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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第13回 

2009年10月20日 14時35分35秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

第19条、第20条


【2009年10月20日(火)】

◆第19条 本部で経営者、本部マネジャー、店長を交えた情報交換の場を持つ

 セルフレジの導入が与えるメリットを企業全体、本部全体の経験・ノウハウにまで高めていくことが大事である。第18条では、個々の導入店舗の経験・ノウハウを本部の問題ととらえることの重要性を説明したが、第19条は、未導入の店舗も交えて、セルフレジの導入で得た経験・ノウハウを企業全体、本部全体の財産にすべく、経営者と本部マネジャー、全店長で情報を交換し、情報の共有化を図ることで、企業の総合力を強固にしていくことの重要性を説明する。ここで対象となる本部マネジャーは情報システム部などセルフレジに関係する部署だけでなく、できるだけ多くの部署のマネジャーが参加することが望ましい。第17条は、セルフレジの導入をレジ部門だけの問題でなく、店舗の問題としてとらえるために、店長、他部門担当者を交えた情報交換の場が必要であることに焦点を当てたが、それを、第18条を経て、企業全体、本部全体の問題として昇華させた。セルフレジ未導入の店長からの視点、質問、問題提起が導入店舗の参考になることがある。原理は第17条と同じである。
 1店舗で得た情報とノウハウは普遍性を持つ。どの地方、どこの地域でも、同じ形態の店舗、同じような品揃え、同じような価格帯で販売するスーパーが存在する。店舗の形態、品揃え、価格帯は商圏特性によって決まる。全国どこの商圏も共通項が多いことになる。顧客ニーズに共通性も認められるはずである。まして、1つの企業が同じコンセプトを持つ同一業態で出店する地域であれば、共通した顧客ニーズ、顧客の傾向性があることは間違いない。顧客サービスに求める要素も共通していることになる。
 セルフレジ導入の成功事例は、セルフレジ未導入の店舗にも参考になる。セルフレジで顧客サービスが向上した店舗があることは、その店舗が他の店舗には持つことが不可能な成功する特別な要素を持っていない限り、他の店舗でも成功することが可能であることを示している。すべてが有人レジであるセルフレジ未導入店舗においては、自店舗内でセルフレジと有人レジの比較はできないが、セルフレジ導入店舗の顧客サービス向上の経験・ノウハウは、有人レジの顧客サービスの見直しに生かされることになる。また、セルフレジを導入して失敗したという店舗があれば、成功した店舗に比べて改善すべき課題があるということである。この課題も特別な要素でない限り、改善可能なものである。
 セルフレジ導入店舗で、セルフレジが有人レジを上回る顧客サービスを実現できたという経験・ノウハウの共有は、セルフレジ導入店舗と未導入店舗ともに、その店舗のレジにおける顧客サービスの見直し、向上に役立つことになる。
 セルフレジ導入の経験・ノウハウを全店舗で共有することは、企業の総合力を強くしていくことにつながる。顧客サービスが競争に勝ち残る大変重要な位置を占める時代を迎えている。商圏特性、顧客ニーズに大きな差がない限りは、同質化を追求する中で競争力を強める要素を築き、一方で同質化競争を避ける差異化の要素を強めていかなければならない。顧客サービスは、それらの要求を満たす要素の1つである。企業の総合力が問われている。企業の総合力は経営者の考え方が末端のアルバイト、パート社員にまで行き届き、店舗数が多くなっても、経営者が店長を務める1店舗のような強さを築けるかどうかがカギを握ることになる。新しいことへの取り組みは、それを材料にして、企業の総合力を強くするチャンスとなる。セルフレジの導入は、そのチャンスとしても注目されるのである。


◆第20条 現場からの提案は平等に扱い、得られた成果は全員の成果とする 

 店舗あるいは企業の総合力が求められる時代においては、店舗における1人1人、企業における1店舗1店舗が大事な主役でなければならない。突き詰めれば1人1人が企業の主役だということである。何事の提案でも最初の提案者が大事である。最後にまとめの意見が出る頃には最初の提案内容が一片も残っていないことがある。それでも、最初の提案は大きな評価に値する。最初の提案はタタキ台となるが、タタキ台が最後には何も残っていないことは十分な議論が重ねられた証左である。タタキ台が残っているとすれば、議論が尽されなかったのか、タタキ台が結論に匹敵するくらい優秀だったのか、どちらかである。いずれにしても、議論を重ね、出された結論においては、タタキ台は非常に大事な役割を果たしたことになる。タタキ台が多くの意見を引き出す重要な役割を果たし、出された結論が優秀であるということは、導かれた結論は、途中の1つ1つの意見をきっかけに議論が重ねられてきたわけだから、最後には消え去っていても、途中の意見もまた重要な役目を果たしたことになる。
 また、提案者と実行者は平等に区別することが大事である。提案者が提案の内容を一番理解しているとして、実行者の中心にならなければならないとすれば、提案者は自分の実行可能な範囲のことしか提案しなくなる。提案は例え実行不可能な要素があるとしても自由に行われなければならない。それがきっかけとなって、実行可能な新しい提案が出てくることがある。提案された事を皆で検討し実行可能となれば全員の責任で実行し、その成果も全員の功績としなければならない。そうすることで、全員のモチベーションが上がり、上がったモチベーションは良い結果をもたらす。一方、素晴らしい提案であっても、実行できない現状があれば、皆の責任において見送ることも必要である。提案から結論までのプロセスにかかわった人たちは、すべて、それぞれの役目を果たしたと考え、平等に評価すべきである。
 担当部署内、店舗内、企業内、または、その縦断的、横断的な情報の交換、情報の共有による成果は、情報を交換した人と部署、情報を共有した人と部署のすべての成果と考えるのが正しいと言える。
 レジ係など部門のチームワーク力、店舗の総合力、企業の総合力で差異化を実現していく時代である。4番打者を9人揃えた野球チームを作っても強いチームにはなり得ない。1人1人が自らの役目をきちんと果たす9人で編成したチームが強いチームになる。情報を皆で交換し、情報を共有するということは、強いチーム力、強い総合力を作ることである。まさに、セルフレジはチーム力、総合力で顧客サービスを向上させ、競争力のある企業力を作る最良のシステムである。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第12回 

