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ぺるりの今日

観たもの、読んだもの、主観をたっぷり交えて感想書いてます。
藤原竜也さん、superflyにどっぷりはまり中。

映画「I'M FLASH」 また違う見方

2012-09-04 | 藤原くん関連
公開初日に見に行ってから、いろんな場面が頭に焼き付いて離れないのですが
監督のインタビューなどを読んで、思い返すうちに、
もしかして・・・

と別の見方が浮かんできました。


今回のプログラム、現場脚本がそのまま掲載されているのですが、
映画を思い出すのに、とても役立ちます。
この数行の文字が、あの映像になるのかと思うと、キャストもスタッフも想像力がいる仕事だな~と
思わず感嘆してしまいます。



さて、ふと浮かんだ別の見方なんですが、
今回、ルイと新野と流美の3人って、人間と人間じゃないものが混然となったキャラクターだったように思うんです。
対してこの3人以外は、リアルな人間だったなと。
それにプラスして、監督の「死を断ち切りたい」という言葉。


この視点にたったら、ルイは死者たちの魂のように見えてくるんです。
海面は生者の世界、海底が死者の世界として、
ルイは本来海底にいるべき存在なのではないかと。
監督が断ち切りたいと言われた「死」を負わせたキャラクターなのかなと。

この世の人間ではないから、ピストルの弾も当たらないし、事故でも助かる。
超常的な力も、もしかしたら、本当に持っているのかも。

流美に最後に会いに行ったとき、頭に触れるけれど、
あのシーンが、流美が目覚めるように、自分の命をそっと送ったようにも見えるんですよね。
「あなたが、私の中で生きるのよ」という言葉の通りに、
自分を流美の中に送ったのかなと。
どこか儀式的に感じたんですよ。

そして、新野に海底へと沈めたられた瞬間、流美はベッドで目を覚ます。
流美の目覚めが、ルイの再生のようにも見えます。

ルイと新野の撃ち合う瞬間
あれが、監督が死を断ち切る瞬間だったんだろうなと。
ルイは死に囚われた過去の監督の心であり、新野はそれを断ち切って進む今の監督の心なのかなと。

「こっちだよ」と逃げて、なかなか殺せないルイは
振り払おうとしても、まとわりついてきた「死」だったのかもしれない。
海底へと沈めた死者の残像。
いずれは誰しもが行き着く場所。


そんなことをふと思ったんですよ。
早く2回目見たいです。

でも、そう考えたら、監督は打ち倒したいもの全てを藤原竜也という俳優に負わせたということになりますね。
打ち倒す側は松田龍平に。そして再生を水原希子に。
絶妙のキャスティングだわ。
この3人は、どこか人間に見えない部分があるし。
精神的なものを背負わせるのに、これ以上ない配役でしたね。
人間性、精神性を同時に体現させるのにうってつけの俳優達です。



映画「I'M FLASH」

2012-09-01 | 藤原くん関連
行ってきましたよ。梅田!
映画の日よ、ありがとう!って感じ。
土曜日、しかも公開初日に1000円で見れるとは!!!


映画は、すごい!!の一言でした。
エンタメ性と芸術性という指標で表せば
芸術性を振り切ったって感じの作品。
芸術は爆発の域!

決して現実味のあるストーリーではないのに
気がついたら映画の世界観に引きずり込まれていました。

想像していたよりも、静かでフラットな作品でした。


この作品は、誰のどの感想もあてにはならないと思います。
自分が見て、自分が何を受け取るかだけですね。
人の感想を聞いたとしても、どれもしっくりは来ないはず。


私は、閃光のような無数の人生を感じてきました。
そして、何かの縁で、その光と光がぶつかる。
それは、ともに長い時間を過ごすこともあれば、ほんの一瞬の出会いということもある。
死の瞬間の出会いということさえあるのかも。

なんか、そんなインスピレーション。


久々の爆弾級の作品に出会えて嬉しい限り。
もう1回見に行きたいです。
昨日のラジオで「考えるな、感じろ」系の映画と言われてましたが、
まさにその通りかも。


藤原くんの、観客に言葉を届ける力は、やっぱり群を抜いてすごかった。
(特に難しい台詞を語らせたら、並ぶ人はない)

藤原竜也と松田龍平、魅惑の組み合わせでしたよ。
この2人は、まさに「神と悪魔」で人間の手というのは届かなくて、
ただ、2人が繰り出すものを「見る」という感じでした。

脇のキャラクターは、ユーモアと人間味があって
すごく愛おしくなる。
まさにいい味でした。

2回目見たら、感想変わってるかも。
次見るのが楽しみです。


天然記念物

2012-08-31 | 藤原くん関連
いよいよ、公開が明日に迫りましたね~

I'M FLASH

今回はテレビ、雑誌、ラジオ、ネットと様々な宣伝がありましたけど
どれもも質が高すぎ!

私は、ものすごく楽しみにしている作品は絶対にネタばれしたくないというタイプなんです。
真っ白の状態で、その作品と向かい合って、影響されるのが好きなんですよね~。

どの作品もネタばれしないように宣伝はしてくれているので、普段は雑誌も事前に読むのですが
今回は、質がよすぎて、インタビュアーのちょっとした文章なんかでも
目にしたらヤバイというほどに上質。

一度本屋には行ったんですけど、雑誌を開いて、すぐ閉じてしまいました。
映画を観た後で、雑誌は読みに行きたいと思います。


テレビは「アシタスイッチ」が、ぶっちぎりでしたね~。
藤原くんも龍平くんも、しゃべり上手ではないし、不器用だから、
たどたどしい言葉で、何とか伝えよう、理解しよう、としているのがたまらなくよかったです。
私は、饒舌に語られると、逆に嘘っぽく感じてしまうんです。
簡単に言葉にできてしまうものなんて、なんか安っぽいですもん。

2人が語った内容も、なんでしょうね。
他の人間が決して入り込めない領域でしたね~。
この番組に関しては、別途また感想を。


「ハピくる!」は、1回目の放送は、誕生日にi-padをもらった話で、
2回目の昨日は、ナジャさんとあっち向いてほい対決!

ナジャさん曰く、「(藤原くんの)プロフィールに特技:あっち向いてほいって書いてある」らしいです。
そ、そうなの?


