親子のコミュニケーション術Vol.12

2014-11-30 14:18:15 | 研修会

肯定的な視点で見直し、明るくきな言葉をかけましょう(最終回)

 

第6回宿題のアドバイス
 問題が起こったときの解決策を、複数考えてみましょう。
●トイレに行きたくて、家に走って戻ったら、鍵がかかっていた。あなたならどうする?
解決策を、3つ以上考えてみましょう。

 

アドバイス
 トイレがなかったら、さてどうするか? 子どもは、解決策をいくつか思いつきましたか? はじめは思いつかなくても大丈夫。ふだんの生活の中で「こんなとき、どうする?」「ほかに考えられる?」と問いかけて、複数考えることを促していくと、物事を多角的に見るクセがつきます。日頃から、問題状況を仮定して、とるべき行動をシミュレーションすることは、いわば危機管理にもなりますよ。

 

 小学生の親子向けにセミナーをしたときのことです。お子さんの隣にいたお父さんが、「早く書きなさい。」「こんなこともわからないのか。これじゃ、マルもらえないよ。」と厳しい目で子どものワークをチェックしていました。子どもは、お父さんの期待に応えようとけなげに考えているようなのですが、お父さんに厳しく見つめられて、フリーズしてしまっていました。少年の姿を見て、『教育熱心過ぎて子どもが萎縮してしまっている』と気になっていました。
 別室に移って保護者向けのワーク『子どもの長所を書く』を行ったとき、そのお父さんは「子どものよい所を思いつけない。」と考え込んでいました。「優柔不断だし、グズグズしている......。」とボソボソ声。しばらく考えてから、「アイツのよいところは優しいところ。友だちにも私たちにも優しい。相手のことを考えているから、優柔不断に見えるんだ......。」と、噛みしめるように言いました。子どもの欠点とばかり思っていたことが、実は最大の長所だったことに気づいたのです。そして、「かわいそうなことをした。これからは、彼のよい所を見てあげたい。」と言っていました。

 

 このお父さんのように、保護者の皆さんが子どもの欠点と思っていることは、実は長所かもしれません。肯定的に視点をかえると「気が弱い」のは「優しい」といえるし、「我が強い」は「自分をしっかり持っている」といえるのです。子どものことを、肯定的に見直してみましょう。
 また、声かけも明るく前向きにしていきましょう。「○○してはいけないよ。」と禁止形で言われると、子どもは、ますますそのことばかり考えたり、そのことを行ったりしてしまうもの。「こぼしてはいけない。」と思うと、逆に動きが固くなって、思わずこぼしてしまった経験はありませんか? ですから、「これじゃ、マルがもらえないよ。」と禁止形で言うのではなく、「こうすれば、マルがもらえるよ。」というように、肯定的に言うほうが、子どものやる気が出るのです。

 

 子どもは、周りの大人、特に保護者の目に映っている姿が自己像になります。保護者から「オマエは弱虫だ。」とか「お片付けできない、だらしない子。」と言われ続けていると、そのイメージが自分の中に自己像として定着してしまいます

保護者が肯定的な視点で子どもを見ることが、子どもの自己像をかえ、意欲を引き出します。そればかりでなく、将来的にも子どもが自分に自信を持てる大きな力になります。
 どうか、子どものよい所を見つけて、肯定的な言葉をかけてあげてください。子どもと一緒にいられる限定された大切な時間をおおらかに楽しみましょう。

 

 このコラムは今回が最終回です。今までおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

 

★高取先生からみなさんへの宿題 最終回★
子どもの弱みと思っている言葉を、肯定的な視点で見直しましょう。

 

JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

子どもの成長は、私自身(親)の成長でもあるんですね。子どもの未来は

親の未来でもあります。お互い豊かな未来を築けるように今を肯定的にとらえ

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親子のコミュニケーション術Vol.11

2014-11-29 07:13:46 | 研修会

広い世界を知らせることや視点を増やすことで、子どもに生き抜く力をつけましょう。

 

第5回宿題のアドバイス
 子どもの生活のシーンの中で、いつも注意していることを思い浮かべてみます。
要求水準を10%に下げてみて、「できていること」「いいところ」を見つけてみましょう。

 

アドバイス
 子どもの「いいところ」をたくさん見つけることができましたか? 親は、子どもへの期待から、知らず知らずに要求水準が高くなってしまいがちです。要求水準を下げることが難しいと思った方は、「こうあるべきだ」という期待感が強いのではないでしょうか。過剰な期待は結果として子どもを押しつぶすことになりかねません。子どもが何か「できたところ」を「できたじゃない!」と認めたり、子どもが持っている別のよい部分を思い出したりして、強みを見つけてみましょう。

