肯定的な視点で見直し、明るく前向きな言葉をかけましょう(最終回)
第6回宿題のアドバイス
問題が起こったときの解決策を、複数考えてみましょう。
●トイレに行きたくて、家に走って戻ったら、鍵がかかっていた。あなたならどうする?
解決策を、3つ以上考えてみましょう。
アドバイス
トイレがなかったら、さてどうするか? 子どもは、解決策をいくつか思いつきましたか? はじめは思いつかなくても大丈夫。ふだんの生活の中で「こんなとき、どうする?」「ほかに考えられる?」と問いかけて、複数考えることを促していくと、物事を多角的に見るクセがつきます。日頃から、問題状況を仮定して、とるべき行動をシミュレーションすることは、いわば危機管理にもなりますよ。
小学生の親子向けにセミナーをしたときのことです。お子さんの隣にいたお父さんが、「早く書きなさい。」「こんなこともわからないのか。これじゃ、マルもらえないよ。」と厳しい目で子どものワークをチェックしていました。子どもは、お父さんの期待に応えようとけなげに考えているようなのですが、お父さんに厳しく見つめられて、フリーズしてしまっていました。少年の姿を見て、『教育熱心過ぎて子どもが萎縮してしまっている』と気になっていました。
別室に移って保護者向けのワーク『子どもの長所を書く』を行ったとき、そのお父さんは「子どものよい所を思いつけない。」と考え込んでいました。「優柔不断だし、グズグズしている......。」とボソボソ声。しばらく考えてから、「アイツのよいところは優しいところ。友だちにも私たちにも優しい。相手のことを考えているから、優柔不断に見えるんだ......。」と、噛みしめるように言いました。子どもの欠点とばかり思っていたことが、実は最大の長所だったことに気づいたのです。そして、「かわいそうなことをした。これからは、彼のよい所を見てあげたい。」と言っていました。
このお父さんのように、保護者の皆さんが子どもの欠点と思っていることは、実は長所かもしれません。肯定的に視点をかえると「気が弱い」のは「優しい」といえるし、「我が強い」は「自分をしっかり持っている」といえるのです。子どものことを、肯定的に見直してみましょう。
また、声かけも明るく前向きにしていきましょう。「○○してはいけないよ。」と禁止形で言われると、子どもは、ますますそのことばかり考えたり、そのことを行ったりしてしまうもの。「こぼしてはいけない。」と思うと、逆に動きが固くなって、思わずこぼしてしまった経験はありませんか? ですから、「これじゃ、マルがもらえないよ。」と禁止形で言うのではなく、「こうすれば、マルがもらえるよ。」というように、肯定的に言うほうが、子どものやる気が出るのです。
子どもは、周りの大人、特に保護者の目に映っている姿が自己像になります。保護者から「オマエは弱虫だ。」とか「お片付けできない、だらしない子。」と言われ続けていると、そのイメージが自分の中に自己像として定着してしまいます。
保護者が肯定的な視点で子どもを見ることが、子どもの自己像をかえ、意欲を引き出します。そればかりでなく、将来的にも子どもが自分に自信を持てる大きな力になります。
どうか、子どものよい所を見つけて、肯定的な言葉をかけてあげてください。子どもと一緒にいられる限定された大切な時間をおおらかに楽しみましょう。
このコラムは今回が最終回です。今までおつきあいくださいまして、ありがとうございました。
★高取先生からみなさんへの宿題 最終回★
子どもの弱みと思っている言葉を、肯定的な視点で見直しましょう。
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JAMネットワーク代表・高取しづか先生
NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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子どもの成長は、私自身(親)の成長でもあるんですね。子どもの未来は
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親の未来でもあります。お互い豊かな未来を築けるように今を肯定的にとらえ
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前進していきましょう。≪学研はなまる教室≫
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