あまりの熱戦ぶりに大爆笑。
30歳、大人の魅力はどこへやら。むしろ小学生、無邪気な子供。
声大丈夫か!?ってくらい声が出てましたけど。ゲホッてなってたし。
藤原くん、大阪だと何気にはじけている。

家に遊びにくるシャムネコのガリクソン(ガリちゃん)
なぜその名前なのか、すんごい気になる。
クレオパトラみたいな見事な猫に、「鰹節食べるか?」って言ってる藤原くんもやはりどっかズレている。
(絶対ひとんちの猫やで、それ!って我が家でちょっと話題に(笑))

よくよく振り返ってみると、映画の話なんにもしてなくない?
バックにポスターはあったけど。
あっち向いてほい対決のVTRが終わると同時に
スタジオから「何のキャンペーンや、これ?」という的確なツッコミが(笑)
次の3回目の放送で、映画の話するんですかね?



さてさて、ここから本題なんですが
先日、豊田監督が藤原くんのことを天然記念物って言われているのを読んで
2009年に雑誌「パピルス」に掲載された2人の対談を思い出したんですよ。

まだ仕事での縁はないときですから、異例といえば異例な特集ですよね~。

監督と、藤原くんが実際に会ったのは「ライフ・イン・ザ・シアター」らしいのですが
監督が藤原くんを初めて観たのは「ハムレット」。
それを見て天然記念物みたいな人だな~と思ったというエピソードが載っているんですよ。
(ということは、それ以降、印象はあまり変わっておられないんですね)

この記事の中で、面白いな~と思ったのが、監督の言葉で

「世の中にはいろんな人がいる。異形の民がいっぱいいてさ。
異形の民は映画に向いている。
実際、藤原竜也も松田龍平も異形の民だと思っている。
勝新太郎なんて、まさにそうだよね。」

って部分ですね~。
「異形の民」、私もこの「異形の民」好きですね。
何だろう、時代とか、世間とかを超越したものを持っている人たちですよね。

監督曰く、藤原くんのその異形の部分を、舞台でも映画でも、まだ誰も描いていないそうなんです。
「もし、僕が一緒に仕事をするチャンスがあったら、“それ”を撮る。
そして、まだ、誰にも見せていない、藤原竜也の“背中”を撮りたい」と言われているんです。
“背中が見える”奥行きのない人は撮りたいと思われないそうです。

そういえば、映画の予告編
確かに、藤原くんの“背中”が、よく映ってるんですよね。
監督が撮った藤原竜也の“背中”を明日、スクリーンで見てきたいと思います。


ほんとに楽しみにしてたから、公開までが長かったわ~。



そういえば 映画「藁の楯」

2012-08-16 | 藤原くん関連
そういえば、映画の出演情報流れてましたよね!
毎度毎度、情報の波に乗り遅れてますが・・・

世の中が速すぎるんですよね~。


「藁の楯」
三池監督


原作は読んだことがないのですが、映画化のニュースであらすじは把握しました。
題材としては面白ろそうですが
「I'M FLASH」ほど、心がざわつかないというのが正直な気持ちですね。

あくまで、私のカンですけど。
私にも明確な理由はわかりません。
でも、なんか、ざわつかないんですよね。

やっぱり、GW公開というのがね~。
明らかにエンタメ色狙いなのが、ヒシヒシと伝わってきますよね。
しかも日テレ系でしょ。
う~む。
どうもテレビ局が絡む映画は、エンタメに走りすぎて、
題材活かせないし、俳優も適材適所でないパターンのが多いんですよね・・・。

大沢さんは舞台もされてますけど、松嶋さんは・・・
私の中ではテレビの人というイメージが払拭できない。
視聴率とれたから傑作確実みたいな記事の書き方もどうなのかしら。

視聴率が高い=傑作の方程式は成り立たないというのは、もう周知の事でしょう。
映画も興行収入が高い=傑作では決してないのでね。

例えば、この作品が、WOWOW制作の単館系で、18歳以下お断りっていう過激路線なら
私のアンテナがビンッて反応しそうなんですけど。
こういう題材でエンタメに走ると、よっぽど監督に腕がないと、薄っぺらな作品になる可能性大ですよね。
俳優の演技力も宝の持ち腐れ。

しかも、素人のエキストラを募集しているというのを知って、さらに落胆。。。
映画に素人なんて、出してはいけませんよ。
プロのスタッフとプロのキャストが作らないと、傑作にはならないんじゃないですかね。

大沢たかおと藤原竜也がせっかく共演するなら、「傑作」での出会いを果たしてもらいたいので、
ただのお祭り騒ぎ的な作品は勘弁して下さいよ、日テレさん。

才能のある人の時間は貴重なの。
撮影に使う1ヶ月半があれば、傑作を生み出せるんですから。

現段階での私の不安を払拭してくれるような作品になることを念じるばかりです。
しかし、私のカンもなかなか鋭いので困りものです。

藤原くんの悪役は、確かに見てみたかったですけど
この路線の悪かな・・・?
しかし、藤原くんが台本読んだ上で仕事を受けたというのなら、あんまり悲観的になることもないのかな~。
「藁の楯」の「藁」を演じるので、何気にタイトルロールですしね~。

う~ん。とにかく、この作品に限っては原作を読んでみようと思います。
ちょっとでも不安を解消したい。
余計増したらどうしよう。。。
その場合は、映画の評判聞いてから、見に行くかどうか決めることにします。
汗水たらして稼いだ金を使うんでね。
面白いものが観たいんです。




懐かしの松田龍平さん

2012-07-26 | 藤原くん関連
9月なんてまだ先だ・・・とか思ってたら、もう9月だ・・・!!!(@Д@;)

さて映画「I’M FLASH!」の公開も近づいて来ましたね。

今回共演の松田龍平さん。
実はデビュー作「御法度」を観にいってるんですよね。


当時、幕末にはまりかけの時期で、なおかつ我が家は歴史大好き。
NHKの「BS歴史館」とか、「さかのぼり日本史」とか録画までして見てます。いまだに。
当時は「その時歴史が動いた」でしたかね。

で、「御法度」が新撰組ものだ!ということで、
父と娘の2人で映画館に出かけていったわけです。



・・・・どんな結末になるか、映画みた人なら察しがつきますよね。。。






き、きまずい。
少なくとも父娘で見る映画ではなかった!!!!(←誉めてます)


「御法度」は、新撰組といっても衆道を扱ったものだったんですよ!
衆道ですよ!衆道!

私一人なら、カモーン!!!

ってなもんですが


父が・・・横に父がおるんじゃあ!!!!
正直途中で帰ってくれ~と念力を送っていた。
映画のチケ代は父持ちですが(笑)

私ひとりなら、ウハウハで帰路についたのに~~。

この映画を見に行って以来、家族と映画に行く場合は内容を精査するようになったのでした(笑)


当時の私には、松田龍平さんと、武田真治さんが印象に残りましたね。
松田さん、なかなかに怪しげでした~。
武田さんの沖田も、結構存在感がありましたよ。


前も書きましたが、藤原くんと、松田龍平くん。
なんの因果か、2人とも名前に「竜(龍)」がつくんですが。
私の中では、アングラ2大俳優として鎮座しております!
2人のプロフィール写真見ました?
醸し出されるオーラが一緒過ぎ!!!
顔や体格は違うんですけど、オーラがね、同一人物か?ってくらいの一致具合。

この2人の共演とあっちゃあ、見逃してはならん!!
と私の中の何かが叫んでおります!!!