 

 子どもにこれからの困難な時代を生き抜くためのたくましさを身につけてほしい、と願っている保護者の方は多いことでしょう。
 子どもが生き抜く力を身につけるためには、大変な体験を乗り越えていく経験が必要です。子どもたちは周囲の人とかかわる中で、ケンカやトラブルなど楽しくない経験もするでしょう。そんな時でも、できるだけ子どもたちの力で難局を乗り切らせてほしいのです。そんな経験の積み重ねが、大人になって役に立ちます。見守る側の保護者は少々のことなら、手や口を出さずに大らかに見守ってあげましょう。
 もう一つ、視点を増やすことも役に立ちます。問題が起こったときの解決策を、子どもと一緒に複数考え出してみましょう。日頃から「別の見方はできないかな?」と促してみます。考える視点が増えると、困ったことがあったときにも心にゆとりが生まれ、追い詰められることが少なくなります。ひとつの考えにとらわれないので、柔軟性が生まれます。

 

 また、世の中には多様な考え方があることを知っていることも大事です。子どもは家庭と学校とおけいこごと程度の狭い人間関係の中で暮らしています。また学校教育では、多くの場合「ひとつの答え=正解」を求められることも多いです。でも世の中に出れば、たくさんの人がいて、多種多様な価値観があることがわかるはずです。
 そのためには、子どもたちに、あなたや家族がしている仕事について、ぜひ話してあげてください。仕事が世の中や社会の動きとどう関係しているか、生きた教育になるでしょう。また、世界に目を向けて、例えば、子どもと同じ年齢の子どもたちがどういう状況にいるか、話してあげてください。アフリカでは約100円ではしかのワクチンが買えるので、世界の人々の寄付で子どもたちの命が助かっていること、中東には教育を受けることすら命がけの子どもたちがいることなど、ニュースを見ながら子どもと会話をしましょう。広い世界に触れて、子どもたちの視野が広がることでしょう。

 

 世の中には色々な視点があって、正解は一つではないことを知っておくことで、柔軟な見方ができるようになります。そして、少々のことでは動じないたくましさを身につけることになるのです。

 

★高取先生からみなさんへの宿題 第6回★
問題が起こったときの解決策を、複数考えてみましょう。
・トイレに行きたくて、家に走って戻ったら、鍵がかかっていた。あなたならどうする?
解決策を、3つ以上考えてみましょう。

学研はなまる教室 ただいま入学準備コース実施中

 

JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。

 


親子のコミュニケーション術Vol.10

2014-11-25 09:09:52 | 研修会

要求水準を下げて、ほめポイントを見つけましょう

第4回宿題のアドバイス
 「どっちにする?」
● 朝は、パンとごはん、どっちにする?
● 靴とサンダル、どっちをはく?
● 今度のお休みは、遊園地か自然の中、どっちに行きたい?
● 新幹線か飛行機、どっちに乗りたい?
(二者択一はどちらを答えても間違いではないものを出題してください。)

 

アドバイス
 いつもは親が一方的にやってあげていたことも、「どっちにする?」と選ばせてみると、子どもは自分の心の中をのぞいて「どっちがいいだろうか?」と考えて、気持ちを決めます。ささいなことですが、こんな積み重ねが子どもの意思を育てるうえで大事なのです。とはいえ、選択肢の主導権は親が持つこと。忙しい毎日の中で、子どもに振り回され過ぎるのも問題だからです。少しずつ「自分はどうしたいのか」を決めていけるよう、問い続けてみましょう。

 子育てしていると、子どもに教えられることがあります。
 私も、 子どもたちに言われてハッとしたことがありました。
「ママは私たちがケンカしていると『またやってる!』と怒るけど、仲良くしているときは、何にも言わないんだね。」
 たしかに、その通りでした。いっしょに仲良く遊んでいる時間のほうがずっと長いのに、ときどきするケンカばかりとがめられていたのでは、子どもだってやりきれないでしょう。
 それからは、「仲良く遊んでるね。」「楽しそうね。」と、声をかけるようにしました。
 「できていること」よりも、「できていないこと」に注目してしまうのは、できていることが当たり前になってしまうからです。当たり前と思わずにほめましょう。
 実は、できていることをほめることのほうが、長所を伸ばすのに効果的です。
「静かにしなさい!」と叱るよりも、静かにしているとき「静かにしてるね。」と認めていると、子どもの中によいセルフイメージが定着します。「できていること」「いいところ」をみつけて、ほめてみましょう。

