今日で父さんをやめようと思う」と衝撃的な発言をし,
仕事を辞め,大学受験のために勉強を始めた父。
家出中なのに,料理を作りに来たりする母。
天才の名をほしいままにしていたにも関わらず,すべてを捨ててしまった兄・直ちゃん。
そんな,変わっているけれど,優しく温かい家族に囲まれた佐和子の
中学高校時代を描いた作品です。

決してハッピーな出来事ばかりを描いた物語ではありませんが,心が温かくなりました。
こういう読後感って好きです。読んでよかったなあ。

ただ,ものすごく読みやすくて,長編小説!なんて書いてある割に短かったので
ただでさえ読むのが速い私は,通勤電車2往復で読みきっちゃいました。
もう少し,じっくりと,ゆったりした気持ちで読みたい作品です。
暖かな陽だまりの中で,ふかふかソファーに身を沈めて,カフェオレなどを飲みながら・・・

ちなみにこの作品,2005年吉川英治文学新人賞受賞作だそうです。
ふむふむ・・・納得です。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。


「日輪の遺産」 浅田次郎著

2005年05月11日 15時36分40秒 | 読書
現在私の好きな作家ベスト5に入る浅田氏の作品です。
たくさん読んだと思っても,まだ読んでなかったものが結構あるんですよね~。

「帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。
老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が、50年たった今、明らかにされようとしている。
財宝に関わり生きて死んでいった人々の姿に涙する感動の力作。」
~出版社・著者からの内容紹介文引用 



現代と過去の2つの時間軸で物語が進行していきます。
よくあるパターンともいえますが,私こういうの好きなんですよね。
ボーっと読んでいると「あら?いつの間に切り替わった?」と,ちょっと戻って読み返さなきゃならなかったりしましたが。

「蒼穹の昴」「壬生義士伝」(←わたしはこの2作が大好き!)と比べると,
荒っぽい感じで,物語の洗練度が若干劣る気はしますが(←私ってば何様でしょうか。),
読んで良かったなーと思える力作でした。

一番心打たれたのは,歴史に翻弄され,自ら犠牲になった勤労動員の女学生たちです。
また,彼女たちを守りきれなかった先生,
国のため財宝隠匿の密命と女学生たちを助けたい気持ちの間で悩む軍人もまた悲しい。
現代に生きる私たちからは理解できないぐらいの純粋さが泣かせます
フィクションであっても,かつての日本人の誇り,骨太さ,純粋さと,
現代の日本人を比べてみて,考えさせられるところが大きかったです。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。


「珍妃の井戸」 浅田次郎著 

2005年04月26日 15時42分27秒 | 読書
文庫になった「珍妃の井戸」を買いました。
浅田次郎氏の「蒼穹の昴」(←すごく良い)に続く清朝宮廷ミステリー・ロマンです。

「蒼穹の昴」の後,1902年(義和団事件の2年後)列強が中国を侵略していく
(←世界史で習いましたよね,そんな風なこと。もはや薄っすらとしか覚えてないことが悲しい
あの時代が舞台になっています。

「蒼穹の昴」を読んでなくても分かる内容ですが,
共通の登場人物も多いので,まず「蒼穹の昴」を先に読むことをお薦めします。
※「蒼穹の昴」は,「珍妃の井戸」を読むためにというより,単独でもとてもお薦めしたい作品。

義和団事件の際,列強の連合軍が義和団や清の正規軍を打ち破り,北京になだれ込んできたときに,
その混乱の最中,光緒帝(載恬)の寵愛を受けた美しい側室珍妃が
何者かによって紫禁城内の小さく深い井戸に頭から投げ込まれ命を落としました。
いったい珍妃は誰に殺されたのか。
その謎を英国海軍提督ソールスベリー,ドイツ軍大佐シュミット,
ロシア公爵ペトロヴィッチ,日本大学教授の松平が調査によって明らかにしてゆく・・・
というストーリーです。

関係者の証言をリレー形式で綴っているのですが,人によって証言が全く違うため
なかなか真実が明らかになりません。誰が本当のことを言ってるの

「蒼穹の昴」と比べると,スケール感で劣るものの,ミステリ色が濃く,
推理小説のような楽しみ方ができます。

とはいえ,犯人はお前だ!といった,クリアな謎解きはありません・・・

「蒼穹の昴」同様,時代に翻弄された登場人物が何か物悲しかったです。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