そこに、さらに水原希子さん。
世界中の女の中で最も好きな顔(私の)をもつ彼女まで出るではありませんか!
スクリーンで拝んできます~!!!

試写会は、東京だけかなぁ~。
大阪やってくれへんかな~。

とりあえず、WOWOWのプレゼント(確かパンフ)には応募してみようかと思ってます。

映画「あぜ道のダンディ」

2012-07-20 | 藤原くん関連
「あぜ道のダンディ」

WOWOWで放送されるのを今か今かと待ってました~~!!!!
藤原くんが友情出演しているというのもあったけど
石井裕也監督の作品ということで、見たかったんですよ。

丁度映画の公開時期に、確か海外にいっていたと思うんですよね・・・(記憶が曖昧)
で、映画館に見にいけなかったんですよ。

念願かなって、ようやく見ることができました!




見終わったあと、「いい映画やったな~」と思わずつぶやいてしまう、そんな映画でした。


現代のありふれた家族を描いた映画です。
オヤジと子供
一見、大きな溝があるのかなと思いきや、お互いにお互いのことを大切に思っている。
こっぱずかしいから口では言わないけど、家族を大事にしてる。
オヤジから子供への思いと、子供からオヤジへの思いが飾り気なく、何気なく描かれています。

私、涙腺弱くなったかな~。
後半涙が止まらなかった。
子供たちが、オヤジのこと、ちゃんと考えているんですよね。
自分のためにオヤジが頑張ってくれてること、本当は理解してるんですよ。
監督が若いからか、子供から親に対する気持ちがより丁寧に描かれているように感じました。

東京に出て行くところで、「父さんのことよろしくお願いします」と言う息子と
オヤジの夕飯にとサンドウィッチを作ってる娘。

息子がこっそりバイトして自分と妹の分の下宿費用を貯金してたり。
妹はセキュリティのしっかりした下宿に住まわせて、自分は風呂もついてない安アパート選んでたり。
お父さんに心配かけないようにしてるんですよね。

不器用だから、すれ違うこともあるけど、本当は大切にしてる家族。
それが描かれていました。

こういう映画こそ地上波でやったらいいのにな。


この映画をみたら、今のニュースもドラマも○○崩壊とか現代の闇の部分にだけ目を向けて
必要以上にスキャンダラスに騒いでるだけなのかもしれないと思えてくる。

もちろん、そういう問題点を指摘することを否定はしないし、必要でもあるのだろうけど、
騒がれる闇に侵食されて、本当は壊れていないものを壊れていると思い込んでいるかもしれない。
本当は何の問題もないことを、自分が勝手に誤解して問題にしているだけかもしれない。

私たちは別に何一つ大切なものを失くしてはいないのに、それをあたかも失くしたかのように
騒いでいるだけなのかもしれない。

そんな事態に陥っていないか、今一度、見つめ直してみよう、そういう気持ちになる映画でした。

この映画には明るい部分が描かれている。
普通の、ありふれた家族って、こんなんだよね。


シレンとラギ 藤原くん

2012-07-11 | 藤原くん関連
日にち経っちゃってすみませ~ん。
ちょっとバタバタしていたもので。

「シレンとラギ」の藤原くんについての感想です。

藤原くんの演じたラギという役ですが、びっくりするほど若い役でした。
しかも、私、アングラスパイラル!とか言って、前日まで『下谷万年町物語』見てたんですもん。
(4月の日記見てみて下さい)
宮沢りえさんとお似合いの、一線を決して越えない、恋人未満でありながら、行動を共にしていくという大人の関係。

それに、告知用の写真も、落ち着いた写真だったじゃないですか。
そんなもんだから、言動全てが若いラギに、ええっ!?いくつ!?
と、初日はこっちがテンパリました(笑)

いきなり10年以上過去にタイムスリップした気分でした。
藤原くんが舞台で演じてきた役の中では、精神年齢的に一番若いのではないでしょうか。

中学生の恋か!?というくらい若僧な台詞の数々。
そして、あしらわれ方の数々(笑)
この台詞しゃべってて、うざくないのがすげえなと思いつつ観劇。
私は、恋愛に関してはサッチャー(鉄の女)である自信、おおいにアリ。
戯曲でラギの台詞を読んだら、普通にうぜぇって思いそう。

そんな藤原くん本人は、「ラギは風みたい」とインタで言ってました。
これだけ技を多用する舞台でも、キャラは感覚で捕らえてるんだなと再発見。


新感線さんは彼の容姿を、これでもかっ!!と使いましたね。
人間離れした抜群のスタイルの持ち主であることは、別にファンでなくても否定はしないとこだと思いますけどね。
ここまで堂々と正面きって使ってきたのは新感線さんが初ですよ。

あくまでもエンターテイメントの枠は超えないというのを守っていた作品でしたから
客に「カッコいい」と言わせることが、たぶん至上命題だったのではと予想されます。

このジャンルの舞台は初めてでしょうし、小劇場の演劇人と一緒に仕事をして
どんな刺激を受けたのでしょうか。
また、どこかの雑誌のインタなどで読めたらいいなと思います。
インタビュアーさんよろしくお願いします。


また、今まで藤原くんが演じてきた役を、ぶちこんだみたいな役でもありました。

フレッシュな総司から、怪我して寝てるシーンはオレステス
有起哉くんに守られ気遣われるシーンもオレステス
ミサギとのシーンは一(はじめ)ちゃん。
そして、ロクダイは、テロリスト七原。教祖という設定は最新作の(まだ公開してないけど)ルイを先取りって感じ。
ぶち込めるもん、全部ぶち込みましたか?と思いつつ見てました。


前半ラストの絶叫は、客席というか劇場を突き抜けて行くようなパワーでした。
彼の声と閃光のようなオーラが波のように3階席まで襲い来る感じ。

席、後ろでよかった~~!!!!

