今日は出張レポートの初日の続きです。午前中は予想外の価格交渉の会議となり、かなり時間がかかってしまい、遅めの昼食になりました。言い忘れましたが、会議で議論がヒートアップしてくると、中国語、英語、日本語が飛び交いそれはすさまじいものとなります。通常は日本語が話せる営業の方を通して日本語での会話なのですが、やはりややこしい話になってくると本当に自分の考えが正しく伝わっているのか不安になってきて、ついつい下手な英語でまくし立てることになってしまいます。相手も何とか私に直接話をした方が良いのではと私よりさらに下手な英語で話してくることにあり、もうしっちゃかめっちゃか。最後はいつもの様にホワイトボードで筆談が・・・。
昼食はいつものように近所の餃子屋さんへ。例の餃子事件が脳裏をかすめる中、「いやぁこれはおいしいですね。」と出されたものはほぼ完食。午後から大丈夫かなぁ・・・。
さて気を持ち直して午後からは新機種関連を中心にいろいろと協議をしたのですが、ここでも想定外のことがありました。実は今回の出張は実質2日間の強行日程だったため、事前にこれから開発するモデルの競合モデルを、比較試聴するために中国に送っておきました。日本でもよく売れている皆さんもよくご存知のユニットです。
ちょっと話はそれますが、私はユニットの試聴をする時、競合する他社ユニットとの比較試聴をよく行います。設計者によってはあまり比較試聴は行わず、自分のモデルだけをずっと聴いていき完成度を上げていくタイプのエンジニアもおり、私の印象ではアンプやスピーカーシステムの設計者にはこのタイプの方が多いかと思います。
私が比較試聴をやる理由は、このやり方の方が試聴環境の変化に強いということがあります。中国の試聴環境は決して良いとは言えず、試聴室のSNも悪く、日ごろ自分が聴いている環境とは大きく違うため、絶対評価をしていると、中国で聴いた時はすごく良く感じたのだが日本で聴いたら全くダメだったなんていうことも結構あったりします。
それともう一つの理由は、私は商品である以上やはり他社の売れている商品との比較で絶対に自分のモデルが優れているとの確信を持った上で発売していきたいからです。
ところが、午後からのミーティングで出されたものを見た私は・・・・・。
何と事前に送っておいた他社ユニットがみごとにバラバラに分解されていたのです!
「冨宅さん、ちゃんと分解して調べておきましたよ。」と自信ありげに話す中国側のスタッフを見ながら私は、
「誰が分解なんかするように頼んだ? 俺はコピーモデルなんか作るつもりなんか無いっつ~の!」
と心の中で叫びながら、「いやぁ、そうじゃないんですよ~。」と優しく、でもちょっと引きつった表情でその分解されたユニットをそっとダンボールの中に戻したのでした。あ~あ、これでユニット購入代とDHL代金が全てパァか、やれやれ。
ということで結局中国での試聴は止めて、日本に帰ってから評価をすることになりましたが、皆様からのご希望が多い小口径モデルでも魅力的なモデルが出せるかも知れません。まぁこれはもう少し先のお楽しみです。
ここから先は、あんなものやこんなもの、まだここで書けないものばかりですが、これらの中から一部は皆さんにご紹介できるモデルも出てくるかと思いますので、是非楽しみにしていてください。ユニットの開発をしていて、実はこの時期が一番楽しくまた重要です。前にも書きましたが、開発初期のユニット(特に中国からの提案ユニット)の中にはとんでもないようなレベルのものもあり、いろんなネタの中からどれがものになるかを見抜いて、それをうまく育てていくというのは設計者にとって最高の腕の見せ所なのです。でもこれから量産が近づくにつれ、コストや品質等いろいろと頭の痛い問題が出てくるので、徐々に苦しみの方が増えてきます。
上の写真は、夕食で出たお酢で出来た中国の飲み物です。価格は安く、かなり庶民的なもののようでした。私は下戸で全く酒が飲めないため、このような飲み物はうれしいです。これの味はお酢がベースなのですが、炭酸が入っていて非常に飲みやすく結構クセになりそうでした。お土産に買って帰ろうと思ったのですが、炭酸が入っているので空港では売ってないと言ってました。ほんまかいな。
では今日はこの辺で。続編に続く。