2009年10月19日 22時26分25秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

第17条、第18条


【2009年10月19日(月)】

◆第17条 店長、他部門担当者を交えた情報交換の場を持つ

 セルフレジの導入は店舗の問題ととらえるべきである。レジ係の採用難の解消やレジコーナーの活性化でも、レジコーナーにおける顧客サービスの向上、顧客満足度の向上というのでもなく、店舗として来店する顧客に提供する顧客サービスの向上策と考えるべきである。店舗の問題だから、現場のことを熟知している店長とはいえ、レジ係と正面から向き合って情報交換をすべきである。マニュアル通りの接客ができているかどうかの確認や意見を聞くといったことではない。レジは人と人がリアルに接する現場である。リアルの現場情報は現場の最高責任者が現場担当者に直接聴くのが当然である。作業状況をチェックしたり、報告を聞くのではない。店長の視点ということもあるが、そういう立場からの見方も含めて、上下関係を取り外した情報交換が大事である。
 また、現場担当者以外から見える問題点や感想、意見がある。セルフレジについての顧客の声を他部門の担当者が聞くこともある。問題点が発見されれば、全従業員がメモや口頭で迅速に関係部署に伝えることはもちろんだが、店舗の問題ととらえると、顔を付き合わせて情報を交換し、店長や他部門担当者も含めて、情報を共有し、改善点があるなら智恵を出し合って改善策を考えることが必要である。
 レジコーナーの範ちゅうで考えると、レジ係同士の情報交換、情報共有が必要だが、店舗の範ちゅうになると、店長、他部門担当者など店舗全体の責任者間での情報交換、情報共有が不可欠となる。1つの部署より2つの部署、2つの部門担当者より3つの部門担当者の目を集めた方が店舗全体の視点から、個々の問題点や改善点がよく見えてくる。
 これはセルフレジの問題だけではない。仮に、惣菜に力を入れているのなら、それを惣菜担当者だけでなく、惣菜部門以外の担当者も店舗施策、会社の方針であることを理解すると、様々な意見を引き出し、改善点の抽出と改善策の実行で智恵を集めることができる。売場を歩いていて陳列の乱れがあれば、従業員はどこの陳列でも整え直すのが当たり前だが、惣菜に力を入れていること、その背景などの情報を共有していれば、売場や陳列への関心が強くなる。機敏に商品を整え直す態度は、顧客には陳列されている惣菜商品のイメージを良くする。かつて、青果一筋のベテラン担当者に商品陳列の仕方を聞いたことがある。担当者は、商品が売場から顧客に向かって買ってくださいと声をかけているような陳列を心がけている、と話していた。抽象的だが、具体的な行動が目に浮かぶような印象を持ったことを思い出す。
 そういう店舗風土がそれぞれの売場や業務部門で養われれば、店舗力が強くなる。セルフレジの導入は、そういう店舗の風土作りのきっかけを与える。そういう風土がすでに出来上がっていれば、セルフレジの導入は、顧客サービスの向上、顧客満足度の向上を、さらに押し上げる効果を生み出し、店舗力を強めていくことになる。


◆第18条 店舗で経営者、本部マネジャーを交えた情報交換の場を持つ

 セルフレジの導入、店舗力の強化を企業経営の問題、本部の問題ととらえることが重要である。店舗は売上、利益を生み出す企業経営の最も大事な要である。どんなに素晴らしい経営方針を打ち出しても、どんなに利益の出せる仕入をしても、どんなに魅力的な商品を揃えても、どんなに競争力のある価格設定をしても、店舗にそれらを顧客に提供する力がなければ、売上を上げられないばかりか、ロスを生み出し、利益の確保も難しくしてしまう。店舗の実態は、企業経営そのものを映し出すものであり、本部施策そのものが評価される場所である。企業のすべての活動、すべての業務が結実する場所が、顧客に商品を販売することで売上を作り、利益を得る店舗である。経営者や本部マネジャーは本部で報告を受けるのではなく、企業経営の最も大事な要である店舗に自ら足を運び、現場の状況を自らの目で確かめ、現場の声を自らの耳で聴くことが大事である。店舗数の関係などで、経営トップが店舗に行けない場合は、「経営者が、まず店舗に行く」ということを代替する仕組みを作ることが求められる。
 経営者や本部マネジャーが行動で店舗の重要性を考えていることを示すことは店舗従業員に勇気を与える。勇気を持った従業員はモチベーションを上げ、スキルを向上させ、顧客サービスの向上に結び付いていく。こうした本部と店舗の一体感が店舗力を強め、企業力を強くしていくことになる。それにはどうしても、セルフレジが稼働し、顧客が実際にレジ操作をしている店舗の現場で、セルフレジ担当者と他部門担当者を交えた情報交換により現場のことを一番よく熟知している店長を中心に、セルフレジ担当者を交えて、経営者、本部マネジャーが情報交換をし情報を共有することが不可欠となる。
 厳しい消費環境と激しい競争の中で、今、小売業に求められているのは生活者の支持を集める強い企業力である。それは、消費生活の向上に向けて、人の力と店舗の力を強固に束ね、顧客サービスと顧客満足度を向上させることで実現できる。セルフレジの導入は、そのチャンスと言える。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第11回

2009年10月16日 18時41分11秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

第15条、第16条


【2009年10月16日(金)】

◆第15条 不正防止への対応を考える

 セルフレジでは不正の防止が大きな課題である。セルフレジは有人レジに比べて、商品をレジに通さないで店外に出すことが容易であるかのような印象がある。万引はレジに来るまでに発生するので、レジで発生する減損とは区別して考える必要があるが、レジ操作を従業員が行うのと顧客が行うのとではミスが生じる度合が異なると考えるのが普通であり、顧客は故意でミスをしてもわかりにくいと考えるかもしれない。そうしたハンディキャップがあるから、それを克服しようとする意識と努力が生まれ、それが有人レジより顧客サービスのレベルを上げることになる。
 また、従業員がレジ操作を行っているにもかかわらず、顧客のレジでのクレームが多い。商品登録ミスや釣銭間違いである。POSが入っていても入力ミスが生じる。バーコードを正しく読んでも、手入力による値下げ処理やセール売価の変更忘れなどでミスが生じたりする。様々なミスが生じやすい場所であることも、特に、常習者にとっては不正をしやすい場所に映るのかもしれない。
 不正を未然に防ぐことは、店舗経営にとっては減損を減らすことになるわけだが、それだけの効果ではないことも考えなければならない。顧客サービスの向上にとっても大変重要な要素である。
 まず、不正は、店舗にとっても顧客にとっても、メリットがないということである。メリットがないということは、不正を防止することは、店舗にとっても顧客にとっても、メリットがあるということである。店舗にとってのメリットは、減損をなくすとともに、従業員のスキルが向上し、顧客サービスが向上するということに尽きる。システムによる防止策と人による防止策の両方が講じられていないと不正は防止できない。しかし、システムによる防止策を強めると機械が頻繁に停止し顧客の流れがスムーズにいかなくなり、結果として顧客サービスが低下する。緩めれば不正が起きやすくなる。一方、人による防止策を強化すると従業員の作業負荷が大きくなり、顧客に目を向ける度合が下がりかねない。そうなると顧客サービスの低下を招いてしまう。緩くすると不正が起きやすくなる。システムによる防止策と人による防止策は相乗効果と補完効果がある。システムによる防止策を緩やかにしても、人による防止策のフォローがあると、緩やかさが不正に結び付く度合を小さくする。人の負荷も軽減できる。
 万引が起こる原因として、人員削減によって従業員が少ない、店内の巡回が少ない、陳列棚の商品が整理されていない、アルバイトやパート社員が増えて店舗に対する責任を強く感じる従業員が少ない、従業員教育が十分にできていない、声かけができていない、従業員の目が届きにくい死角があるなどレイアウトが悪い、24時間営業など長時間営業で従業員が少なくなる時間帯がある等々、人に関する問題点が指摘される。これらの問題点は、不正防止のハードのシステムだけでは解決しない。システムを活用しつつ、人による防止策が重要になる。店に入った時と出る時にきちんと顔を見てあいさつをされ、声かけをされると、不正をしづらくなり、常習者の来店も遠ざける。明るい声かけは、不正をしない顧客にとっては店舗イメージを向上させる。
 従来の延長線上で、従業員が少なくなるなど不正が起こりやすくなった部分をハードのシステムだけで補おうとするのでなく、店舗運営の方法自体の見直しが必要になる。セルフレジの導入はそのきっかけと、顧客サービス向上のきっかけを与える。
 一方、万引はなくならないと言える。同じように顧客の不正もなくならない。不正が起こらない環境を作ることが大事となる。万引の原因は、経済的な理由やモラルの問題だけでなく、ストレスなども関係していると言われている。経済的に困っていない人や高学歴で地位の高い人が万引をしたり、分別のある大人が欲しくない商品なのに衝動的に万引をするというケースがニュースで報じられたりする。万引や不正は犯罪である。捕まれば罪として罰せられる。仮に、万引や不正が発見されなかったとしても、心底から満足感を得るなどということはあり得ない。ストレス発散の場所探しに追い詰められた人の場合は別かもしれないが、そういう人に「不正」というストレス発散の場所を提供するのでなく、そういう場所に入り込む道を塞ぎ、道を塞ぐことで、専門医の治療に導くべきである。顧客にとっては、セルフレジで不正をすることに何のメリットも見出せない。不正を起こしにくい環境を作ることは顧客サービスの向上に結び付くものである。