と隣りの人と万歳してハイタッチしたい気分でした。(してません)
光の波が見えましたよ。
これは、後方席の人、得しましたね。

この場面は上から見てると、絵のように美しいシーンでした。
構図やら色合いやら、照明やら、美しさに圧倒されました。(このシーンのポストカードがほしい)


しかも、その絶叫、ただ単に叫んでいるのではなく、きちんと感情が乗っている。
それも一つではなく、三重、四重に乗せてあるんですね。
その直前のシレンの名前を叫ぶところもそうですけど。
混乱や怒りや、動揺や、心配や、とにかく色んな感情が3階席でも充分に伝わってくるんですよ。
一つの台詞に、さまざまな感情をのせるのは、彼のもつ技の一つですね。


それを体感できる映像作品を一つ紹介しておきます。
「遺恨あり」
終盤の泣き崩れるシーンなど。
自分が犯した罪への悔恨、今までの生き方が崩れた虚無や、これからどうしたらいいのかわからない不安
そして、何よりも両親を殺された悲しみ、そういった感情が複雑に絡み合った「泣き声」だったんですね。
別に、泣き顔が画面に映るわけではなく、むしろ彼の姿はシルエットで、泣き声だけが視聴者に
届くんですが、もうね、主人公の気持ちに引きずり込まれる。
よかったら体感してみて下さいね。
作品自体も、見ごたえがありますので、時間使って損はないです。


いくらマイクの助けはあると言っても、あの声を1公演で2回も出してたら、
並の俳優だったら、2週間で声枯れるでしょうね。69回(ゲネを入れたら71回+稽古)もよくもつもんだわ。
今回は、途中で力尽きるかもと、弱気な発言もありましたけど、ちゃんとラストまでもたせて来ましたね。

しかも、2回目の絶叫は、いきなり過去に巻き戻すという、荒技演出。
感情の流れも何もあったもんじゃないですが、それでも一気に感情をマックスまで持っていけるとは
客からしたら、「ええもん見た~」でした。



後半は、悩める主人公をストレートにという要求をしっかり果たしているという印象でした。
「自由」なキャラたちの中で、「繊細」を一身に負っている感じ。

自分の欲のためなら、昔の仲間も容赦なく切り捨てるやつから、利用されて母まで手にかけてしまうおバカちゃんから
落ちぶれてもめげてない母子、しっかり覚悟決めてる人、とにかく尽くしますって人まで、
それぞれの道に、ある意味自由に突き進んでるキャラたちの中で、
ラギだけ、その場から動けない役でしたからね。

あの絶妙な「へえ。そうなんだ」はこの後半で聞けます。
ここもしっかり感情乗せてましたね~。

私がキョエエエェェェェ!!!!って奇声を発するのを必死で耐えてたのは
シレンの悪夢のシーンの「殺して」だったりするんですが。(私だけ?)

中島さんの頭の中ってどうなってんのやろ。
写真でみると、文豪みたいな雰囲気出されてますけど、
この人の頭の中、潮干狩りなんやな・・・
とか思えてきて。いや~素敵です。


しかし、客演の皆さん、劇団の空気にしっかりと馴染んでいて
私は客演が混じっているというのを全く感じなかったです。
1つのカンパニーという感じで。

実をいうと、藤原くんはもっと浮くかなと思っていました。
理由としては、育ての親が蜷川さんですし、アングラ劇を叩き込まれて、
その技術を使っての古典劇(シェイクスピアとギリシャ悲劇)
現代劇といっても文学系統が多いし、群像劇は修行中という感じ。
つまりは、アングラ色が極めて強い役者と思うんですね。

そのアングラ色の強さから「激情の文学」にしっくりくる役者だと思っていて。
例えば、三島文学や、演じたことはないですが太宰など、きっとぴったりだろうと思います。
だから、「漫画のような世界観」は、合わない可能性あるなと思ってました。

新感線のアンケートで出演を希望する俳優の上位に入ると言われてましたが、
なんで?全然分野がちゃうやん。
とマジでつっこんでたくらいです。
ところがどっこい、思いのほか馴染んでるぞ。


百戦錬磨の俳優ぞろいですから、客演と劇団員の歩み寄りがしっかりできたのかも。
入る側も受け入れる側も、互いにきれいに交じり合ったという感じ。
それぞれの燃え上がる炎の色は違うけど、一点から火は出てるというような「化学反応」を感じてきました。

ネタばれなしの感想でも、少し触れましたが、
今回、藤原くんは「言葉」を封印しています。

私、藤原くんが舞台で普通の話し言葉を話すのを始めて聞きました。
普段、舞台でこんな日常語に近い言葉は話さないですから。長台詞もなかったですし。
新鮮な反面、藤原くんにとっては、彼の特殊能力を封じ込められている状態です。

役者さんの中には、ある分野に突出した能力をもつ人が何人かいます。
新感線に出演した人で言えば、早乙女くんは殺陣や舞踊、森山くんならダンスといった具合に。
歌で感情を表現することに長けた人もありますね。

それが、藤原くんの場合は「劇言語を操る」能力なんですよ。
話し言葉としては使わない、短歌や詩、翻訳語などの半文章語とでも言うべき言語を
あたかも日常語を話しているかのように語る技術は、ちょっと他の俳優には見当たりません。

長い台詞を語るときに「波」が生まれるのも、彼以外には見かけない能力です。
まるで言葉が鮮やかな立ち回りをしていると言ったらいいでしょうか。

「藤原節」と名づける人がいるくらい、特徴的な技なんです。
誰でもできるんなら、「藤原節」なんて呼ばれること自体ないでしょうしね。
(わずか21歳で「ハムレット」を成功させたのは、この力があったからではないかと思っています)

なので、彼にキャラクターを当てる場合は、その能力を使う演出家や作家が多いんです。
30分くらい一人で語っているとか(でも10分くらいにしか感じないんですけどね)
詩や、韻を踏んだ台詞、文章語などを語らせる、などなど。

でも、今回はそれを使ってないんです。
長台詞もなければ、劇言語もない。(漫画にありそうなフレーズはいくつかありましたけど)
後半で、長めといえば長めの台詞もありましたが、いつもの比ではないですしね。


ただ、私が藤原くんの舞台を観るのは、半分はこの「藤原節」目当てで行くので、
せっかく舞台観るなら、こういうオンリーワン能力が見たいんですよ~。
あとの半分は彼の感性が作り上げたキャラクター見たさ。
藤原くんの感性は見てて飽きることがない。

なので、今回はちと耳がさびしかった。プリーズ長台詞!
例えれば、早乙女太一が出演してるのに殺陣がなかった、みたいな感じ。
でも、絶叫×2と「殺して」が聞けたんで充分満足ですけどね。


今回、初めて舞台の藤原竜也を観たという方も多いと思うので
もし、興味のある方は、劇言語を操る藤原竜也を観てみて下さい。
なんかね、好みは分かれるみたいなんですけど。
私は、この技にめっちゃ惚れてます。

