「アシンメトリー」 水原とほる著 イラスト:高緒拾 笠倉出版社 クロスノベルズ
2006年11月24日発行 230ページ
水原とほる先生の書くものは「ボーイズラブ」というよりJUNEくさい。
攻めキャラ、受けキャラともに美形。
ともにモテモテ。
大体において受けはスカしている。この話もその例に漏れず、なんつーか、水原節であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
受けの香津美はジュエリーデザイナー。
行き着けのバーでは、香津美を狙う三人の男がいる。香津美はその一人、北条に惹かれているが自分からは誘うようなマネはしない。
香津美の身体には秘密があった。香津美には睾丸が半分しかないのだ。
高校生の時、初めて関係を持った先輩が香津美の秘密をバラしたため、香津美は深く傷つき、以来、他人を拒絶するようになった。
ある日、北条以外の二人が香津美を誘い出す。香津美はレイプされ、秘密が暴かれる。
香津美は北条に助け出され、「抱いてっ!あんな連中もあとを残したままじゃ、我慢できないんだ」「この体がいやじゃなければ、どうにかして・・・」と北条に迫り、結ばれる(お互いに告白しなかっただけで、両思いだった)。
結ばれた後、
香津美「これが俺なんだ。いやじゃなかったら、見て」と、秘密の箇所を見せる。
北条「アシンメトリーだな。 おまえの作る作品と同じだ。これもオリジナリティーだな」
と、いうわけで、めでたしめでたし。
タイトルの「アシンメトリー Asymmetry」とは不調和とか、非対称という意味です。
んで、香津美の初体験の時に、香津美の睾丸を見た先輩が「アシンメトリーだな」と言う。いや、正直、このシーンを読んだときは吹いてしまった。
そしてその後の北条のアシンメトリー発言で、もうついていけなくなった。
あと、香津美のデザインするジュエリーの特徴が「アシンメトリー」らしい。「自分の体の秘密がいつの間にか作品に反映されていた」そうである。そんなバカな(笑)。
私に水原ワールドはどうも合わないようだ。本人は大真面目なのだろうが、コメディにしか思えない。
同人漫画家の杏樹&紫苑の『背徳のリフレイン』と同じ感覚。
水原先生は、BLの中でもハード&マニアックなHにトライされています。エネマやスカに続き、今回はやりながら暴力を振るったり、フォークで刺したり。この辺りは好みが分かれるでしょうねぇ。あと、受けが望まぬ相手にやられそうになって、普通のBLだと間一髪で助けが入ったりするんだけど、水原先生の場合、無残にもやられてしまいます。編集者さんによってはNG出しそうですが、こういうのが水原先生の持ち味なんでしょうかね。
主人公の職業、相手の職業などは、殆んど意味がありません。単なる書割というか記号でしかないのが、また水原ワールド。どんな職業だろうと、揺らがないし、物語世界には影響しません
それから、これは水原先生だけではないのですが、BL読んでて、時々目に付くのが、男同士なわりに、お洒落すぎる食べ物の描写。
丼飯ではなく、何故かこじゃれた物を好んで食べてたり、作ってみたり。
んでもって、必要もないのに、それらの食べ物描写が多かったりするのですが、この話もそうでしたね。
目に付いたところを拾ってみると、
香津美がレイプされるのも知らず、北条以外の二人の誘いに乗り、家を訪れる場面で、香津美は食料を買って行く。
「近くのオーガニック食材を使った惣菜やパンを売る店で」
「旬の秋茄子を使ったマリネや、キノコのキッシュなど」「クルミとレーズンの入ったパンとチーズも二種類」 買っていくのである。これが男三人の夕食か?
同時収録の「傷痕」は、香津美と北条のその後のラブい話。
イタリアンレストランでの北条と香津美の食事風景。
北条は「ペンネ・アラビアータとスピナッチサラダとエスプレッソ」。
香津美は「ずわいかにのリングイーネを食べきれず三分の一ほど残すと、サイドオーダーの温野菜のサラダ+カプチーノ」
「ホウレン草のサラダ」ではなく「スピナッチサラダ」ですぜ。
水原先生の場合、なんか「無理して書いてる」感がつきまとうのは何故?