「流星ワゴン」 重松清著

2005年04月06日 10時38分04秒 | 読書
最近文庫化された重松清さんの「流星ワゴン」を読みました。


浮気をしている妻に,ひきこもり&家庭内暴力の息子。家庭は崩壊寸前。
また,会社での自分はリストラ寸前。
もう死んでもいい・・・そんな風に思った主人公永田一雄の前に,
事故で死んだはずの橋本親子が運転する不思議なワゴン(←オデッセイ)が現れ,
タイムマシーンのように永田を過去へいざなう。
また,気持ちのすれ違ってしまったまま,明日にもガンでこの世を去ろうとしている永田の父が,
永田と同じ歳のチュウさんとなって現れる。
ワゴンで過去の「大切な時間」に連れて行かれ,過去をやりなおしていくのだが・・・


というちょっと不思議なSFファンタジー的要素を持つ家族小説です,
そして,核となっているテーマは父と息子の愛です。←かなり重い!切ない!

ただ,ファンタジーといっても,ふわーっとした暖かいだけの話ではありません。
非現実的な設定でも,親子・家族関係のシビアな問題がリアルに描かれていたので,感情移入して読めました。
久々にじわーっと目頭が熱くなる小説でした。やっぱり,親子愛には弱いです。

2006年に松竹で映画化されることが決まっているみたいです。
原作はよかったのに,映画化されたら大したことなかったっていうものが少なくないので,
これもどうかなーとは思いますが,ちょっと気にもなります。キャスティングに注目しとこ。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

久々に出会った抱腹絶倒エッセイ

2005年04月01日 14時16分21秒 | 読書
「ブスの瞳に恋してる」鈴木おさむ著 (マガジンハウス)

この本は,友人の「まさに抱腹絶倒の一冊だよ。読むべし!」という強い薦めを受けて買いました。
「でも,絶対に電車で読んでは駄目だよ。」という助言を無視して,朝の通勤電車の中で開いちゃいました。
・・・その結果,車内で1人ニヤける危ない女に。

著者は,バラエティ番組の人気放送作家・鈴木おさむ氏。「めちゃイケ」や「スマスマ」を手がけてる売れっ子です。

「ブスの瞳に恋してる」まず,ナンでしょ,このタイトル。
そして,表紙・・・(画像参照のこと)強烈過ぎる。これだけで,もう笑えます。
インパクトあり過ぎです。

内容はといいますと・・・

2年前に電撃結婚したお笑いトリオ森三中の大島美幸との結婚生活について,
赤裸々に語られているエッセイ本です。 ※雑誌ポパイの連載をまとめたものらしい。
爆笑エピソードの数々が赤裸々(←まさに!)に綴ってあります。
多少お下劣だったりする描写もありますが,私的はギリギリ許容範囲内と判定します。=お上品な人には向かないかな。

全編通してかなり笑えるのですが,ただ笑えるだけでなく,鈴木氏の妻への実に強い愛を感じました。
結婚生活の中で,こんなに「この人と結婚してよかった」って思える瞬間の多い
鈴木氏(←ちょっと人と違ったモノサシをお持ちのようですが。)は幸せですよね。
そして,そんなに愛されている大島も。
人とは違ってるけど,これもラブラブカップルというのでしょう。っていうか,これぞラブラブ?
交際期間0日で結婚ってありえなーいって思いますが,こういう運命的な出会いもあるのですね。
真似はできない(したくない?)けど,このラブラブさ加減はうらやましい。

それと,さすが売れっ子放送作家さん,文章もとっても面白いです。
久しぶりに本で笑わせてもらいました。

私の個人的評価(爆笑度)は (5冊が満点として)デス。

「生首に聞いてみろ」法月綸太郎著

2005年03月02日 15時53分48秒 | 読書
この作品は著者の久々の長編本格ミステリーだそうです。
著者と同名,同業の名探偵が活躍する名探偵・法月綸太郎シリーズ(らしい)。

私はこの著者の作品を読むのはこれが初めてです。
例によって,「2005年版このミステリーがすごい1位」という帯と,
このインパクトあるタイトルに惹かれて買いました。

内容は・・・タイトルから覚悟していたほど,おどろおどろしくはありませんでした。
確かに本格的ミステリーで,これまで読んだミステリーの中でも面白い部類に入るし,よく出来たストーリーだと思います。
・・・が,「このミス1位」という帯で期待しすぎてしまったのか,満足度は70%ぐらいです。
ナンでしょう,私には,肝心のトリックや犯行の動機がイマイチ説得力ないように思われます。
あと,シリーズのほかの作品を読んでないので,何ともいえませんけど,この主人公の探偵さんが
ノーマル過ぎるというか,アクがないというか。。。逆に普通っぽさがいいのかもしれませんけど。

「このミス1位」と思わず,偶然手にとって読んだ本なら,もっと評価高くなるかも。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

「対岸の彼女」は,負け犬と勝ち犬の話じゃない!