動画サイトなら、「大正四谷怪談」や「ハムレット」が見れると思います。
「大正~」は、17歳のときの作品ですが、ああ、これはもうあと数年でハムレットできるなと思える怒涛の語りが見られます。
「ハムレット」は、翻訳語が普通の言葉に聞こえるという驚き。
ネット動画ではあっても、十分感じとれると思います。

「身毒丸」なら、互いに好きですという思いを伝える場面の台詞が五七五の詩という、
ど素人でも難度の高いことは容易に想像できますが
難しいことをやってるはずなのに、そうは感じさせないんですね。
ああ、互いの思いを伝えてるんだというのが、感動的に伝わってくるんですよね。
この作品はDVDが二種類出てますが、私的には「復活」がおすすめです。


それから観てて思ったのは、あの青い衣装って、すぐに着脱可能なんでしょうか。
いっぱい装飾ついてるから、大変そうなんですけど。
ラストシーンは白の衣装着てるのに、カーテンコールは青で出てきますもんね。
え?そんなすぐに着れんのそれ?ってびっくりしました。

舞台裏の段取りも大変そうな芝居ですよね。
1歩間違えたら、刀持ってないとか、帽子かぶってないとか、衣装はだけてるとか、靴はいてないとか
ズボン履き忘れた(それはカツミンのミス(笑))とか
そんなんボンボン起こりそうですけど、起こらないんですよね。
スタッフワークも素晴らしいんだろうなと、
ほんとに総合力の高さを感じた舞台でした。

あの切る動作と音も、どうやって合わせてるんでしょう?
照明も。
ぴったり合ってたから、スタッフの腕すごいなと思ったり。
そんなところも、色々感心した舞台でした。


普段は、緻密に物語が紡がれていくタイプの作品を主にみてますが、
たまには新感線さんのようにエンターテイメントの作品もいいかも。
また、機会があれば、観に行きたいと思います。

次は「日の浦姫」ですね。
同じく近親相姦ものですけど、こちらも楽しみです。
まず、井上ひさしが、近親相姦をどう扱っているか興味津々ですし、
井上作品の登場人物は、リアルで等身大な人物ばかりですから。
新感線作品は、その真逆の、現実世界にはいないヒーローやヒロイン像だったでしょう?
新感線がフィクションなら、井上作品はノンフィクション。
そういった点からも、どんなキャラクターに仕上げてくるのか、今からわくわくしてます。




シレンとラギ 役者さんたち

2012-07-07 | 藤原くん関連
「シレンとラギ」に出演の役者さんたち。
もうね、上手すぎです。
観客になんの不安も抱かせない。
例え、マイクがとれようが、カツラがとぼうが、ズボン履き忘れようが(笑)
(高橋さん大阪で一度衣装のズボン履き忘れたそうです。そのセクスィカツミン観たかった~!!)
何が起こっても、大丈夫!とでもいうような安心感と安定感。
何かあったら互いに互いをカバーできそう。自分のことで精一杯ではないのですよね。


まさに適材適所で、自分に与えられた役割をきっちりと果たしているという印象。
だから、もう、超贅沢なエンターテイメントでした。
こんな贅沢に使っていいの!?
って思ったくらい。

中でも一人、すごいおいしい役の人(犬?)がいました。
もうね、観客の視線釘付け。
3階席では、彼の決めポーズのとき、みんな一斉にオペラグラスを装着してました(笑)
暗転の度に登場して笑わせてくれます。
あれ?吉本観にきたんだっけ?と勘違いしそうになった。
吉本からスカウト来ませんか?

あ~完全っに大阪や。大阪の劇団さんやな~。

こういうところが、すごく小劇場っぽいと感じましたよ。
友人で小劇場劇団のスタッフやってる子がいて、何本か観に行ったんですけど
小劇場って結構遊んでくれるので。
箱はでかくても、この遊び心はやっぱり小劇場劇団ですね。

随所に盛り込まれるコメディ部分が、大阪人のツボを刺激!
笑った、笑った!
(しかし、東京の人は、この笑いについてこれるんだろうか?)

その筆頭が、古田さんと橋本さんのボーイズ・ラブ!ならぬオッサンズ・ラブ!
古田さんと橋本さんってBL担当なんですか!?
予想だにしなかったので、驚くやら、笑うやらで大忙し(笑)

すれ違う2人の恋の行方に大爆笑でした。
ちなみに私はじゅんさんの味方!!(笑)
じゅんさん超かわいい!!お花が・・・!!!お花・・・!!!!
今、思い出しても笑えてくる。

ぐいぐい迫るじゅんさんに、断固拒否の古田さん。(古田さん拒否するんだ~)
幾度も幾度も踏みにじられるじゅんさんの乙女心。
いつか、おちる日はやってくるのだろうか。
拒否ってたヤツが、ポロッとおちるっていう展開大好きなんだけどな~と思っていたら、
じゅんさんが斬られた~~!!!!!(涙)古田さんに斬られた~!!!!(涙)
(しかも、無残に・・・)

本気で古田さんが憎い!

古田さんは、どっちにつくのかよくわからんし、でかい野望もちつつも
実態は娘を自分のものにしたいだけって言うかなり小さいキャラだった気がする。(←キャラのことよ)
古田さんじゃなかったら、薄っぺらくなったかもしれない。何かわからないが説得力があった!

一線超えちゃったシレンとラギに嫉妬もするし。
でも、皮肉なもんだよね。ラギに娘を守らせようと兄妹として育てたわけでしょ。
身辺警護は唯一、娘の近くに置いておかないといけない男だけど
兄妹ってことにしとけば、その2人が恋仲になることはないって算段かしら。
(宦官みたいな制度は、この世界にはないんですね。あったらこんな回りくどい方法とらなくていいし。)
しかし、その算段はもろくも崩れ去るという。。。
あろうことか、ミサギが兄LOVEですもんね。

ミサギちゃんも、キョウゴクのお笑い攻撃によく耐えてました。
古田さんのネタ、面白すぎるから、大変だったろうな~。
お兄ちゃんであるラギとのやりとりは、先輩に恋した女子中学生って感じでした。


藤原くんとさとみさんも、唇を奪う奪われるの真剣勝負で笑わせてくれます。
(奪われる側が藤原くん、奪う側がさとみさん)
初日は、藤原くんが唇を死守してましたが、9日は奪われてました。
なので、日々ガチで勝負してたんでしょうね。
とういうか、この勝負のとき、藤原くんが下で、さとみさんが上という体勢なんですが
それが個人的に超絶ツボ!!!

