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おっさんノングラータ

会社帰りに至福を求めて

スマイル~聖夜の奇跡~(70点)

2007年12月20日 | 映画2007
恥ずかしいくらいに直球勝負の映画
公式サイト

監督である陣内孝則と同じキャラクター性が感じられる作品で、スポ根、難病、寒いギャグの盛り合わせなのに嫌味になっていないのが素晴らしい。残念なのは上映時間が少々長いことで、これもアイスホッケー・チーム「スマイラーズ」の主要メンバーのエピソードをいちいち盛り込んでしまった、監督の生真面目さによるのだろう。ただ、それらがつまらないかと言えば、豪華なカメオ出演もあって、見所の一つになっているのが憎い。


膝の故障でタップ・ダンサーになる夢を諦めた修平(森山未來)は恋人の静華(加藤ローサ)にプロポーズするため、北海道へ戻ってくる。なかなか首を縦に振らない父親だが、自分がオーナーを務めるアイスホッケー・チーム「スマイラーズ」を勝利させることを結婚の条件に提示した。

道大会で優勝を目指すスマイラーズの奮闘を本流として、センター・フォワードを務める昌也(綿貫智基)と東京から来たフィギュア・スケーターの礼奈(岡本杏里)との関係を絡ませつつ物語は進行する。


弱小チームが適切な指導者を得て強くなっていく、というのはスポ根の王道だ。もちろん、強大な敵も存在する。多少の強引さは感じるが、タップで攻撃のリズムを取ったり、修平が専攻した児童心理学を生かして子供たちを発奮させたりといったサポートもあり、スマイラーズは強くなっていく。もともと絶望的に弱かったわけではなく、メンタル面に弱点があり、そこを補うことで相応の実力を発揮できるようになったというのは、森山未來の明るさもあって説得力が感じられた。

加えて、試合の描写が抜群に巧い。描き方が丁寧であり、選手が何をしているのか、どんなフォーメイションで攻め込んでいるのか、あるいは守っているのか、アイスホッケーを知らない観客でも容易に理解できる。一瞬の隙を衝き、パックを浮かせてゴールを決めるシーンは鳥肌が立つほど。本物のアイスホッケー選手を起用した監督の狙いは的中している。

一方、難病について言えば、幼い恋は見ていて微笑ましいものがあるし、映画館でのシーンは印象的だったが、なかったらなかったで話を成立させられる。難病ネタは最近の邦画には不可欠な「タグ」みたいなものになっており、そのタグを見ただけで興が殺がれるという人もいるだろうが、本作では必要以上にウェットな展開にならないので安心されたい。

合間合間に繰り出されるギャグは、途中でその狙いが読めても笑わなしゃあないやんと思わされる。


泣くことに映画の価値を求めている人には向かないが、正統派スポ根ムービーを観て気持ち良くなりたいという人にお薦めしたい。大きな期待さえ抱かなければ、笑って、泣いて、熱くなって、最後にクール・ダウンしてと、満足できると思う。

平日夜の上映回で自分以外にも会社帰りのおっさん客が何人かいたが、きっと明日への活力を満たして家路に着いたことと思う。

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