◆第16条 レジ担当者同士で常に情報を交換する

 現場のことは現場の人が一番よくわかっている。そのよくわかっている人同士が風通しの良い連携で情報交換することは、全員が現場をより良く知ることになる。現場の状況を熟知しているので、同じ現場の人の話も理解しやすい。レジ担当者同士の情報交換、情報の共有化は、実際に経験した以上の「経験量」を増やすことになる。また、足並みの揃ったスキルの向上を可能にする。環境が人を育てるということがある。スキルが向上した環境にいることで、お互いに触発し合って、お互いのスキルが上がる。経験の浅い担当者もベテランのスキルを環境が作り出す「空気」から吸収することができる。
 また、個人プレーよりチームプレーが目を惹きつけることがある。優秀さが目立つレジ係が1人いるより、レジ係全員が気持ちの良い応対をすることの方が顧客へのアピール度は強くなる。顧客が買物の最後に必ず通る場所であり、従業員と必ず接する場所の雰囲気が良くなることは顧客に対する店舗イメージを高めることになる。
 レジ係はローテーションを組むなど有人レジもセルフレジも担当するのが一般的だが、有人レジとセルフレジを含めたレジコーナー全体のスキルアップは、顧客にとっては、有人レジとセルフレジを区別することなくレジコーナー全体のイメージアップとなり、セルフレジはレジシステムの1つの形態で、どちらも安心して選択できるという印象を与えることになる。共有する情報と経験は、有人レジを担当している時のものとセルフレジを担当している時のものを合わせたレジ業務全体にわたるものであることが大事となる。有人レジでは気が付かなかったこと、できなかったことをセルフレジで行うことが顧客サービスにつながっていくが、セルフレジでは気が付かなかったことが有人レジの視点では改善点として見えてくることがある。
 同じ仕事につく人が同じ仕事に関連した事柄で共通の認識を持てることは、店舗にとっても顧客にとっても、良いことである。共通の認識は、2人より3人の経験、3人より4人の経験のとらえ方を集めた方が深まる。レジ係のチームとしてのスキルの向上は不正の防止効果を高め、顧客サービスの向上を可能にする。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第10回

2009年10月15日 15時45分31秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

第13条、第14条


【2009年10月15日(木)】

◆第13条 顧客の要求に関心を持つ

 顧客の要求に応えることで顧客サービスが向上する。顧客サービスを向上させるためには、顧客の要求に関心を持ち、顧客の要求を理解しなければならない。セルフレジは、導入しただけでは対面の接客を求めない顧客に対するだけのサービス向上になる。スーパーのレジレーンにおける有人レジの接客サービスには限りがあって、「有人」というだけで、「有人」で行えるサービスの可能性を最大に発揮できるものではない。とは言え、セルフレジは有人レジに比べて、レジ台数に対するレジ係の数が少ないというハンディキャップがある。それを補い克服することで顧客サービスの向上が実現できるのである。
 また、ハンディキャップがある故に、ハンディキャップがない時には見えなかったことが見えるようになって、それに対応することで顧客サービスが向上するのである。顧客の要求に関心を持つとは、有人レジでは見えなかった顧客の要求を発見することでもある。時として、有人レジの丁寧過ぎる接客や声かけに嫌気を感じる顧客もいる。声かけの仕方はセルフレジの方が深く研究されることがある。セルフレジのアテンダントはマニュアル通りの接客や言葉遣いでは顧客に満足を与えられない。プラスアルファの「考える接客」が求められるからである。
 顧客の要求に関心を持ち、顧客の要求を理解するには、次の3つの視点が重要である。
 1つ目は、顧客が要求している内容を理解することである。これは表面に具体的に現れるものだから理解しやすい。しかし、これへの対応に追われているだけでは、レジとして、店舗としての顧客サービスレベルの向上には結び付かない。根本的な問題を解決しなければ、同じことの繰り返しで終わってしまう。問題が生じた時には、その問題の意味するところ、問題が発生する背景を突き止め、それらの解決がなされない限り、問題が解決したことにはならない。
 2つ目は、顧客が要求している内容の意味を理解することである。これは、3つ目の、要求の背景の理解と関連していることだが、同じ顧客の要求する内容が変わることがある。例えば、操作方法を説明したボードを見やすくしてほしいという要求があったとする。顧客の視力が落ちて見えにくくなっているのかもしれない。文字を大きくするだけで普遍的な解決に結び付くとは限らない。その顧客にとっては、それで問題が解決するかもしれないが、1人の顧客に問題が生じていれば、同じ問題を新しく抱え出している顧客がいる可能性がある。そうすると、対処療法的な解決策ではなく、ユニバーサルデザイン的な発想による問題解決策が必要になる。文字数を減らして文字を大きくするとか、イラストを多用するとか、設置場所を変えるとか、照明を工夫するとか、様々なアイデアが出てくるはずである。そうなれば、視力が落ちていない顧客にも見やすい説明ボードとなる。
 具体的な目の前の1人に対する具体的な問題解決策は、顧客全体に通じる普遍的な問題解決策に変え、店舗としての顧客満足度の向上を実現していくことを可能にする。「意味を理解すること」は「要求の背景」と「顧客の変化」等々、根本的な問題を解決することにつながる。
 3つ目は、顧客が要求する背景を理解することである。顧客の要求は改善点である。極めて個人的な要求もあると思われるが、それはよく吟味すればわかることである。一般的には、1人の顧客の要求は他の顧客にも通じることが多い。改善の要求が出てくる背景は様々ある。要求が1つの形として顕在化してくるまでには様々な原因があり、それらの原因が絡み合っていることが多い。ここでは、その一部を挙げてみる。

①システム上の問題。操作性も含めたハード、ソフトの問題である。

②設置環境の問題。設置場所、設置のレイアウト、顧客の動線など、レジ周りの問題である。

③レジ係の問題。アテンダントの対応の仕方とか、人にかかわる問題である。

④運用上の問題。セキュリティ対策の計量機能が過敏に反応するとか、インストアマーキングのバーコードラベルの貼り方が悪くスキャナで読み取らせにくいなどの問題である。

⑤店舗の問題。セルフレジに対する店内教育が不十分で、レジ係以外の従業員にセルフレジについて聞いても適切な答えが返ってこないといった問題である。セルフレジについての質問に誰もが答えられる必要はない。答えられる従業員に引き継ぐことができるかどうかである。そういう教育がなされているかどうかである。

