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アジアの裏側

「気ままな不良中年」

2006-12-09 10:12:21 | ドキュメント
バックパックを背負った日本人の学生が、若さのみを武器に怖いもの知らずで世界各地を歩き回っている姿は、今や何ら珍しくはなくなった。
中には現地で配偶者を得たり、住み着いてしまう者も少なくない。
タイでもヤワラー(中華街)やカワサン通り周辺の安価で泊まれるゲストハウスには、そのような各国の若者達が自国で得られない束の間の開放感を満喫している。
M氏もタイの魅力に取り憑かれたそんなタイ病患者の中の一人だが、彼は自由気ままな若者達とは少し違う。
彼には責任を持つべき妻も子供もある40代後半の中年なのである。
M氏は日本では手っ取り早く稼げる肉体労働で汗を流し、その資金を元に来タイする。
航空券は前回の旅行時にバンコクで購入したディスカウント・チケットを利用している。
ビザ期限一杯の3ヶ月間は帰国しない。
そのような生活をもう3年以上も続けている。
M氏がいない間、日本でパートタイマーとして働いている奥さんには、将来計画している貿易の調査のと偽って来タイしているという。
そんな彼の生活は、あるいはバックパッカーの若者たち以上にみすぼらしいかもしれない。
ヤワラーにある一泊250バーツの旅社に泊まり、一杯30バーツの汁そばか焼き飯を食べ、酒はメーコンを愛飲しており、無駄使いは一切しない。
タニヤやスクンビット、シーロム通りなどには行ったことはない。
長期滞在している割には、一般の日本人旅行者と出会うことはほとんどないし、旅社にいる同じような目的で来ている若者と食堂で出会って会話することもあるが、年齢差のためそれほど親しくなることもない。
それでM氏は毎日何をしているのか。
どうしてそれほどタイに執着するのかというと、彼のタイでの目的はとにかく女性のみ。
まるで日課のように毎日欠かさず遊んでいる。
妻子持ちでお世辞にも良い男とは言えない彼にとって、若い女と気兼ねなく遊べるこのタイはまさに天国にも思えるのであった。
しかも彼はヤワラーでタイ人相手に商売をしているような女としか遊ばないので、料金も200バーツ強と格安である。
悪い女に持ち物を盗まれたり、可愛そうな身の上話を涙ながらに語られ、巧みに金銭をせびられたことも何度かあるが、今まで大した問題もなく快適なヤワラーの旅社生活を送ってきた。
だがそんな彼も決して家族を忘れてタイにのめり込んでいる訳ではない。
滞在期限が来て帰国する際には普通の父親に戻り、妻子のために沢山のお土産を買って帰り、日本では子供とよく遊ぶいい父親であるという。

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