これは私が実際に体験した話です
二十歳かそこらの頃です
当時の仲間は車を改造して
夜の峠道をぶっ飛ばして走るのにアツくなっていました
走り屋って言うやつです
俺は特に興味が無かったのだけれど
一緒に乗って行かないかと誘われれば付き合うみたいな感じでした
…とある土曜日の夜
友達のK君から誘いの電話があり
2人で夜の峠道を走りに行きました
昔から幽霊が出ると噂があるダムへと向かう道
この道が走り屋にとって、走っていて楽しいのだそうです。
適度なカーブの連続
いかにスピードを殺さずに曲がれるか
腕を試したくなるようなそんな峠道だったようです
どんなにエンジンをうならせても
タイヤが路面と擦れて鳴っても
山の中の峠道ですから迷惑もかかりません
街灯もない闇をヘッドライトが照らします
カーブ、その次のカーブ
闇を切り取るかのようにヘッドライトが照らします
その照らしたカーブの中に
一瞬、お婆さんがいるのを俺は見ました
『ねぇねぇ、さっきのカーブのところにお婆さんがうずくまってたよ!』
『いや、やめてくれよ。気持ち悪いコト言うなよ!』
『いや、絶対に見た!間違いない!具合悪くしてるのかも知れないから戻ろうよ!』
『この山の中に婆さんなんかいないよ!』
『でも絶対に見た!』
婆さんなんかいるはず無いと言うK君を説得して
今来た道をゆっくり戻って行きました
…
『絶対、にゃびの見間違い。それか幽霊なんじゃないの?』
そんな風に言われながらも、道の隅を確認しながら戻りました。
…
…
…
いた!
真っ暗な道路の端っこで、お婆ちゃんがうずくまってる
車を降りて2人で話しかけました
『お婆ちゃん、どうしたの?具合悪いの?』
うずくまってるお婆ちゃんの手には子供の靴
そして何かぶつぶつ言ってる
…なんか怖い
『…オラの子供、靴も履かないで公民館に遊びに行ったから靴持ってくのだ』
『え!!この先に公民館なんてないよ?危ないよ??』
『お婆ちゃん自分のお家わかる?乗せてくよ?』
『知らない人の車には怖くて乗れない…』
…暗闇でうずくまってるババアを見つけた方が怖いわ!!
警察を呼ぶべきか、どうしたものと話していると
一台の車が通りかかったのです
こんな山道のカーブで車を停めてるから気になったんでしょうね
『どうしたの?』と運転手に声を掛けられたので説明すると
『あ〜ウチのすぐそばのお婆ちゃんだ!ボケちゃってて出歩くんだよ』
そうなのか…
意味不明な事を言うから怖かったぜ
そのおじさんが乗せてってくれると言うので
お願いしました。
たまにこの話を思い出す
あの時、俺が気付いてよかった
K君を説得できて良かった
何よりもオバケじゃなくて良かった
…
もっと怪談風に書きたかったのだけれど
途中でこのネタ前にも書いてたな…と思ったら気が抜けました
また書いてるぜ…って思った方ごめんなさいね。
俺もボケてきてるから(うるせぇわ
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