ところで、表紙の折り返しのところに著者とイラストレーターのプロフィールがあるのだが、水原とほる先生のところには
「原案、小説、挿絵拝見、関係者各位感謝担当」とのみ、書いてある。
わけがわかりません(笑)。
ジュエリーデザイナーが主人公、もしくはメインキャラの話だと
松岡なつき「チェイン・リアクション」
崎谷はるひ「不機嫌で甘い爪痕」
「インクリュージョン」 あたりを思い出した。
片タマだと
木原音瀬「脱がない男」上・下 くらいか。
2006年11月24日発行 230ページ
水原とほる先生の書くものは「ボーイズラブ」というよりJUNEくさい。
攻めキャラ、受けキャラともに美形。
ともにモテモテ。
大体において受けはスカしている。この話もその例に漏れず、なんつーか、水原節であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
受けの香津美はジュエリーデザイナー。
行き着けのバーでは、香津美を狙う三人の男がいる。香津美はその一人、北条に惹かれているが自分からは誘うようなマネはしない。
香津美の身体には秘密があった。香津美には睾丸が半分しかないのだ。
高校生の時、初めて関係を持った先輩が香津美の秘密をバラしたため、香津美は深く傷つき、以来、他人を拒絶するようになった。
ある日、北条以外の二人が香津美を誘い出す。香津美はレイプされ、秘密が暴かれる。
香津美は北条に助け出され、「抱いてっ!あんな連中もあとを残したままじゃ、我慢できないんだ」「この体がいやじゃなければ、どうにかして・・・」と北条に迫り、結ばれる(お互いに告白しなかっただけで、両思いだった)。
結ばれた後、
香津美「これが俺なんだ。いやじゃなかったら、見て」と、秘密の箇所を見せる。
北条「アシンメトリーだな。 おまえの作る作品と同じだ。これもオリジナリティーだな」
と、いうわけで、めでたしめでたし。
タイトルの「アシンメトリー Asymmetry」とは不調和とか、非対称という意味です。
んで、香津美の初体験の時に、香津美の睾丸を見た先輩が「アシンメトリーだな」と言う。いや、正直、このシーンを読んだときは吹いてしまった。
そしてその後の北条のアシンメトリー発言で、もうついていけなくなった。
あと、香津美のデザインするジュエリーの特徴が「アシンメトリー」らしい。「自分の体の秘密がいつの間にか作品に反映されていた」そうである。そんなバカな(笑)。
私に水原ワールドはどうも合わないようだ。本人は大真面目なのだろうが、コメディにしか思えない。
同人漫画家の杏樹&紫苑の『背徳のリフレイン』と同じ感覚。
水原先生は、BLの中でもハード&マニアックなHにトライされています。エネマやスカに続き、今回はやりながら暴力を振るったり、フォークで刺したり。この辺りは好みが分かれるでしょうねぇ。あと、受けが望まぬ相手にやられそうになって、普通のBLだと間一髪で助けが入ったりするんだけど、水原先生の場合、無残にもやられてしまいます。編集者さんによってはNG出しそうですが、こういうのが水原先生の持ち味なんでしょうかね。
主人公の職業、相手の職業などは、殆んど意味がありません。単なる書割というか記号でしかないのが、また水原ワールド。どんな職業だろうと、揺らがないし、物語世界には影響しません
それから、これは水原先生だけではないのですが、BL読んでて、時々目に付くのが、男同士なわりに、お洒落すぎる食べ物の描写。
丼飯ではなく、何故かこじゃれた物を好んで食べてたり、作ってみたり。
んでもって、必要もないのに、それらの食べ物描写が多かったりするのですが、この話もそうでしたね。
目に付いたところを拾ってみると、
香津美がレイプされるのも知らず、北条以外の二人の誘いに乗り、家を訪れる場面で、香津美は食料を買って行く。
「近くのオーガニック食材を使った惣菜やパンを売る店で」
「旬の秋茄子を使ったマリネや、キノコのキッシュなど」「クルミとレーズンの入ったパンとチーズも二種類」 買っていくのである。これが男三人の夕食か?
同時収録の「傷痕」は、香津美と北条のその後のラブい話。
イタリアンレストランでの北条と香津美の食事風景。
北条は「ペンネ・アラビアータとスピナッチサラダとエスプレッソ」。
香津美は「ずわいかにのリングイーネを食べきれず三分の一ほど残すと、サイドオーダーの温野菜のサラダ+カプチーノ」
「ホウレン草のサラダ」ではなく「スピナッチサラダ」ですぜ。
水原先生の場合、なんか「無理して書いてる」感がつきまとうのは何故?
ところで、表紙の折り返しのところに著者とイラストレーターのプロフィールがあるのだが、水原とほる先生のところには
「原案、小説、挿絵拝見、関係者各位感謝担当」とのみ、書いてある。
わけがわかりません(笑)。
ジュエリーデザイナーが主人公、もしくはメインキャラの話だと
松岡なつき「チェイン・リアクション」
崎谷はるひ「不機嫌で甘い爪痕」
「インクリュージョン」 あたりを思い出した。
片タマだと
木原音瀬「脱がない男」上・下 くらいか。