2005年02月22日 11時19分23秒 | 読書
角田光代さんの「対岸の彼女」を読みました。
言わずと知れた直木賞受賞作です。
限られた時間の中で,出来るだけいい本を読みたいと思うと,どうしても○○賞受賞とかに手が伸びちゃうんですよね。
本当は,自分で発見したり,開拓したりしたいんですけど。
まあ,結果,良い本に出会える確率が高くなっていると思われるので,良しとしますか。

この本の内容説明として「負け犬と勝ち犬の2人に友情は成立するのか!?」などと
書いてあるのをいろいろなところで目にしたが,読んでみて一言。。。
これって負け犬だとか勝ち犬だとか,そういう話と違うでしょ!
そういう次元じゃなく,女同士の葛藤や友情がとてもリアルに描かれていると思います。

主人公の高校時代と30代になった今,2つの時間軸で物語が進行していきます。
年齢が近いせいか,30代になった現在の部分の方が,入り込んで読むことができました。
高校時代の話については,共感は難しかったです。なんだか,読んでいて痛くて苦しかった。
自分自身が高校時代にそこまで人とのかかわりあいについて,深く考えることがなかったからでしょうか。
もちろんこの話のようなショッキングな出来事もなかったし・・・。
若者の危なげな感情や感覚を忘れてしまっているだけなのかなあ。さ,さみしい。。。

希望の持てる終わり方ではありましたが,なんとなくウェットというか,決してカラッとはしていないというか,
少なくとも爽快な読後感ではなかったです。
・・・が,それだけに,ちょっとどんよりとした感情に浸って,いろいろ考えることができる作品でした。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

「左手に告げるなかれ」 渡辺容子著

2005年02月09日 16時49分12秒 | 読書
このタイトルに「なになに?いみしーん!」と思って,手に取った小説です。
あと江戸川乱歩賞受賞作なんですよね。本屋の手書きポップで絶賛されてました。

結論から言いますと,結構おもしろかったです。
しかし,最近は魂をゆざぶられる系と言いますか,涙なくして読めないものを多く読んでいたので
さらーーーっと読めてしまって,なんだかあっけなかったです。
推理小説ってそんなものでしたっけね。久々だったもので。

主人公の女性はスーパーの保安員(万引きを見つける人ですね!)なんですけど
そういう身近じゃない職業について「へえー」って思うことが多くて,そういう意味でも面白かったです。

あとタイトルの「左手に告げるなかれ」
これは,聖書のマタイ伝に出てくる言葉らしいです。
大学でキリスト教学の単位をとった私ですが,まったく聞き覚えなし・・・。たはは。
ま,必修科目でいやいやとったわけですから身につくはずもないですが。
「良い事をした右手の事は,左手にさえも言うな」という意味で,
要するに自分の善行について
私はこんなにいいことをしたんだって他人に言いふらしたりするんじゃない,
善行はだまったしなさいってことですね。
これの教えがストーリーに深くかかわってきます。

結構イケてたんですけど,本屋の手書きポップで大絶賛されてされてる程じゃなかったかな。

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。

「凶犯」 張平著

2004年12月02日 13時32分09秒 | 読書
「凶犯」という小説を読みました。
浅田次郎作品が続いていたので,ちょっとここらで違ったものをと選んだのが,この「凶犯」です。
張平という人の作品なのですが,この人,中国のベストセラー作家さんらしいです。
「中国ベストセラー作家張平日本初上陸」って書いてあった帯につられて手に取りました。
本を選ぶとき,帯ってかなり重要ですよね~。

さて,読んでみてですが・・・
確かに事件前と後のサンドイッチ構成は斬新で,話自体も面白かったのですが,私には強烈過ぎました。
残虐な事件の描写がリアルすぎて,読んでいて自分の体まで痛くなるような気がして・・・
お腹をばっさり切られて内臓が見えたとか,飛び出した腸を自分でお腹に戻してベルトでとめたとか・・・イタタタタ。

この話が実際に起きた事件をモチーフしているというのは驚き。
腐敗した権力に迎合する庶民の弱さが悲しいです。
かなり社会派な小説です!

私の個人的評価は (5冊が満点として)デス。