⑥本部の問題。セルフレジをレジの問題で終わらせているのか、顧客サービスの問題、経営の問題と位置付けているのか、本部の方針の問題である。本部の方針によって、店舗の対応も変わってくる。あり得ないことだが、もしも、店舗が本部の方針に従っていないとすれば大問題である。店舗が本部の方針をどう実現しようとしているのか、本部は方針実現に取り組んでいる店舗の状況をどこまで把握しているのか。本部の問題は店舗の問題に反映する。店長が代わってセルフレジの利用率が上がったという例をよく聞く。店長の問題は本部のリーダーシップの問題である。

⑦競合店との比較の問題。セルフレジを導入している競合店と比べているかもしれない。顧客自身が競合店のセルフレジを使った経験がなくても、人づてに聞いた競合店情報と比べているかもしれない。
 
 根拠や背景のない要求はあり得ない。背景はもっとあるはずである。背景の構成要素を細かく見ていくと、解決すべき具体的な問題点が抽出されてくる。背景を探り当てることなくして問題の解決はない。すなわち、背景を知らずして顧客の要求に応えることはできないのである。


◆第14条 顧客の要求に応える努力をする

 顧客の要求の背景を第13条で見てきた。要求の根拠や背景がわかれば、それを改善する努力をするだけである。改善すべき問題点がわかれば、問題点の半分以上は解決したと言える。
 顧客の要求に具体的に応えるためには、どこが、いつまでに、どういう形で、応えていくのか、具体的な行動計画を立てなければならない。レジ段階で対応するのか、店舗段階なのか、本部段階なのか、行動主体の明確化と、その行動スケジュールも立てなければならない。そして、顧客の要求はどの状態で応えられたと言えるのか、対応しながら見極めなくてはならない。見極めるためには、顧客に関心を持たなければならない。顧客に関心を持つことで、別の要求をキャッチすることもできる。
 顧客の要求は具体的に示されて来るとは限らない。顧客の要求に関心を持ちながら、要求を「感じ」、迅速な判断、迅速な対応が求められることの方が多いかもしれない。要求に対する、その達成度は顧客の反応に表れる。顧客の反応は顧客サービスの評価と同一である。セルレジによって、顧客への関心度が高まり、顧客の要求に応える行動につながっていくと、顧客サービスのレベルは必ず上がる。上がらないとすれば、そのプロセスに問題がある。その問題を発見し、解決することで顧客サービスが向上する。いずれの努力も顧客サービスの向上に結び付いていく。その起点となるのが、セルフレジ導入による顧客への関心度の高まりである。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第9回

2009年10月14日 23時51分10秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

《章のはじめに》および第11条、第12条


【2009年10月14日(水)】

《第2章のはじめに》第2章のテーマは「セルフレジは顧客サービスを向上させる」である。セルフレジを導入する前の小売業の方々は、ほとんどと言ってよいほど、セルフレジを導入することで顧客サービスが低下するのではないか、顧客から苦情が来るのではないか、と心配される。今まで、従業員が行っていたレジ操作を顧客にやらせて、しかも金銭授受も機械に向かって顧客自身が行うわけだから無理もない。しかし、導入店舗が増えてくるにしたがって経験を積み、顧客がセルフレジを操作する姿を見て、対面で接客しないことも顧客サービスの1つの形態、と話す経営者や現場のマネジャーが多くなってきた。今では、顧客はセルフレジと有人レジを自らの意志で自由に選べるので、レジを選ぶ選択肢が増えたこと、対面の接客を好まない時にセルフレジがあることで、顧客サービスが向上するという認識が一般的になってきた。よくよく考えてみると、レジに並んでいる顧客を待たせることなくスピーディにレジを通過させようとすると、1人の顧客と言葉を交わす時間は限られてくる。接客にというより、笑顔と丁寧な声かけに気を配りながら正確・スピーディなレジ処理に、神経を集中させなければならない。しかし、セルフレジではレジ4台に1人のアテンダントとしても、1人のアテンダントが4人の顧客に同時に対応することはない。セルフだから基本的にはサポートは不要である。顧客に対応する場合では、顧客と言葉を交わす時間は有人レジより長くなる。対面のサポートが必要でない顧客には「対面で接客しない顧客サービス」を提供し、対面のサポートが必要な顧客には「有人レジより長い応対」が可能となる。顧客サービスが向上するのは当然である。それでも、やはり対面の接客を好む顧客は有人レジを選べば良い。レジでの顧客サービスの向上は店舗全体の顧客サービスの向上にも結び付いていく。
 一方、顧客サービスの向上はシステムの導入だけで実現できるものではない。運用の仕方、サポートの仕方によるところが大きい。運用、サポートを含めてレジの仕組みと考えると、セルフレジ導入による顧客サービスの向上は店舗力の向上になる。店舗は企業の収益現場である。「利は元にある」と、小売業では仕入の大切さがよく言われるが、良い仕入をしても、顧客サービスが悪くて顧客が来店してくれなければ、仕入の努力が収益に反映しない。飛躍的な言い方になるかもしれないが、セルフレジの導入は小売企業の経営問題でもある。
 第2章の10ヶ条は以下通りだが、前半の第11条から第15条は、顧客サービス向上の出発点とも言える顧客への関心の持ち方をまとめた。また、後半の第16条から第20条は、セルフレジ導入は店舗経営の問題であり企業経営の問題であるという観点から、情報の共有と成果の共有を中心にまとめた。
  
