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植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

ナス・半身萎凋病で撤収

2024年11月11日 | 家庭菜園

11月4日にナスを撤収しました。数週間前から半身萎凋病の症状は出てはいましたが、11月に入り多くの枝と葉が萎れてきたので諦めることにしました。最初の症状はひと枝の葉っぱからでした。葉の中脈を境に半分だけが黄色く枯れてくるという半身萎凋病の特徴的な症状が出てしまったのです。接木苗を栽培しても毎年栽培終盤にはこの病気が発症するので覚悟はしていました。それでも収穫したナスの総数は、例年よりやや良の2株で116本でした。

枯れている枝についている実は収穫して食べました。気持ちのいいものではないですが味は変わりません。

元気な葉が付いている枝の断面は・・

発症していない茎の断面はこのように綺麗です。

次に葉が萎れている枝の断面を見てみると・・

 

このように木部が褐変していました。右の写真では特に道管の周囲が濃く汚れていました。この汚れは、土壌に生息する糸状菌であるバーティシリウム ダリエ(Verticillium dahliae)が感染することで生じています。この菌の感染が茎に蔓延すると道管が詰まってしまって葉まで水が送れなくなってしまうのです。それにより葉が黄色くなったり萎れてきてしまいます。

病原菌は土から根を通過して株全体に蔓延します。台木はこの病気に対抗できないのでしょうか?その断面を観察してみると・・

やはり台木の断面でも程度は軽く見えるのですが褐変しています。台木の根張りは旺盛ではあるものの、栽培終盤では病原菌を遮断できずに穂木まで感染させてしまうようです。

同じ畝で栽培していたナス科の甘長トウガラシ(品種:甘とう美人)は発病していませんでした。その茎断面は・・

やや怪しげなところが見られるものの、ほぼ汚れのない綺麗な断面でした。


土壌伝染性の病害は駆逐が非常に難しくて苦労させられます。家庭菜園レベルで使える農薬はベンレート水和剤の土壌灌注くらいでしょうか。菜園全体からこの病原菌を除くのは無理だと思われます。

この土地で菜園を始めてしばらくはこの病気は起きていませんでした。ところがある年に園芸店でオクラの苗を買ってからこの病気が頻発するようになりました。菌は目に見えないので推測でしか言えないのですが、オクラの苗とその土が感染源だと考えられます。買ったオクラは大きくなる前から葉が次々と落ちて病気の症状が出ました。しかし、その頃の私はその病気がどんな問題を持っているかなど知らなかったので枯れ葉や茎などは気にせず圃場に埋めてしまったのも汚染拡大させてしまった要因なのでしょう。現在は病気になった株の残渣はできるだけ取り除いてはいます。ただ根の断片など完全に取り除くことなど無理な話です。

さらにバーティシリウム ダリエは多犯性といって いろいろな野菜に感染するので始末が悪いのです。家庭菜園程度の小さな土地で輪作してもこの病気にはほとんど意味がありません。大根にも感染してバーティシリウム黒点病を起こします。感染した大根を輪切りにすると維管束あたりが黒くなるのですよ。植物の病気なので人間が食べてもどーってことないのでしょうが、真っ白な大根に黒い輪が出現するから食欲も失せますよね。今栽培しているので、またその病状をご紹介できると思います。お楽しみに・・とは言えない話題。

結論:ナスやトマトなど有名メーカーが作っている苗なら心配ないと思いますが、できるだけ種から育てた方が良さそうです。狭い菜園の場合一旦汚染させてしまったら回復は困難で後悔しても遅いです。

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野原にラーメン!?アメリカネナシカズラ

2024年11月01日 | 野草・山野草

秋晴れの河川敷で気持ちよく散歩していたら、うげっ! ラーメンみたいなのがぶちまけられている!・・と思ったら、今まで見たこともないような植物でした。黄色い線状でこんがらがっています。

一体何?家に帰ってすぐに図鑑で調べました。アメリカネナシカズラ(ヒルガオ科ネナシカズラ属)でした。でも今の時代スマホでも簡単に調べられるんですね。Googleレンズ、便利な世の中です。

葉緑体を持たず、緑色していないのでぱっと見は植物には見えないです。黄色してるから卵麺のラーメンかと思っちゃいました。

もっと近くで見てみると・・

あら、なんと可愛らしい花が咲いていました。ヒルガオ科なのでアサガオと同じく5つの頂点をもつ合弁花です。雄しべ5本は花冠より外に出ています。雌しべ2本はカタツムリの触覚のように突き出ています。絡みつかれているのはカタバミ。

アリが蜜を求めて花に来ていました。赤くチラチラした花はミチヤナギ(タデ科ミチヤナギ属)です。ミチヤナギにも絡みついていました。

そしてマメグンバイナズナ(アブラナ科マメグンバイナズナ属)にも絡みついていました。グンバイナズナっていう植物もいてグンバイナズナ属なんだそうです。属が別なんですね。この写真のはどっちなんだろう。自信ないです。

アメリカネナシカズラは近くにある植物ならどんなものにも絡みついていくようです。嫌いな食べ物ってないのかな。ヒルガオ科なのでアサガオと同じようにつるは右巻きです。

虫瘤発見。アメリカネナシカズラは葉緑体を持たずに全て寄生した植物から奪い取って生きているちょっと許しがたい植物、でも虫瘤つくられて奪われているという皮肉。虫瘤の下の方、少し緑がかっていますね。葉緑体を作る能力は残っているのかも。

忍び寄る茎。栄養を奪い取る植物(寄主)を感知するとこのように茎にイボイボを作って近づいていきます。気色悪ぅ〜。そういえば、光合成しないから葉っぱを持っていないんですね。

次の段階で栄養吸収を始めた茎をむりやり剥がしてみたら・・

イボイボは、タコの吸盤のように変化していました。寄主の毛がくっついています。体表面に毛があるとネナシカズラの攻撃を少しは和らげることができるのかもしれないです。寄主はヨモギだったかな?

拡大するとこんな感じ。「吸盤」と言っても陰圧にして張り付くのではないです。ドーナツ状の表面に粒々が見えます、これを相手の表皮にがっちり食い込ませるのでしょう。その後に吸盤の中心から寄生根をじわじわ食い込ませていくのです。おそろしや。

アメリカネナシカズラ同士でも絡み合って吸盤くっつけて栄養を奪い合っていました。これって自分自身なのかな。こんがらがっていて何が何だか・・と言った感じ。ヤブカラシという植物は自分自身を見分けて、巻きひげが絡みつかないようにしているそうです。それに比べてこやつらは修羅の世界で生きていますねぇ。

どのように栄養を奪い取っているのかを見るために、寄主の横断面で見てみると・・

くさびのように「根」を形成層あたりまで差し込んでいました。縦断面で観察すると・・

細い根を差し込んでいるようにも見えました。染色すればもっと分かりやすかったかな。

中心に寄生根です。

タネを手に入れられればおもしろい実験できそうですね。好き嫌いあるかが知りたいな。寄生根を差し込んでから、「うっわ、まず〜ぃ」とかなることあるのかな。

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