親子のコミュニケーション術Vol.7

2014-11-14 21:46:38 | 研修会

学研はなまる教室にようこそ☆

先回りしないで「子どもの問題」と見守る

 

第1回宿題のアドバイス
 お題 「子どもと話し合って、できることをひとつ決めて実行しましょう」
 答え
 みなさんは、お子さんと何を実行しましたか? この宿題の答えは、実は何を実行したのかが問題ではありません。「自分がやらないと、自分が困る」体験を通して、「自分の問題なんだ」と子ども自身が気づくことがねらいです。「自分で起きるのって大変なんだ」とか、「親をアテにしていた自分」について考えるように、保護者の方は見守りに徹してくださいね。

 

 「自分がやらないと、自分が困る」体験、あなたの子どもは、できたでしょうか? ただ、「子どもの問題」と自覚するまでつきあうには、忍耐が必要です。子どもがなかなか起きてこなかったり、宿題をやらずにゲームをしていたり、ノロノロして歯がゆかったりすると、どうしても叱りたくなってしまいます。失敗するのがわかっているのを、黙って見守っているのも辛いことでしょう。

 

 でも親が先回りして、手を出し、口を出し過ぎては、子どもの自立は望めません。少し離れたところから見守ることです。

 

 赤ちゃんが歩き始めのころを思い出してみてください。転んでしまっても、それを見守って、「ホラ、あんよができたね。」と励ましていくうちに、一人で歩けるようになったでしょう? 自転車の乗り方を覚えるときも、最初は補助輪をつけますが、本当に乗れるようになるためには、よろけながら子どもが自分で練習するしかなかったはずです。つまり、失敗したり転んだりする経験が必要なのです。

 

 ところが、子どもが学校に行くようになり、勉強や学校生活が始まると、ついつい先回りして口出しや手出しをしてしまう保護者が多いように思われます。

 

 子どもが宿題の作文が書けないと代筆したり、絵を描いてあげたり、忘れ物をしたら学校に届けたりしていませんか? 朝、遅刻をさせないようにせき立てていませんか?

 

 それは、子どもが失敗して困ったり、痛みや悔しさを味わったりすることが不憫だからでしょう。親は「よかれ」と思ってやっていることです。

でも、痛みや悔しさ、恥ずかしさを味わってこそ、失敗の原因を考えて、次はどうしよう? と対策を練る思考に進むのです。保護者が先回りしてお膳立てして、子どもの責任を肩代わりしてやってしまったら、考えるチャンスを奪ってしまうことになりかねません。

親心からやっているのでしょうが、子どもは依存的になり、失敗する機会がなくなってしまいます。

 

 時間がかかるかもしれませんし、親には辛抱が必要ですが、長い目で見て子どもの自発性を育て、やる気のあるたくましい子どもにしていくために、先回りしないで「子どもの問題」と見守りましょう。

 

★高取先生からみなさんへの宿題 第2回★
 あなたは、こんなときどうしていますか?  自分の行動を振り返ってみましょう。
・ 宿題が出ているのに、夜遅くまで子どもがテレビを見ているとき。
・ 机の上に、ノートやマンガ、プリント等々が山積みになっているとき。
・ 1週間前におこづかいをあげたばかりなのに「全部使っちゃったから、ちょうだい。」と言われたとき。

 

JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。