第11条 顧客に関心を持つ

第12条 顧客の行動に関心を持つ

第13条 顧客の要求に関心を持つ

第14条 顧客の要求に応える努力をする

第15条 不正防止への対応を考える

第16条 レジ担当者同士で常に情報を交換する

第17条 店長、他部門担当者を交えた情報交換の場を持つ

第18条 店舗で経営者、本部マネジャーを交えた情報交換の場を持つ

第19条 本部で経営者、本部マネジャー、店長を交えた情報交換の場を持つ

第20条 現場からの提案は平等に扱い、得られた成果は全員の成果とする



◆第11条 顧客に関心を持つ

 顧客サービスを向上させるには、顧客が求めているサービスは何かということに気づかなければならない。第8条で改善点は顧客の態度、行動の中に発見できるとし、その発見は顧客に関心を持つことで可能になると説明したが、顧客サービスの向上でも基本は同じである。顧客が要求するサービスの内容は顧客の身勝手なほど変わることがある。顧客の要求はある時点で止まっていることなどあり得ない。
顧客の要求が見えてくると、1つ1つの要求に、その場その場で対応していたのでは「顧客の要求に振り回されているだけ」ということにもなりかねない。各論から入るのではなく、各論から総論を導き出し、そこから各論に落とし込んで具体的な対応をしていくことが大事である。顧客の1つ1つの要求が示しているものが何を意味しているのかを考え、そこから具体的な対応策をひねり出していくことである。よく考えるためにはスキルの向上が不可欠である。
 顧客に関心を持つことは従業員のスキルを上げることにもなる。スキルが低いと、より高い効果が期待できる顧客への関心につながらない。顧客を知るためにはシステム面では顧客情報管理システムの有用性が言われるが、データ分析がすべてではない。全員の顧客をデータ的に知らなくても、1人の顧客情報を知ることで10人の顧客の傾向性を知ることもできる。顧客への関心の持ち方は感性の問題とも言える。感性は持って生まれた資質だけで決まるものではない。学習して磨かれることの方が多い。
 仮説検証では、検証に使われるデータは客観的に状況を描き出しているだけで、データそのものには,通常でない状態が発見されるなどという以外には、あまり価値は見出せない。仮説があることで、データは価値を生み出す。データを見る意味の明確化が重要である。データの価値は仮説の質によって決まる。顧客に関心を持つことは仮説力を強くすることである。その強くなった仮説力はデータの価値を高め、高められた検証結果はさらに仮説力を強くしていく。顧客の要求が常に変化しているので、顧客への関心も常に変化させられる。仮に、変化していないことがあっても、それ以降、変化が止まるわけではない。一時の変化のない状態は「変化の1つの表れ方」ととらえることができる。変化はスキルを向上させる。顧客への関心を繰り返し行っていく中で、スキルは自然と上がっていく。小売業では毎日、多くの顧客と接している。顧客に関心を持つ習慣を付けることで、日常的にスキルを磨くチャンスがある。そういう取り組みをする店舗風土、企業風土を作ることが大切になる。そして、顧客に関心を持つ従業員が増えることで、顧客サービスの向上も実現されていく。普段の顧客サービスが悪い店舗がセルフレジを入れると、「手抜きをしたのか」、「人が集まらないのか」とマイナスイメージにとらえられてしまうかもしれないが、普段の顧客サービスが良いと、例え人が集まらないとしても、「顧客のために良いサービスを始めてくれた」とプラスイメージになり得る。セルフレジの導入は、顧客に対するサービスの向上とともに、店舗における顧客サービス風土を作り上げるきっかけにもなる。


◆第12条 顧客の行動に関心を持つ

 セルフレジは顧客自身がレジ操作をするのが基本である。顧客は購入商品数が少なく早くレジを通過したいということだけでなく、プライバシーを守りたい、従業員とのやり取りをしたくないと、様々な理由でセルフレジを選んでいる。プライバシーの保護では後に並んでいる顧客に買った商品を見られたくないだけでなく、レジ係にも見られたくないということがある。しかし、操作がわからずサポートを求めることがある。そうしたサインは態度や行動に先に表れる。アテンダントがサポートをする目的の1つに、サポートをしてセルフレジを利用する顧客の流れをスムーズにするということがある。サポートが必要な時には呼び出しボタンを操作すると呼び出し用のランプが点いてアテンダントがすぐに来てくれるようになっているが、顧客が求める前にサポートに入ると、顧客の流れをよりスムーズにするとともに、顧客には喜ばれ顧客サービスの向上につながる。
 それでも、レジ係と接したくない顧客もいる。プライバシーを守りたいと思っている時はなおさらである。明らかに操作で困っていることが判っても、呼び出しランプが点かないのにサポートで声かけをして近づくと、逆に嫌な思いをさせて、その顧客にとってはサービスの低下になることもある。
 また、アテンダントの重要な役目に不正の防止がある。セルフレジには不正防止の仕組みが組み込まれているが、不正犯を捕まえるには不正の瞬間を押さえる必要がある。怪しい行動があれば、声かけをすることで不正を未然に防ぐことができるが、不正操作の前に声かけをすると、プライバシー保護を理由に、逆にクレームになってしまうこともある。不正の常習者でなければ、不正を発見しても、操作ミスと言われれば、認めざるを得ない。声かけは非常に大切だが非常に難しい一面を持つ。声かけは顧客サービスにとってはプラスにもマイナスにも働く諸刃の剣である。
 声かけでは、声をかけるタイミング、顧客への近づき方、声のかけ方、言葉遣い、クレームになった時の素早い対応の仕方等々、プラスに働かせる要素がたくさんある。顧客に関心を持つとは、顧客の態度や行動、心理にまで関心を持つことである。これは机上の学習だけでなく、現場で経験を積まないとなかなか体得できないものである。1人より2人、2人より3人と、多くなるほど経験のサンプル数が増える。レジ係同士の情報交換、情報共有が大事となる。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第8回

2009年10月13日 22時56分53秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第1章 顧客はセルフレジを求めている

第9条、第10条


【2009年10月13日(火)】

◆第9条 改善点を修正して実行する

 改善点が見つかれば、改善点を修正する方法を考え、実行することになる。マネジメントサイクルの1つにPDCAサイクルがある。Plan(計画)‐Do(実行)‐Check(評価)‐Act(改善)を順次行い、次のPDCAサイクルにつなげて、これを繰り返すことで、継続的に業務改善をしていこうというものだが、原理は同じである。改善点を修正する方法を考え、実行し、また改善点を見つけて、改善の方法を考え、実行するということの繰り返しである。ここで大事なことは、改善点は、一度、修正して実行すれば、改善が終わるというものではないことを知ることである。
 第8条で、改善点は必ずある、改善点は顧客の態度や行動の中にある、と説明した。改善点は必ずあるという前提に立てば、1つの改善ができても、新しい改善点が必ず見つかるはずである。それは、顧客はセルフレジを求めており、改善点は顧客の態度や行動の中にあるからである。顧客の要求は常に変化し、それは態度や行動に表れる。
 改善は大きく2種類ある。1つ目は、仕組みを改めるような改善である。2つ目は、1つの例として、顧客への近づくタイミング、声のかけ方、話し方、サポートの仕方など、繰り返し学習する中で、顧客との接し方のスキルを向上させるような改善である。いずれの改善にも当てはまる大切なことは、セルフレジを利用する顧客に関心を持ち、顧客の動きに注意を払うことである。その関心を持つこと、注意を払うことの前提になる基軸が、顧客はセルフレジを求めている、ということと、改善点は必ずある、ということである。基軸が定まっていないと認識と判断がぶれてしまう。第1条から第6条までに挙げた「考える」ことで基軸を定めることができる。


◆第10条 仮説検証を怠らない

 仮説検証にも大きく2種類あると言える。1つ目は、計画書を作成するように、きちんと文章にまとめられるような仮説を立てて、計画的に実行し、その結果を検証するというものである。本来、よく言われる仮説検証はこの形である。しかし、顧客と接する小売業の現場では、顧客の動きに対して、瞬間的に判断し、考え、行動し、反省し、次の場面でまた判断し、考え、行動し、反省し、次の判断につなげている。接客の現場では、こうした仮説検証とも言える思考を繰り返し行っている。このような仮説検証と意識しないような仮説検証型の思考が2つ目である。仮説検証を怠らない、ということは、顧客にセルフレジをよく使ってもらおう、顧客サービスを向上させよう、という向上心を忘れないことである。そういう向上心を忘れないでいると、必ず、仮説が思い浮かぶはずである。
 ここでも、セルフレジの導入を成功に導く仮説を立てるためには、仮説の前提がぶれないことが最も大事な要件となる。仮説の前提がぶれると検証結果に振り回されるだけである。
 第1章では、「考える」ことから始めて「検証する」ことまでを10ヶ条にまとめた。考えて、目標を定めて、実行し、検証することで、セルフレジの運用を高度化していくことができる。10ヶ条はつながり合い、関連し合っている。1ヶ条が抜けてもバランスを欠く。例えば、「顧客はセルフレジを求めている」ということを仮説とし、その仮説から始まって、この10ヶ条をめぐることで「顧客はセルフレジを求めている」ことが検証できる。「顧客はセルフレジを求めている」ということが仮説ではなく正しい説へと導かれたことで、さらに「考える」ことを深め、改善点の質を高め、セルフレジの支持率と利用率を上げ、顧客サービスのさらなる向上を可能にしていけるのである。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第7回