 「いいところ」を見つけるコツは、要求水準を下げることです。「ほめるところがない」という方も、要求水準を下げると、「いいところ」が見えてきます。
 子どもが「ピアノの練習をしない。」と、こぼしていた方の話をよく聞いてみたところ、10分くらいはピアノに向かうとのことでした。ただ「最低でも30分間は練習してほしい。」と思っているものですから、「もうやめちゃうの。」とイヤミたっぷりに言ってしまうそうです。これでは、ピアノの練習がイヤになってしまうでしょう。要求水準を10%に下げれば「とにかくピアノの前に座った」だけでマル。たとえ5分でも「5分練習したね。」と言えるのです。
 「それでは、努力しなくなるのでは?」と心配される方もいるでしょう。ところが長い目で見ると、できたことを「できたね。」と認めている方が子どもの自発性=自ら伸びていくチカラが育つのです。「できた」という達成感を味わうことで「次もやってみよう。」と意欲が生まれるからです。すぐ答えを出そうと思わずに、要求水準を10%に下げて、たとえ小さなことでも「できたところ」を言葉に出して認めていきましょう。

★高取先生からみなさんへの宿題 第5回★
子どもの生活のシーンの中で、いつも注意していることを思い浮かべてみます。
要求水準を10%に下げてみて、「できていること」「いいところ」を見つけてみましょう。

JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。


親子のコミュニケーション術Vol.9

2014-11-22 07:00:35 | 研修会

子どもの意思を育てる

 

第3回宿題のアドバイス
 宿題「①息を大きく吸って、ゆっくり吐き出す、②水を飲む、③場所を変える、④1、2,3......と数を数える、⑤ふたを閉めた、とイメージする」

 

アドバイス
 子どもの自主性を育てるには、見守ること。とはいえ、忙しい日々の中で「見守る」=「待つ」ことのむずかしさは、多くの保護者が感じていることでしょう。私自身も口を出したくなるのを抑えながら、何度となく「これって修行?」と思ったことがありました。
 でも、見守りを続けていくうちに、子どもに考える力がついてきたり、自覚が生まれたりと、何らかの手ごたえを感じるのです。どうか、上記の方法を参考に、自分の心が落ち着く方法を探して、「見守る」ことを行い、子どもたちの成長を待ちましょう。

 

 自分で考え、自発的に行動できる、自立した人間に成長するためには、「自分はどうしたいのか」という自分の意思を持っていることが大切です。
 とはいえ、中には、すべてに受け身でやりたいことがないように見える子どもや、優柔不断で「どっちがいい?」と聞かれても「どっちでもいい。」と自分の意思を主張しない子どももいます。持って生まれた性格もありますから、あせる必要はありません。子どもは成長につれて変わっていきますので、長じるにつれて自分の意思が伝えられるようになることは多いものです。むしろ、人のことを考える優しさや慎重さでもありますので、そんな長所を伸ばしてあげたいですね。

 

 ただ、普段の生活の中で少しずつ「自分の意思」を育てられるように、心がけてあげましょう。

 

 それには、できるだけ本人に選択する場を多く設けて、自分で選ばせることです。たとえば、学校に着ていく服を親が決めずに、自分で選んだり、「今朝は、ご飯とパンがあるけど、どっちにする?」と選ばせたりするのです。日々の生活の中で「気持ちを決める」機会を作る、自分で選ぶ体験をさせてみてください。(ただし、保護者の皆さんがくれぐれも無理のない範囲で行ってくださいね。)

 

 自分が選んだことだと、人は主体的になるものです。ですから、お手伝いでも「お風呂を洗って。」と一方的に言うよりも「お風呂洗いと玄関そうじのどちらかを手伝って。」と選ばせた方が、子どもが自分の意思で決めたことになるので、やり遂げる確率が高いのです。お手伝いをしてもらうテクですね!

 

 私が主宰している「ことばキャンプ」というコミュニケーションプログラムの中では、「どっちにする?」と二者択一のワークをしています。このワークを通して、子どもたちは自分の気持ちを見つめ、意思を持ち、表現することに慣れていきます。できたら、なぜそれを選んだか、理由を聞いてみましょう。
 ご家庭でも、子どもといっしょに「どっちにする?」と、自分の気持ちを伝えあうワークをしてみませんか? お互いの気持ちを知ることができて、楽しいですよ。

 

 子どもの自発性、やる気のもとになる「自分の意思」を、育てていきましょう。

 

★高取先生からみなさんへの宿題 第4回★
「どっちにする?」
● 朝は、パンとごはん、どっちにする?
● 靴とサンダル、どっちをはく?
● 今度のお休みは、遊園地か自然の中、どっちに行きたい?
● 新幹線か飛行機、どっちに乗りたい?
(二者択一はどちらを答えても間違いではないものを出題してください。)