ツボ押さえ過ぎの演出!腐女子の心理、理解しすぎや~~!!!!いのうえさ~~~ん!!!
しばらく眠らせていたのに、覚醒しそう。



三宅さんのバカ殿ぶりも、おかしくて笑いましたね。
頭はアンポンタンでも、体術はすごいのね!!!
ある意味、こういうタイプの人が一番怖いかも。。。

どこの場面の殺陣か忘れちゃったんだけど、ジェット・リーも真っ青だぜ!
みたいな中国拳法のような動きをされてて
おおお!!!って感動しました。

そんなギセンもなんか最後は愛おしくて。
王位なんて捨てて、大好きな虫と生きていってくれと心底思いました。



高田さん演じるモンレイにも、笑わせてもらいました。
勢い余ってラギまで引っぱたくとことか。
ちゃっかり不倫しちゃってたり。
ゴダイが正気に戻った辺りの演技とか、すごく好きでした。
最後のモンレイとマキシのシーンは、笑いつつもジーンとさせられました。
なんだかんだ、いい母子ですよね。
母子そろって潮干狩りの道へ突進でしょうか。

この母子を見ていると、この時点では、愛し合っているからこそ、殺し合うしかない状態に陥ってる
シレンとラギが、よけい切なく感じました。

永作さんと、藤原くんは少しコメディ要素もあることはありますが、主にシリアス担当。
コメディ要素は周りがしっかり固めるという感じでしたね。

永作さんは、実際にお子さんもいらっしゃって、
かわいらしい見た目なのに、ちゃんと母性があるので、
藤原くんが前半で特に強調していた少年性とのバランスがとてもよかったです。
最初はラギって随分子供っぽい役だなと思っていましたが、なるほどそういうことだったのねという感じ。
永作さんのマイベストは「いいや。上がいい」
女の私もドキッとしたよ~。


高橋さんは、もう、ハンサム!
よっ!ハンサムカツミン!!!

「おじいちゃんは25歳」の最終話で、出て行ったお父さんを追いかけようと思わず
外に出て行くシーンあったじゃないですか。
あそこ見たときに、お!この人、絶対舞台で映えそう!って思ってたんです。
いや~、自画自賛しますけどね、相変わらず私の目に狂いなし!映えた!映えた!

このゴダイって役いいな~。
番宣でも「高橋さんの役がちょ~かっこいいんですよ」「No.1ハンサムです」と言われていただけありますね。
女優さんはどうかわからないけど、男優さんなら、こういう役やってみたいな~と思うんじゃないですかね。
見てるだけでも気持ちよさそうですもん。恐れるものは何もないぜ!みたいな。
パワーを押し込める必要ないから全開って感じでした。

「ナナイに会いた~い」も可愛かったな。
ギャップ萌えさせる気かい?カツミン!
やっぱ技術のある役者さんはいいね!


永作さんの母性と藤原くんの少年性、もう一つ言えば高橋さんの父性がこの舞台の鍵ですね。
三者三様ばっちり出てた!!!
だから、私のラストの感動に繋がっていったのよね。


それと、有起哉くん!相変わらず台詞の通り抜群!そして、いい声~!
お父様とそっくりなお声らしいです。ええもん受け継ぎましたな~。
(藤原くんもそうなんだけど、この喉の奥の方から出ているような低音の声好きなんですよ~)
めっちゃ実直なキャラでしたが、有起哉くん特有の自由さも感じました。
有起哉さんは舞台上でとても自由に動きますよね。飄々って言葉が一番似合う人かも。

ラギを刃から守ってくれたり、精神的な支えになろうとしたり
このシチュエーションが、また私のツボっていう・・・。
(この際、お前たちもくっついちゃえよ。って思ったけど、さすがにそれはなかった。)

私のツボ、多いわ~。この舞台。
あか~ん。ツボいっ!!!って瞬間が何度あったことか。。。
エンターテイメントに徹しくれたキャスト、スタッフの皆さんに感謝ですね。

というか、この舞台、漫画にならないかな?
そのまま出来そうなんだけど。
漫画でよくある特殊な「血」や一族も盛り込まれてるし。(ラギは一般人とのハーフってことでいいですか)
自分たちの血を与えて蘇らせていくって、完っ全に漫画の世界ですよね~。
私的には、キャラクターに色気が漂う画風の富樫さんの絵で見てみたいかも~。
ここまでとことんフィクションの世界を舞台上で成立させたスタッフ、キャストの皆さんに
私、惜しみない拍手を送ります!


それから、この舞台ね、オヤジたちがめっさ格好いいの!
動きキレあるしね。ユーモアあるしね。セクシーだしね。
オヤジの理想形が集結って感じよ。
全国のオヤジたちに見てもらいたかったよ。
(観にいったうちのオヤジも何かを学んでくれてたらいいんだけど、今のところ何も変わってない。)


次は、藤原くんについて書きますね~。



シレンとラギ ネタばれ感想②

2012-07-05 | 藤原くん関連
演出面の発見も多々ありました。
パフォーミングアート的な動きも取り入れられていて、人間の動きってさまざな模様を
描けるんだということを発見。

私がシビれた演出は以下。

・人が椅子になる
・人が寝床になる
・寝床がテントになる
・教団員が進軍するシーンの動き
・ロクダイ誕生のシーンの白服の人に囲まれた青の衣装のラギ
・シレンの夢でラギとゴダイが重なるシーン
・シレンの夢でラギが「殺して」と訴えるシーン

とてもアート的で、演出に惚れちゃいました。
特に、シレンの悪夢は秀逸でしたね!
布の中でラギとゴダイが重なるところは、あの布の中はどうなってるの?藤原くんと高橋さんどう動いてんの?
ってちょっと覗いてみたくなった。
あと、出産を思わせるシーンね。シレンからしたら、生んだ子が「殺して」と訴えてくるシーンですけど。
ここも、現在のラギの苦悩が重ねてあってよかったです。

おおおおお~!!!
ってなりました。


あと、演劇で回想シーンやるのは大変だなということ。
映像なら、セピアか白黒かで映像処理すれば終わりですが
演劇では、もう一回、同じ動きと同じ台詞を同じように繰り返さねばならないですもんね。
しかも、感情の流れは絶たれた状態で。役者さんの負担(とくにあの絶叫がある藤原くんの負担)はいかばかりか。
うちは父親も観にいったのですが、この回想シーンがすごかったと言ってました。


今までの舞台と違って、戸惑ったこともありました。
まず、舞台が始まっても真っ暗にならなかったこととか。あれ?何?このまま始まるの??って。

台詞がマイクを通してというのも初めて経験しました。
最初誰がどこにいるのかわからず、一人でオロオロ(汗)してました。
特に3階席でしたしね。天空から見下ろしてる気分でした。

時代劇タッチなのに、現代の言葉なのも、最初ちょっと戸惑いました。
一人称「オレ」なの!?とか。
(新感線は、毎回このスタイルでしょうか?)

