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読書レビュー 三体Ⅱ 上 黒暗森林

2022-07-27 22:38:02 | 書評 読書忘備録
三体Ⅱ 黒暗森林 上 劉慈欣 

いよいよ村上春樹化してきた三体の定期刊行、第Ⅱ部。
「三体」が2019年7月に早川書房から出版、版数を重ね13万部越えとなり、今年2020年6月コロナ自粛の真っ最中にこの第Ⅱ部上下巻が出版された。
そして第Ⅲ部は2021年春の予定だという。

実際、各SNSやネット情報識者の間では、
「早くも読んだ、しかも週末一気読み!」とか
「読みたくてリスト入ってるけど積読が多くて、手が出せてない、でも絶対読む!」とか・・・
コメント百出しており、これにはかつてのピエールルメートルやサピエンス全史的な熱の高まりを感じる(ハリーポッターの翻訳待ち刊行スケジュールも同様だが・・・こちらの方は、ちと引き合いに出すのは・・ww)

それで、今の時点では自分は上巻を読み終えたばかりなので、自分には評価も感想もだす資格は無いのだが、箱根駅伝のように まずは往路を振り返っての印象に残ったレース展開などは述べてもよいかと思う。

第Ⅱ部であるが、結論から言えば、結構面白い!!
前回だと、暗-----っ・くて、陰々ネチネチとして始まった中国での文革の話や、その後の鬱つとおしい監視と統制の共産党社会:みたいなバックグラウンドを著述する必要があったのだが、今回のⅡ部は、ほぼリアルタイムの現代か僅か先の未来だ。
いきなりステーキ、ではないがいきなり三体侵略宇宙人と対抗する地球側国際組織のバトルに読者は放りだされる。

とはいうものの、第Ⅱ部上巻だと(多分下巻もだ)三体宇宙艦隊は遥か宇宙の向こうから地球に向かって絶賛運行中進行中の途上である。
奴らが襲ってくるのは今から、4世紀400年先という短いんだか、長いんだか、よくわからん中途半端な未来の終末戦争なのだ。
なので、ここでは長ーーい、長ぁーーい、空間と時間を挟んで、来るべき決戦を前に、如何に自軍を勝利させるか?、という知略とフェイクを織り交ぜた前哨戦、デスノートかハンター×ハンターのようなの頭脳戦が繰り広げられる。

地球側のプレーヤーは4人の面壁者、アメリカの凄腕の元国防大臣、南米の革命国家大統領、革新的トップクラスの脳科学者、この三人がそれぞれ人類を勝利に導く全太陽系規模の壮大な戦略を頭脳内で構築し、プロジェクトXを進めつつ、三体星人側の破壁者と智謀の読み合い、騙し合いをする。。。。
そして4人目の面壁者が平凡でオタクな大学の社会学の教授でⅡ部の主人公だ。(実はド本命の最終兵器的ポジション、ラノベでよくあるヤツだww)。

このように、三体Ⅱ部は、体裁も文章の格調も科学用語も、最新で、難解っぽいので読者は気圧されやすいのだが しかして、その実態は週刊少年ジャンプ、なので大丈夫だ。安心して取っ組み合ってよろしい。

ちなみに、作者:劉慈欣は、斯様に隠れ日本エンタメ・SFオタクなので、本書の堅い鎧の下にところどころ、日本エンタメのちょい出し楽屋オチ、が出てくるので、これらを愉しみに読むのもお薦めですよ。
 
特攻作戦で三体の敵艦隊をせん滅しようと計画する面壁者テイラー、彼が特攻機パイロットを育成することを要請するため日本の零戦特攻隊の子孫の井上を訪れ、断られる場面、
「たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、たいした価値のある者じゃない」
なんと、ココに田中芳樹の銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーのセリフをぶっ込んでキタ!
やってくれるな!劉慈欣!! 下巻に期待。







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