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JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。

 


親子のコミュニケーション術Vol.8

2014-11-19 09:52:05 | 研修会

親の「言葉」と「行動」を変えてみる

 

第2回宿題のアドバイス
 お題  あなたは、こんなときどうしていますか?  自分の行動を振り返ってみましょう。
・ 宿題が出ているのに、夜遅くまで子どもがテレビを見ているとき。
・ 机の上に、ノートやマンガ、プリント等々が山積みになっているとき。
・ 1週間前におこづかいをあげたばかりなのに「全部使っちゃったから、ちょうだい。」と言われたとき。

 

アドバイス
 さて、いかがでしたか? 振り返ってみて、あなたはどんな行動をとっていましたか?「いつまで見てるの!」「まったく! だらしないんだから!」なんて感情的に「言葉」を言ってしまっていますか? それとも、一呼吸置いて、できるだけ冷静になるように努めて、子どもに伝わる言い方を考えて発言していますか?(「時間は大丈夫かな?」と気づかせたり、「机の上、崩れそう。いつ片付ける?」と促したり、「何を買ったの? 教えて」などと問いかけたりするような言い方) 自分の行動を、まず知ること。もし、どうしても感情的に叱ってしまう、という方は、今月のワークにもトライしてみましょう。

 

 前回、やる気のある子どもに育てるには、先回りしないで「子どもの問題」と、見守ることが大切だとお話しました。しかし、「なるほど!」と思っても、実践しない限り、現実は変わりません。
 頭ではわかっていても、ついついやってあげたり、声を荒げてしまったり、なんてこともあると思います。私だって、「わかっちゃいるけど、できない」という経験は何度もしています。それは、頭のレベルで「確かにそうだな~。」と思っていても「意識」にとどまっているからです。

 

 それではどうしたらよいのでしょうか。有効な方法として、「言葉」と「行動」を変えてみることがあげられます。「言葉」と「行動」なら、意識を変えるよりもぐっとハードルが下がり、取り組みやすいのです。

 

 たとえば、子どもは、宿題があるのになかなか取りかからず、夜になってもテレビを見ていたとします。寝る時間は迫ってくるし、どうするんだろう。このままでは時間がなくなっちゃう……アレコレ考えていうちに、「いつまで見ているの!」と大声をあげてしまう。そして、一度口に出してしまうと、押さえがきかなくなって、ガミガミ……。頭から湯気を出しながら、怒ってしまった、ということはありませんか?

 

 そこで、「いつまで見ているの!」と大声で言う代わりに、「言葉」を変えてみましょう。 どのように変えるかというと、第1回でもお話しましたが、

 

1. 子どもに気づかせるコミュニケーション
2. 考えさせるコミュニケーション
3. モチベーションをアップさせるコミュニケーション
をもとに声かけの「言葉」を変えていきます。

 

 たとえば「今、8時よ」とタイミングを知らせたり、「寝るまでに、あと何時間あるかな?」と考えさせたりする。また「寝るのが遅くなると、明日眠いから。さ、やっちゃおう!」と励まして、やる気にさせるのもよいでしょう。お子さんも、いきなり怒鳴られるのではなく、こういう言葉でしたら、コミュニケーションの扉を開けやすいでしょう。

 

それでもイライラしてしまうときは、「行動」を変えましょう。まず息を大きく吸って吐く「深呼吸」をすると、心が落ち着きます。あるいは、別の場所に少し移動するだけでも、気分が変わります。こんな風にして、自分なりの落ち着く方法を考えてみましょう。 「わかっちゃいるけど、できない」ときには、言葉と行動を変えてみませんか?

 

★高取先生からみなさんへの宿題 第3回★
1. 息を大きく吸って、ゆっくり吐き出す。
2. 水を飲む。
3. 場所を変える。
4. 1、2、3……と数を数える。
5. ふたを閉めた、とイメージする。

学研はなまる教室 入学準備コース実施中

 

JAMネットワーク代表・高取しづか先生

 NPO法人JAMネットワーク代表。神奈川県子ども・子育て支援活動アドバイザー。2003年、アメリカで出会った仲間や日本の友人たちと「子どもと親等のコミュニケーションスキル育成」を使命とするJAMネットワークを結成。以後、子どもや女性の視点で、子育てや教育、生活全般に関する新聞・雑誌・本の執筆を行う一方、各地での講演活動も。子どもたちのコミュニケーション能力を育成するために、児童養護施設等での「ことばキャンプ」の普及に取り組んでいる。