2009年10月09日 19時05分15秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第1章 顧客はセルフレジを求めている

第7条、第8条


【2009年10月9日(金)】

◆第7条 利用率20%をめざす

 セルフレジの成功で一番大事なことは、セルフレジに対する顧客のニーズが必ずある、ということを知ることである。顧客のニーズを創り出すのでもなく、顧客にニーズを気付かせてニーズを無理に引き出すのでもない。セルフレジを実際に見せたり、その特徴や使い方をきちっと説明することで、納得して利用し、さらにはリピート利用する顧客がいるということを知ることが大事である。そして、実行することである。
 第1章は、第1条から第6条までが準備編で、第7条から第10条までは実践編である。第2条では、準備編として利用率20%を考えることの背景を説明した。第7条では、実践的に利用率20%を目指すための留意点を説明する。
 留意点は、顧客への告知とサポートに尽きる。告知とサポートは誰に重点を置くのか。どの導入店舗も、最初に心配することの1つに、中高年の顧客が使ってくれるのだろうか、ということがある。そして、導入後すぐに気付くことは、利用者に性別・年齢的な偏りがないことである。セルフレジの特徴と使い方をいかに告知し、顧客の操作をいかにサポートしていくかがポイントとなるが、その相手は性別、年齢を問わないのである。
 かつて取材した店舗で、導入後に顧客から、顧客にレジ操作をさせることに対する苦情が来て、利用率が上がらないケースがあった。新しく配属になった店長が熱心に顧客にセルフレジのことを説明し、アテンダントもそれに習って顧客への対応に取り組んだ結果、同社の他の導入店舗より利用率が上がったという。顧客は誘導されてセルフレジを使っているのではない。自らの意志で使っているのである。顧客自らの意思を引き出せる告知とサポートの大切さがわかる。少なくても、20%の利用率があるという認識で告知とサポートに心がけるべきである。
 顧客は自らの意志でセルフレジを利用していることを示す顧客の行動例がある。2つ挙げる。1つは、1人の顧客が有人レジとセルフレジを使い分けているということである。顧客が自ら判断して使い分けているのである。どの導入店舗にも共通していることである。誘導されて使っているのではない。老若男女関係なく、声かけをしていくことである。
 2つには、これも導入店舗で共通していることだが、子供を連れた顧客や孫を連れた顧客が子供や孫に引っ張られてセルフレジを使っている光景が導入後すぐに見られるようになることである。その光景を見て、成功する、と実感した店舗スタッフや本部の情報システム担当者は多い。当初、アメリカやヨーロッパではセルフレジ導入の効果としてエンターテイメント性は強調されていなかった。日本独特の導入効果とも言われた。セルフレジにエンターテイメント性があると「評価」したのは子供たちである。エンターテイメント性を強くアピールしなくても、子供たちが自ら進んでエンターテイメント性を見つけ出したと言える。
 利用率20%のニーズが必ずあるという認識に立てば、そこに達しなければ、告知とサポートで何かが足りないことを知るべきである。そして、20%との差を埋めるために様々な方法を考え、実行することである。20%に近づく、あるいは達成した店舗では、さらに掘り起こせる利用率はあるとの認識で、さらに上をめざしていくべきである。市場を見渡せば、20%を超えている店舗がある以上、自店は20%が限界か、さらに上に行く可能性があるのか、見極める施策は講じるべきである。
 

◆第8条 改善点を見つける

 程度の差はあるが、改善点は必ずあることを知ることが大事である。課題を見つけ改善することで、運用のレベルを上げ、レジ担当者のスキルを上げ、顧客サービスのレベルを上げることができる。それでは、改善点はどのようにして見つければよいのか。それは、顧客に関心を持って顧客の行動をよく見ていることである。改善点は機械やシステムの中にだけあるのではない。支障なく稼働している以上は、基本的に機械やシステムに問題はないと考えられる。改善点から見て機械やシステムに問題点が発見されることはある。顧客を見ていて、仮に、顧客が困ったことがあれば、それが改善点である。改善点は顧客の態度や行動の中に発見できるのである。
 そして、その改善点は、機械やシステムの問題なのか、運用の問題なのか、接客の問題なのか、人のサポートの問題なのか、具体的に抽出することで、改善が実行される。
 顧客の中に改善点が見出せるということは、顧客のニーズや要求は、時とともに、年齢とともに、経験が増すとともに、状況とともに、常に変化する。小売業が変化対応業であるということは、課題も変化への対応とともに生じていることになる。
 顧客に関心を持つ理由には不正防止の問題もある。万引がなくならないように、セルフレジでも不正は必ず起こると言われている。セルフレジ導入小売業の取材では、概して、セルフレジ導入後に不明ロスが特に増えたことはないという小売企業は多い。故意でないミスもあるが、故意の不正をゼロにすることはできない。常習者の不正は巧みであり進化する。
 いずれにしても、顧客に関心を持つことで、様々な課題、改善点が見えてくる。これが顧客第一主義、顧客起点ということでもある。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第6回

2009年10月08日 22時50分08秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第1章 顧客はセルフレジを求めている

第5条、第6条


【2009年10月8日(木)】

◆第5条 顧客への啓蒙を考える

 顧客のセルフレジへのニーズがあるとはいえ、顧客にセルフレジの理解がなければ利用は進まない。顧客へのセルフレジ利用の啓蒙について、次の3点から考えることとする。
 1点目は、導入日前の啓蒙である。導入前は、既存店であれば特売チラシの活用や店内の案内掲示板などを利用することになるが、導入の目的を明確に告知することが大切である。目的の告知では、レジ待ち時間の解消やプライバシーの保護など、どこでも言われている一般的な顧客のメリットだけでなく、導入する背景にある企業の理念や経営方針、顧客の要望を実現するためなど導入の経緯、店舗が考える顧客サービスの考え方など、「顧客のため」を第一に考えた導入であることを強く訴えることが必要である。その事を社長や店長の写真を添えて、企業・店舗の最高責任者のメッセージとして伝えることが望ましい。小売業は主人が顧客に対面して商品を売り金銭授受を行うのが原点である。店舗の新しい施策についてはトップが直接、顧客に訴えられる方法を考えるべきである。新店舗での導入では、やはり新店オープンを告知するチラシなどの活用となり、内容は同じである。
 2点目は、導入日後の啓蒙である。初めの一定期間は人が直接チラシなどを配りながら、自分でバーコードを読ませて精算するシステムであることや買上点数が多い時には時間がかかるなど、丁寧な口頭での説明が顧客の理解と次への利用を促すことになる。利用が定着してくると、特に全従業員が顧客のセルフレジの利用状況に関心を持つことが大事である。その前提は第3条で触れた通りである。少なくても2割の顧客にニーズがあるとすれば利用状況の現状がどの水準にまで来ているのかがわかる。全員が取り組むという意識があれば、そのかかわり方はいくらでもある。手が空いている時にはアテンダントをサポートすることもできる。困っている顧客に接してアテンダントにバトンタッチをすれば良い。要は、工夫、智恵をどう働かせるかが全員参加の啓蒙となる。ある意味、空気が啓蒙を進めることがある。人の動きや声かけ、顧客への接し方が空気を作る。
 3点目は、店舗での情報発信である。1点目と2点目は人のかかわり方がポイントとなるが、店舗における案内掲示など人によらない情報発信の仕方が中心となる。新しいシステムが導入されたり、仕組みが変わったりすると、その説明が店内掲示などで顧客への告知がなされる。その告知は説明だけで終わっていることが多い。なぜ、導入したのか、その考え方、企業や店舗のコンセプトまで説明されていることが少ない。顧客に店舗のことをよく知ってもらい、顧客との関係性を強くしようと思えば、新しい仕組みが入った時がそのチャンスである。店舗における情報発信の仕方の工夫も大事となる。その告知する内容については1点目、2点目と共通するものである。


