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アジアの裏側

「狙われる日本人旅行者」

2006-12-20 07:31:42 | 報道
興味ある記事がバンコク週報に記載されていたので転記します。

宝石詐欺、いかさま賭博、睡眠薬強盗一向に減少せず。
日本人詐欺師も横行
 タイを訪れる日本人観光客は年間百万人を超えているが、このなかには犯罪に遭遇する者も少なくない。犯罪の手口が「古典化」「定型化」しているにもかかわらず、日本人被害者数は一向に減少する兆しをみせない。在タイ日本大使館の援護件数も在外公館のなかで最多を記録している。日本人被害の実態、及びその背景を探ってみた。  
 日本大使館領事部邦人保護課によれば、去年一月一日から八月十三日までの日本人援護件数は六百三十八件(電話での対応は含まず)。援護事案項目のトップは宝石詐欺で、次点がいかさま賭博、以下、睡眠薬強盗、洋服詐欺、歓楽街などでの日本人同士の暴行傷害事件と続く。援護を求める者は三十代が最も多く、男性が七割を占める。
 宝石詐欺は民事事件として起訴しない限り、宝石業者の責任を問うことができず、時間のない旅行者は泣き寝入りを余儀なくされるケースが多い。また、いかさま賭博の手口としては、「日本の話を聞きたい」と巧妙に自宅に誘われた後、「トランプゲームをしよう」と持ちかけられる。さらに、「ブルネイ人のお金持ちから金を巻き上げよう」と言われ、その気になりゲームを始めると、最初優勢だった勝負が最後には大負け。ここで初めていかさまに気づくことになる。
 邦人保護課によれば、最近目立つ犯罪として、日本人旅行者がパソコンやデジタルカメラなど高額な電化製品の盗難証明を観光警察に依頼し、保険金を騙し取ろうとするものがあるという。このため、タイ警察では、本人立会いのもとで申告のあった盗難現場を調査するなどの対策を講じている。
 日本人が狙われる理由として、「危機意識」の欠如が指摘されて久しい。安宿街として世界的に有名なバンコク都内カオサン通りで、「安全管理」に対する日本人旅行者の関心度を探ったが、日・タイ両国の雑誌・新聞で大きく報道された、日本人旅行者二人がタイ人違法ガイドに殺害された事件さえ、「いつですか。初めて知りました」(○井○子さん、二五)というように、ほとんどの人が知らなかった。
 またタイ南部で頻発している警察官殺害事件や爆破事件については、○島○一さん(二七)だけが、「南部に行くときは気をつけるよう旅行社の人に言われました」と事前に情報を得ていたが、そのほかの旅行者は、「(治安情報は)調べたこともないです。地図すら持ってません。なんとかなりますよ」(○辺○史さん、二二)と楽観視。さらに渡辺さんに、「タイ人が『日本のことを教えてほしい』と親しげに話しかけてきたらどうしますか」と聞くと、「それは気分によりますね。でも家に誘われたら、もちろんついて行きますよ」と笑顔で答えていた。
 ○田○久さん(二五)は先日、カオサン通り近くで睡眠薬強盗に出会ったばかりだ。その手口は、「妹が日本に留学するから是非家で日本の話をしてあげてほしい」とタイ人に誘われるところから始まる。しかし、家に着いてもその妹は不在。帰りを待つ間、「トランプで一儲けしないか」と持ちかけられる。誘いを受けてゲームに興じるなか、「喉が渇いただろう」と出されたコーラに口をつけるとひどい眠気に襲われたという。そのため、廣田さんは「もう眠くなったので宿に帰る」とすぐにその場を離れたため、すんでのところで難を逃れることとなった。
 日本人を狙った犯罪が一向に減らない理由として、カオサン通りの日本人旅行者は「お金を持っている。うまく断れない。英語ができない」とさまざまな理由をあげるが、危機意識の低さがその主原因であることには疑いの余地がないだろう。

狙われる日本人旅行者
 しかし、タイで日本人旅行者を狙うのは何もタイ人ばかりではない。日本人が日本人を騙すケースも決して少なくないのだ。
 今月十日には、カオサン通りで知りあった日本人旅行者に睡眠薬の入った飲み物を飲ませ金品を強奪していた日本人が逮捕されている。睡眠薬強盗はこれまでタイ人犯罪者の〃常套手段〃であったが、七月には日本人が加害者となる事件が五件も起きた。これは過去にはなかったことだ。
 また、あるカラオケバーではホステスが、親戚と称して十代の女性を客に紹介、「大学生だが金銭的に困っているので、月に一万バーツ程援助してくれないか」と持ちかけた。洗濯、アイロンがけなど甲斐甲斐しく家事をする姿に感動した男性が、マンションを買ってあげた一週間後、その女性は姿をくらましてしまった。被害者の知人によれば、この女性の背後には日本人を含む詐欺グループが存在するとのこと。店外で紹介される女性には注意が必要だ。
 タイでは未成年の買春に対する刑罰が厳しいが、これを利用した詐欺行為もある。被害にあったのはタイ在住の山○聡さん。山○さんは三年ほど前に居酒屋で知り合った日本人男性から「友人を紹介したい」と言われ、バンコク都内の喫茶店に出向いたところ、そこには十六才になる女の子も同席していた。「お手伝いとして同居させてくれないか」と持ちかけられたが、「態度がおかしく、何か強制されているようだ」と感じた山村さんはこれを断り帰宅。しかしその数日後、日本人二人はその女の子を山○さんの自宅に連れて来ると、そのまま置き去りにしてしまった。
そのため、タクシー代を渡して一人で帰宅させたのだが、翌日、その日本人のタイ人妻から「十六才の少女と関係を持った」として、金銭を要求されたという。ここで「嵌められた」ことに気が付いた山○さんは日本大使館を通じてタイ警察に通報、この二人の日本人は逮捕されることになったが、「タイでは身元の明らかでない人物とは付き合うべきではない」と痛感したとのことだ。
 タイで日本人を取り巻く環境はけっして安全なものではない。常に危機意識を持ち続けることが大切といえよう。

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