村上春樹原理主義!

作家・村上春樹にまつわるトピックスや小説世界について、適度な距離を置いて語ります。

『騎士団長殺し』のなかで免色氏がつくった「完璧なオムレツ」

2017-03-17 21:44:00 | harukiグルメ
話は『騎士団長殺し』の後半の後半。
 飲まず食わずで疲弊しきった主人公の「私」に 免色氏がつくってくれたのが
オムレツだったという話です。 
 
ちなみに免色氏は谷間を隔てたゴージャスな邸宅に住む隣人の男性です。 
さて、ギリギリの状態で助け出された「私」にまず差し出されたのは、 
ミネラルウォーターでした。 
それから、リンゴの皮を剥いたものを3個か4個。
 次にクラッカー。 
そして蜂蜜入りの紅茶。 
最後に冷蔵庫を覗いて作ってくれたのがオムレツでした。 
 
免色は冷蔵庫から卵を四つ取り出し、ボウルの中に割り、箸で素速くかき混ぜ、そこにミルクと塩と胡椒を加えた。そしてまた箸でよくかき回した。馴れた手つきだった。それからガスの火をつけ、小型のフライパンを熱し、そこにバターを薄く引いた。抽斗の中からフライ返しをみつけ、手際よくオムレツをつくった。 
 
 
「私」が予想したとおり、免色氏のオムレツは完璧でした。
「そのまま料理番組に出してもいいくらいだ」と「私」は考えます。 
オムレツは皿に移され、ケチャップと共に「私」の前に供されます。 
 
「完璧なオムレツだ」と私は言った。 
 
 
免色氏はなにもかも見事にスマートで手抜かりなく、効率よく、繊細な手際の持主。 
その彼は、どのような形で物語に絡んでいくのでしょうね。 
それは本を読んでのお楽しみということで。