◆第6条 運用環境を考える

 運用環境は、顧客の立場と店舗の立場の両方から考える必要がある。顧客の立場からは、わかりやすいこと、使いやすいことがポイントとなる。セルフレジの設置を顧客にわかりやすく大きなボードなどで案内するとか、操作方法をわかりやすくイラストや写真で説明することなども必要である。ホームページでセルフレジ導入ンを告知し、店舗と同じ案内板が見られるようにしているケースもある。
 セルフレジ本体の各部分に、例えばクレジットカードに対応していればカードリーダのところにカードの挿入方法を、対応していなければ目に付くところにクレジットカードが使えないことを明示している導入店もある。スキャナの読み取りやすい位置を示したり、ハカリ部分に手を載せないように書いているケースや、未成年者は購入できない酒・たばこをスキャンすると機械が停止するので係員が来るまで待ってほしい旨を大きく書いて知らせるなど、スムーズな操作ができるように様々なお願いごとや注意してもらいたいことが書き示されている。子供連れの顧客の利用も多く、子供用の踏み台も用意されている。
 わかりやすく、使いやすいように、顧客がミスなく操作できる工夫は店舗のためになることでもある。顧客のスムーズな操作はレジ通過時間を短くするし、アテンダントの出番を多くすると稼働率が下がることにもなる。
 店舗の立場では、利用率を上げるための工夫が大事である。顧客の動線で使いやすいところに設置するとか、これは店舗の考え方で分かれるが、エクスプレスレーンとしての役割を担わせて利用に適した買上点数を示している導入店もある。片や、買上点数の制限を設けていないところもある。有人レジかセルフレジか、選ぶのは顧客の自由意志に任せ、リピート利用の顧客は買上点数が多いと操作時間が長くなることを承知している。プライバシーを守ることを目的に利用している顧客にとっては、買上点数や操作時間の長さは問題にならない。後に並ぶ顧客も状況を判断して、すいているセルフレジや有人レジを選択する。いずれにしても、顧客のレジを選ぶ選択肢を増やし、スムーズにレジを通過できる環境を整えることが大事な留意点となる。
 一方、最も顧客サービスのレベルを落とさないで、気を配らなければならないのは、不正防止対策である。システム的に不正防止機能は組み込まれているが、特に、故意の不正は巧みである。不正しにくい環境を作ることがシステムの不正防止機能を補完する。万引も多い店と少ない店がある。店が作る「空気」による。「空気」は店舗空間の作り方と人による雰囲気作りで決まってくる。乱れの少ない陳列やフレンドリーで機敏な従業員の行動が影響してくる。
 セルフレジは店長からパート社員まで全従業員の協力があって、スムーズな運用ができ、顧客満足度が向上し、利用率を高め、競争力の強い店舗を作り上げる最良のシステムとなるのである。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第5回

2009年10月08日 22時39分18秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第1章 顧客はセルフレジを求めている

第3条、第4条


【2009年10月7日(水)】

◆第3条 全従業員の理解を考える

 セルフレジの導入はレジの仕組みが変わるだけとか、チェッカーなどレジ業務にかかわる従業員だけが関心を持てば良いというものではない。レジを通過する顧客の少なくとも2割がセルフレジを使おうとしている。レジの仕組みの問題ではなく店舗運営そのものの問題である。
 店舗の問題なら全従業員が理解していなくてはならない。例えば、顧客から「セルフレジが入ってレジ待ち時間が短くなって良くなりましたね」、「レジ係の人が少なくなって大変ですね」と声をかけられたとすると、レジ係でないパート社員であっても、「レジ待ち時間が短くなるだけでなく、お客様のプライバシーも守れます。お客様のサービスを向上させるために入れました」とか「人数は少なくなりますが、アテンダントは前よりお客様への接客を良くしようと努力しています。ご不満なことがあれば、いつでも言ってきてください」という会話ができれば、顧客の信頼も強くなる。担当する業務のことだけがわかり決められた作業だけをマニュアル通りにしていれば良いという従業員が多いと店舗力は強くならない。強くするためには、作業は細分化されていても、店舗全体のことに関心を持つ従業員を増やすことが大事である。
 新しいことが始まる時は、それを利用して、従業員が自分の働く職場のこと、店舗のことを学ぶチャンスである。セルフレジについても、事前に、導入の目的やその効果、効果を出すために行わなければならないこと、考えなければならないことなどを全従業員が理解することは競合に強い店舗づくりにとって大変重要なことである。そういう理解を通して、セルフレジ導入は従業員減らしのためではないこと、セルフレジのアテンダントはやりがいのある仕事であることなど、会社の方針、店舗運営の考え方を伝えることができる。従業員は戦力である。戦力が増えれば、さらに強い店舗ができる。セルフレジへの理解を全従業員が持つことは、セルフレジ導入を成功に導く土台となるものである。


