ペコリーノのBL読書日記

BLスキーのペコリーノのBL読書日記。素人の感想&個人的な覚書です。100%自分向けのためネタバレ全開です。

「DEADLOCK」英田サキ著 イラスト:高階佑 徳間書店キャラ文庫

2007-07-29 01:48:34 | 英田サキ
「DEADLOCK」英田サキ著 イラスト:高階佑 徳間書店キャラ文庫
2006/9/27初版 299ページ。
 
 「DEADLOCK」「DEADHEAT」 「DEADSHOT」と続くシリーズの第1弾。ジャンルとしては「刑務所モノ」。
 主人公の日系アメリカ人・ユウトはDEA(麻薬取締局)の捜査官だったが、相棒殺しの濡れ衣を着せられ、刑務所に送られる。出所の条件として、同じ刑務所に収監中で、誰か特定されていない爆弾犯コルプスの正体を探し出さなければならない。果たしてユウトはコルプスを探し出し、再び外の世界に戻れるのか・・・。

 英田先生といえば「エス」シリーズなんだろうけど、買ったまま、まだ読んでいない。私がヤクザ物が嫌いで食指が動かないうちに、このシリーズを先に読んでしまった。かなり前に「花嫁のピジョンブラッド」を読んだことがあるが、正直、頂けなかったので、この作品にもあまり期待してはいなかった。
 
 お話の内容は、刑務所物のお約束が随所にちりばめられ、刑務所モノとしては特に目新しいところはなかったのですが、近年のボーイズラブ作品の中では力作だと思いましたよ。
 最近のBLはHのありきで、ストーリーはHシーンの二の次という作品が目に付く中(タイトルもどうしようもないのが多いもんねぇ。「淫乱な~」「セックス~~」とか)、この話はきちんとしたストーリーがあって、その中にHがうまく組み込まれていた。

 主人公の日系人・ユウトを始めとしてキャラクターの作りこみがすごくしっかりしている。それが小説に厚みを与えている。主人公のユウト、相手役のディック、謎の爆破犯コルプスなどの中心人物のほかに、ムショ内のヒスパニック系グループのリーダー、ネト、黒人系グループのリーダーなど、登場シーンが少ない脇キャラでもきちんとキャラクターが作りこまれていて、描写もされており、これらのキャラクターが織り成す人間関係もよくできていると思う。
 
 現代のアメリカの刑務所事情を上手く織り込んだストーリー+綿密に書き込まれた登場人物。その反動で(!?)Hシーンが少ない。だから、Hシーン読みたさにボーイズラブを読んでいる人には物足りないだろうし、甘々話が好きな人には刑務所内での囚人の暴動やレイプシーンが不快に感じることだろう。
 でもまぁ、そういった好き嫌いは別にして、「読める」話だと思うし、二作目の「DEADHEAT」は「DEADLOCK」以上に、英田先生の小説家としての力量を感じる作品だった。

最新の画像もっと見る