まあ、私は順応性もあるんで、すぐ馴染みましたけど。


演劇的な言葉遊びがほとんどないのは、ちょっとさみしかったです。
私、演劇独特の言葉遊びが大好きなので。

映像でよく目にする人が、客演で出ることも多い劇団ですが
言葉の面だけみたら、映像メインの人でも、出演しやすいかもと思いました。
ただ、初日、5月9日ともにシレンの台詞は聞き取りにくいことも多かったので、
そう単純な問題でもないのかもしれません。



殺陣に関しては、詳しくないのでわかりませんが、
今回のような「動く」殺陣を見ると、今まで見たのは「型で魅せる」殺陣なのかなと思いました。
何かタイプが違う。

キョウゴクにラギが切られるシーン。
キョウゴクが躊躇なくラギを切ったもんで、私も含めて私の周り、皆、エーーー!!!!って顔になってました。
(このときはまだ、この2人が父子と思ってたもんで)
そして、うわっ!切られた!イタッ!って客席みんな、そんなリアクションになってました。

切るほうも切られる方も、絶妙のタイミングだったんでしょうね。
藤原くんは後ろ見えない状態ですから、古田さんと阿吽の呼吸が要りそう。

あと、何気に主役の2人着替え多いですよね。
5、6回着替えてませんか?
そでにはけても、裏はバタバタかも。

3階席で観ていたからかもしれませんが、途中何度か映像作品を観ているかのような気分になったんです。
役者さんの表情や、細かい動作は見えませんから、大体の動きと、音声で観てたのですが、
俳優陣が達者な人ぞろいでしたから、声だけで表情まで手に取るように浮かんできたんです。
まるで、目の前でスクリーンを見ているような感覚になりました。

これ、ちょっと映像でも見たいかも~!(って、新感線はゲキシネあるんだった)とか、思いながら見てました。
こんな濃いメイクと独特の衣装の映像作品ってあんまり見かけないですもんね。
映像になるのがすごい楽しみです。


あと、私が生まれる前からある劇団に対して言うのは、おかしいかもしれませんが
「若い」「新しい」
と感じました。
作風も、演出も。

多分これは、私が新劇やアングラ劇が好きということが原因でしょう。
新感線は小劇場系ですから、アングラ劇よりずっと新しい時代の演劇なんです。
ちなみに、アングラ劇は1960年代~、小劇場系は1980年代~です。(ざっくりとですが)
主にアングラ劇や、古典劇を観ている私には、「新風」に感じるんですよね。
こんな演劇が出てきたかっ!
って感じ。

・・・
・・・



私、どれだけ時代の流れに取り残されて生きてるんでしょう(笑)
30年くらいタイムラグがありますね。

だってアングラ劇が大好物なんですもん。
そりゃ昭和をさすらってますよ。
私はまだ平成をむかえてません!(笑)
迎えたくもないし!

公演前の雑誌のインタで、中島さんといのうえさんが
「異色作になる」と言われていたので、
新しいチャレンジをきっといっぱいされたんでしょうね。
新しいことをすると、賛否両論を呼ぶのが常ってもんですが、それもきっと覚悟の上でしょう。

過去の作品を観てないですから、合っているかわからないですけど
今までは、自分たちの演劇を追求してこられたのではないかと
そして、この作品では、周りの人々に目を向けて、他人と繋がる作品を作られたのではないかなと
例によって勘ですけど、そんなことを感じました。


私にとっては、「シレンとラギ」が初・新感線でよかったと思います。
観劇した時の心の動かされ具合は、色々観た舞台の中でも上位入賞です!!
ほんとにぐいぐい物語の中に引きずり込まれて、最後、涙出そうだった。
いや、たぶん出てた。
観れてよかったなと思うお芝居でした。

今もラストシーンが胸に焼き付いています。
明日も頑張ろう!


シレンとラギ ネタばれ感想①

2012-07-04 | 藤原くん関連
「シレンとラギ」のストーリーと演出についての詳しめな感想です。
忘れないように書いておいたものなのですが、
先日、無事に千秋楽を迎えたので、そろそろアップしようかと思います。
ゲキシネまでネタばれしたくない人は読まないで下さいね。



4月24日大阪公演初日 席はB席なんで3階でした。
(まさかの大阪公演初日の感想です!いかにロング公演だったかわかりますね~)

いくつか、他の方の感想も読んでみたりしたのですが、人によって見方バラバラ。
ここまで分かれる作品も珍しいですね!
それだけ、観客に解釈をゆだねる部分が多かったのかもしれません。

私は、感受性も想像力も創造力もかなり豊かなタイプの人間なんで
ゆだねられた部分はきっちり繋いで、観れたみたい。
繋いだという自覚もないんですけど、他の人の感想と比べると、自分で繋いで観てたかな、というとこ多々ありました。
でも、めっちゃ感動できたんで、結果オーライです!

しかしまあ、驚いたことに私と似た感想の人が、一人もいな~い!!
いつも大体一人くらいはいるもんなんですが、誰か私と同じ観点でこのお芝居みた人いませんか。






というわけで感想です↓

私、今まで、「物語のために俳優がいる」芝居を観てきたんです。
なので、こんな「俳優のために物語がある」芝居って、ストレートプレイでは初めて見ました!
(宝塚は見てましたが、ミュージカルですから)

宝塚が少女マンガを演じるものなら、新感線は少年マンガを演じているって感じでしょうか。

井上ひさし作品にしても、古典劇にしても、アングラ劇にしても、野田作品にしても
作家の描いた物語を成立させるために俳優がいるんですが

新感線は、俳優をいかに魅力的に見せるか、そのために物語があるという印象です。


公式HPに掲載されているストーリーは、物語のほんとに入り口の設定で、
これが、ストーリーが進むにつれて、どんどん入り乱れてきます。
1幕終わりでは、シレンとラギは実は母と子で、ラギはゴダイの御子であるという驚きの展開。
君たち3人が実の家族やったんか!?
(って判明したとき、客演の使い方、絶妙すぎひ~ん!!!って叫びたくなった)


ていうより、近親相姦じゃない?近親相姦や~ん!!(喜)
大好物の設定にアドレナリンMAX!!!

シンデンにラギはキョウゴクと似ていると言われて
キョウゴクが「そんなハズはない!」と否定したところで、まさか・・・という予感がしたけど、
本当に使ってくるとは!