◆第4条 接客のあり方を考える

 セルフレジは有人レジより接客レベルが良くなる、というのはセルフレジを経験したレジ担当者の一致した意見である。もし、そうでないとするなら、それは店舗運営の問題か、レジ担当者への教育の問題か、従業員自身の問題と言える。接客レベルが上がると実感しているレジ担当者がいるとすれば、その人が他の人が持ち得ない特別なスキルの持ち主でない限り、誰もが実感できる一般的な評価と言わざるを得ない。
 有人レジの接客では顧客に声をかけられる場合は「苦情」が多い。並んでいる顧客のことを考えていると、「苦情」であれ「感謝」であれ、その顧客との会話を早く終わりたいと思うのは当然である。丁寧な会話、丁寧な接客には限界がある。これに対して、セルフレジのアテンダントは顧客の操作をサポートし、質問にも親切に答える。顧客からは「感謝」される。「苦情」と「感謝」では、「感謝」の方がモチベーションが上がり、仕事へのやりがいが強くなる。強くなったやりがいは、さらにモチベーションを高め、接客レベルを上向かせる。セルフサービス業態においては、従業員がレジを打ち、対面で金銭授受を行うという形だけをとらえて、セルフレジの接客が有人レジの接客よりレベルが下がるという考え方は成り立たない。
 また、セルフレジでは不正防止の対策が求められる。セルフレジの機械の中に不正防止の仕組みが組み込まれているが、故意の不正はそのすき間を縫って発生する。アテンダントは接客と同時に不正防止にも努めなければならない。しかし、セルフレジは従業員との会話を嫌って利用する顧客もいる。不正をしていないのに不正を感じて不用意な声かけをすると、かえって顧客に不快感を与えてしまう。苦情ともなる。声のかけ方、かけるタイミングなど、有人レジとは違う顧客への接し方を考えるようになる。
 スポーツのチーム競技で1人がかけると、全員でどう攻めようか、どう守ろうかと考える。健康者ほど健康への関心が薄いという傾向がある。セルフレジは「無人レジ」ではない。接客すべき担当を必ず配している。接客する従業員がいる限りは、4台に1人しか従業員がいないとはいえ、顧客に喜ばれる接客はどうあるべきかということを考えるようになる。逆に、セルフレジで学んだことは有人レジでも生かされるに違いない。
 バリアフリーの考え方がユニバーサルデザインへと考え方を転換させ、ユニバーサルデザインが障害者にも健常者にも共通して優しいデザインとなったように、セルフレジの接客を考えることは、レジ全体、さらには店舗全体の接客のレベルを上げることにつながる。多店舗導入を進めるスーパーでは、当初はレジ操作に一番強い人をアテンダントに配していたが、今では、顧客がセルフレジに慣れているので、接客に強い人をアテンダントに充てるようにしているという。セルフレジは「無人」の接客ではなく、「有人」の接客として、顧客の満足度を高める接客を可能とする。

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第4回

2009年10月06日 22時37分29秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第1章 顧客はセルフレジを求めている

《章のはじめに》および第1条、第2条


【2009年10月6日(火)】

 《第1章のはじめに》セルフレジ成功の大前提は、セルフレジは顧客が求めているシステムであることを、導入する小売業または小売店が強く確信を持つことである。顧客が求めていないものを採用難対策や人件費削減対策として小売業側の理由で導入しようとしても普及は見込めない。逆に、顧客の反感を引き起こすことにもなりかねない。一方、小売業が導入に二の足を踏んでいても、顧客のニーズがあれば必ず定着するし、普及もする。仮に、コストがかかり過ぎる、運用が難しいなど、システム側に問題があるとしても、そのシステムは姿を消し、改善された別のシステムが登場してくるはずである。世の中に、ニーズがあるのに対応しないという事例はない。対応できないという事例はある。対応できない要因も技術の進歩が解決してくれることはよくある。
 ニーズがある以上は、時間の差はあっても、必ずニーズに対応できる仕組みが登場してくる。セルフレジも同じである。導入が進んでいるので、そういうことはないが、仮に、普及を妨げるシステム上の問題があるとしても、必ず、その問題点を解決した新しいシステムが登場して顧客のニーズに満足を与えることは間違いない。不況時でも、食品スーパーが他業界ほどには落ち込まないのは、人は食べることを止めないからである。人は食べなくても生きていけるとすれば、食品および食品関連産業は成り立たない。セルフレジがなくても人の生活が困るということはないが、潜在的なニーズは必ずある。それは、これまでの導入店舗を見れば明らかである。
 その確信を持つことの大切さを第1章のテーマとした。第1章は10ヶ条の要点に整理している。第1条から第6条までは、導入前の準備段階で特に必要なことであり、第7条から第10条までは、稼働後に留意すべきことである。なお、今後、稿を進めるに当たって、章が改まるごとに、章の視点を《章のはじめに》として解説し、章を構成する10ヶ条の一覧を紹介することとする。第1章の10ヶ条は以下通りである。
  
 第1条 顧客のニーズを考える

 第2条 利用率20%の目標を考える

 第3条 全従業員の理解を考える

 第4条 接客のあり方を考える

 第5条 顧客への啓蒙を考える

 第6条 運用環境を考える

 第7条 利用率20%をめざす

 第8条 改善点を見つける

 第9条 改善点を修正して実行する

 第10条 仮説検証を怠らない



◆第1条 顧客のニーズを考える

 顧客は自ら進んでセルフレジを使っているのである。頼まれて使っているのではない。初めて導入する小売業では、顧客は本当に使ってくれるだろうかとか、苦情が出るのではないだろうかと不安を持つようだが、稼働が始まると、リピート利用の顧客が出てくる。苦情が出る場合もあるようだが、顧客とのコミュニケーションをよくし、セルフレジのことをきちんと説明し理解してもらえば、利用率は上がる。現場の総指揮官である店長の取り組む姿勢によっても利用率が上がったり下がったりする。利用率が上がらないとすれば、その原因は小売業側にあると言っても言い過ぎではない。
 100%の顧客にニーズがあるわけではないが、潜在的なニーズを持つ顧客はセルフレジをリピート利用する。また、リピート利用する顧客も有人レジとセルフレジを使い分けている。すなわち、自分の強い意志でセルフレジを選んで利用しているのである。
 ニーズがあるのかないのか、稼働してみないとわからない、というようでは、顧客に自信を持って勧められない。「顧客のニーズがあること」に確信を持つことが大事である。先行企業が既にその事を証明している。


◆第2条 利用率20%の目標を考える

 潜在的にセルフレジを利用したいと考えている顧客が20%は確実にいるということを認識し、それを前提に、実際に利用率20%を達成するには、どうすれば良いのかということを考える必要がある。
 わが国で導入が始まった時から、セルフレジメーカーは利用率20%を目標にするように提案していた。20%の利用があれば「大成功」とも言われた。20%の根拠は定かでないが、アメリカでの利用状況に学びながら出てきた数字と思われる。アテンダント端末1台とセルフレジ4台の1セットを設置するためのスペースは、従来の有人レジの2レーン分が必要になる。チェックアウトのスペースは初めに設計した時よりあまり広げられない。セルフレジ1セットを余計に取るスペースはないというのが大方の状態である。セルフレジの処理時間は有人レジの2倍かかる。処理時間から見たセルフレジ4台分は有人レジ2レーン分となる。有人レジの2レーンをセルフレジ4台のスペースに入れ替えるのが一般的な設置の仕方である。
 また、有人レジを2レーン削除するのは、有人レジが10レーン未満の店舗では難しくなる。仮に、10レーンの店舗で2レーンを削除すると、20%のカットとなる。セルフレジ4台で有人レジ2レーン分の働きをすれば、有人レジ10台の時と同じ処理能力となる。目標を20%とする根拠が筆者なりに見えてくる。
 一方、実際には、どの店舗も初めは20%を目標に掲げるようだが、導入して間もなく目標ラインに到達または近くまで利用率を上げている。もちろん、事前の準備には力を入れているが、特に顧客の不満が多くないような店舗だと20%のラインが見えてくるまでには、そんなに多くの時間を要していない。潜在的なニーズが顕在化させられたと見るべきだろう。まず20%の目標に達してから、次の展開へ進むべきである。導入店舗が増えてくるにしたがってわかってきたことは、利用率20%の目標は決して高いものではなく、初めに到達しなければならない目標数値だということである。そして、そのことを前提に、20%達成のための要件を考えることが求められる。