うちの母が永作さんと藤原くんは似ていると言っていたのも、あながち外れてはいなかった。

HPのキャラの設定を見てたら、シレンはかなり濃いキャラなのに、ラギはいまいち薄いな~と
思っていたら、こういう仕掛けかい!!
休憩中トイレの列に並びつつ、実は濃い設定だったことにニマニマが止まらない。
こういう設定のキャラ、めっちゃ好きやわ~。

キョウゴクも娘のミサギに恋しちゃってるし。(しかも、こっちは実の娘の知っていて)
君たちは、何か?
近親に恋しちゃうのか?

登場人物たちは、み~んな歪んだ愛の関係だらけ!
母ー息子 父ー娘 兄ー妹 男ー男(これは主にじゅんさんのお笑いパート)
あと不倫もあったな。禁断愛のオンパレード!

私、個人的には、禁断愛は好物です。
現実的には問題アリアリですけど、虚構の中ではそそられる。むしろウェルカム!
イケナイとはわかっていても、止められない、止めてたまるかー!!
みたいなのたまらんじゃないですか。


ただ、禁断愛の使い方は、アングラ劇の方が好みかな。
アングラ劇では、禁断愛から、女と男の業があぶり出されてくるので。
新感線では観客に驚きを与える(話を盛り上げる)、1つのアクセントとして使われている感じを受けました。
なので私の中では、「シレンとラギ」はドロドロ度は低め。
予想よりアッサリしてました。

近親相姦で藤原くんとなれば「身毒丸」と思考が走ってしまいますが、よくよく考えたら違いますね。
撫子と身毒って、母子と言っても血は繋がっていませんし。
“家”という縛りさえなけりゃ、年の差カップル(こういうと軽いですけど)で成立するわけですよ。
「身毒丸」は撫子と身毒が女と男になることで、“家”や“父親の権力(家父長制)”という概念を破壊する作品ですからね。
(アングラ!)
愛する人に老いていく自分を見られたくない一心で目を潰したり、拒絶されて呪ったり、
女の業が見事に描かれた作品だなと思います。
そして、拒絶しながらも、女に惹かれていく男。
母を女として愛している自分を受け入れたとき「息子」から「男」になるんですよ。
まさに「背徳」!
私の中でドロドロって言ったらこれです。

でも、今回はアングラ劇ではないですし、(既成概念の破壊が目的ではないですからね)
豪華なエンターテイメント作品なので、この位が丁度いいドロドロ具合かも。


ただ、何かに似てるなと考えていて、あっと思ったのが、ギリシャ悲劇!
母と子で血が繋がっていて、さらに父殺しもありますから。
シレンが悪夢にうなされるシーンは、思えばギリシャ悲劇っぽかった!
和洋折衷な衣装もそのためかしら。

シレンとラギは驚愕の事実に互いに戸惑いながら、
アイはコロシアイの道を行くのかと思ったけれど
最後は人としてのアイへとたどり着く。

「母として?女として?」と聞くラギに
「人として」
と答えるシレン。

ラギの表現する「絶望」と、シレンの表現する「希望」
この2人の対比が、きれ~い!!

この2人は様々な面で対照的だったんです。
ラギ  : シレン
「死」 と 「生」
「男」 と 「女」
「子」 と 「親」
「絶望」と「希望」
って具合に。

そして最後、「絶望」から「希望」へ行くのがいいですね。
「死」から「生」へ
殺すための血は、生かすための血へ

このラストシーンは、胸に焼き付いています。
私、2人とも死んじゃうんじゃないかと思っていたので、生きる道を選択してくれたことが
ものっすごい胸にドーンと来たんですよ。
やられたー!!!
って感じでした。


モンレイとマキシ親子も、力強く生きていったし。好きなだけ潮干狩りやってくれ。
ギセンも、虫とお幸せに~ってラストだったし。
命なんていうのは、簡単に絶っていいものではないし、絶てるものでもないんだ
ってことを言われた気がしました。

今までは、忌まわしい呪われた血だったかもしれないけれど、
これからは殺すためでなく、生かすために使おう。

死ぬために流すのが血じゃない。
血は生きるために流れているんだというメッセージが
す~と心に届くようなラストでした。

この作品のテーマを一言で表すなら
「生きよう」
この4文字に収まる気がします。

自分の血を呪ってるというと表現が強烈ですが、自分の血(命)の意味に疑問を持ってる人って、
意外とたくさんいると思うんです。
表立って口にしないだけで。
そんなことをおぼろげながらも考えたことがある私には、強烈なメッセージとして届いたんですよ。


「人として」という言葉が、母から子へ投げられたことにも意味を感じます。
母親は、「血」の使い方を子に訓える存在なのかもしれません。
そして父親は、越えるべき壁、強く生きる術を伝授するのかもしれません。
そう考えると、「親子」を描いた物語だったのかなとも思えてきます。


薬というのは、「毒」にもなれば「薬」にもなる。
人を殺す技術は、人を生かす医術にもなる。
流れる血は「死」でもあれば、「生」の躍動でもある。
そして「生」へ行こう!

というテーマがストーリーの核としてドーンと存在するので
ブレがなくてとてもよかったです。

「人として」に心鷲掴みされました~。

劇評にもあるように、今の日本や世界を風刺してるかなと感じる部分もありましたが
それは、あくまで物語の装飾で、
この芝居の一本柱は、「生きよう」だったと思います。

今の日本を風刺してると感じた点も書いておきますね。

愚かな者が支配者になると臣下はたまったもんじゃない。(国民は怒りを通り越してあきれてますよ)
ギセンみたいなバカ殿も困るけど、ゴダイみたいなカリスマも困る。虫も嫌です。椅子も嫌です。犬も嫌です(笑)。
ゴダイの方が洗脳力のある分、たちが悪い。

ラギは落ち着いたら善政しけそうな気もしますけど、混乱状態というか自暴自棄で国を治められると恐怖です。
南の国に降った毒は、まさに、放射能。


襲い来る絶望の中で、それでも立ち上がっていくのが人間なのかなと。
すべてが再生されていくラストに、
確かに、今自分はこういう未来を夢見ているかもしれないと思いました。

現実には、自分の血で全てを蘇らせてくれるシレンとラギのような人物はいないですから
一人一人が、この2人みたいに進んでいかないといけないってことでしょうね。

あ、でも、こうも思うんです。
芝居というのが、シレンとラギかもしれないと。
明日への活力をくれますから。明日また立ち上がろうか。今日ちょっと死んでたけどって。

3.11後に「演劇なんてやってる場合か」とかいう人もいたそうですが、(誰じゃ!)
こんなときだから、人は夢を見たいんじゃないか!夢見て悪いか!
私はそう反論しておきます。
中島さんの描いたラストシーン、そう受けとっていいですよね。


めっちゃ長くなってしまいました。。。
演出面についても書いてるんですけど、わけますね~。
2へ続く。