霊界物語 第六巻 霊主体従 巳の巻 第六篇 百舌鳥の囁
平成二十三(2011)年八月十七日 旧七月十八日(水)
黄金山(ワウゴンサン)下の埴安彦神(ハニヤスヒコノカミ)の教示を
天下に宣伝する東彦(アヅマヒコ)の天使(カミ)は、
一同を集め、
岩上に端坐し五大教(ゴダイケウ)の教理を説示するをりしも、
はるかの前方より、
又もや白髪異様の宣伝使現はれきたり、
『この世を造りし神直日(カムナホヒ)
御魂(ミタマ)もひろき大直日(オホナホヒ)
ただ何事も人の世は
直日(ナホヒ)に見直(ミナホ)せ聞(キ)き直(ナホ)せ
身の過(アヤマ)ちは宣(ノ)り直(ナホ)せ』
と節(フシ)面白く謡(ウタ)ひつつ、
此方(コナタ)に向ひて進みくる。
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今年の夏は八月六日を過ぎた頃から、
筆者の地元である横浜市南区辺りも急激な猛暑に襲われて、
しばらくクールにいつもの様な分解を出来るコンディションになれず、
筆者は大江戸SF人情コメディーアニメ「銀魂」のDVDを鑑賞しながら、
グレープフルーツチューハイを楽しみつつ、
ちょっと長めのお盆休みをさせて頂いた。
前回「五大教」について分解した後、筆者はこの「霊界物語」と、
皇道經濟を土台にした皇道政治との密接な関係が観えてしまったので、
今後はきっと、不平不満を持つ凡神、凡人達の苦悩を解決する答えは、
全て「皇道經濟を土台にした皇道政治」になり、
それが水戸黄門の御印籠の様になってしまう感じがして、
それもあまりにワンパターンなのではないかな?…と思いつつ、
大江戸SF人情コメディーアニメ「銀魂」を観つつ、
「おとぼけハリー大作戦」の続きを書きたい様な気分にもなったが、
何せ、八月六日以降急激に地元も猛暑に襲われたので、
ここでの白髪異様の宣伝使の宣伝歌の様に、
『この世を造りし神直日(カムナホヒ)
御魂(ミタマ)もひろき大直日(オホナホヒ)
ただ何事も人の世は
直日(ナホヒ)に見直(ミナホ)せ聞(キ)き直(ナホ)せ
身の過(アヤマ)ちは宣(ノ)り直(ナホ)せ』
という冷静な気分になり辛いまま、ダラダラと分解するのを避けようと、
今日までハイテンションになった脳圧の、
やや白っぽい光の中で遊び続けた。
不思議なもので、その間楽しんでいた「銀魂」というアニメの設定が、
ある意味、明治維新を型にした、地球世界と宇宙との間の維新の様な、
そんな中での何でもありの展開なので、
こういう所にも「型の大本」的精神が生かされているのだなぁ…と、
妙な同胞意識に戯れる事が出来た。
さて、この三大教の宣伝使は白髪異様の姿をしている様だが、
筆者がWEB上で長らく続けて来た「赤紫女王決選」のきっかけになった
「ALL TO A MASH / おとぼけハリー大作戦(紙芝居系)第二話 不思議な女」
のヒロインである東陽子にそっくりだった思い出の美少女マナミちゃんに、
恋心を持たせた不思議な夢に出て来た導師の様な神人の様な存在も、
白髪異様の姿であったので、この三大教の宣伝使の事は、
筆者もなんとなくその夢と関わりがある様に思ってしまうのだが、
王仁三郎聖師の漫画調のふっくらとした神々とは違い、
筆者の夢に出て来たのは、古風な筋張った顔立ちの眼光鋭い神人で、
一般的なストイックな印象の姿であった。
はたしてこの三大教の宣伝使はどんな顔立ちだったのであろうか?
もし、王仁三郎聖師の様なふっくらとした顔立ちだとすると、
筆者の夢に出て来た神人とは正反対の印象になるのだが、
本文からだけでは、ちょっと想像するのが難しいのは残念だ。
一方、五大教の宣伝使は、
黄金山の埴安彦命の教示を宣伝する東彦である。
勿論、名前から察する通り男神であろうから、
筆者の「おとぼけハリー大作戦 不思議な女」の東陽子とは別人だろうが、
変性男子とか、男体女霊だとか、そういう事を考えたら、
もしかしたら、筆者も潜在意識的にこれらの事を反映させて、
この思いつき漫画を描いたのかもしれない…と、
ちょっと不思議な気分を今、楽しんでいるところである。
ただ奇妙なのは、筆者がこの漫画を描いたのは、
まだ大本教の事など、かけらも頭に無かった頃のなのだが…?
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頭髪は飽(ア)くまで白く、
髯(ヒゲ)は八握(ヤツカ)の胸先に垂れ、
是(コレ)また純白にして、
銀の如き光沢を放ちゐたり。
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筆者の夢の中に現れた神人は、はたして白髪だったか…?
今、思い出すと、なんとなく銀髪だった様な気もしないでもないのだ。
髯は確かに胸先まで垂れていたけれども…
右手にはよく仙人が持っている様な杖を持っていた。
衣服は白っぽくて帯をしめていたが、
和服の様な…、ダブダブのワンピースの様な…。
袖は羽織の袖の様な感じだった気もするが…。
とりあえず出口王仁三郎聖師が定めた宣伝使服の様なものではなかった。
…と、ここまで来て、今、本分を読み直したら、
「是(コレ)また純白にして、
銀の如き光沢を放ちゐたり。」
…とハッキリと記されているので、正直、今の今、
筆者も開いた口がすぼまらない気分になっている。
しかも、ここのところ夢中になっている「銀魂」の主人公も銀髪だ。
あまり、深い意味は無いだろうけれど、
妙に繋がりがある感じがして不思議である。
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この宣伝使は、
霊鷲山麓(リヤウシウサンロク)の玉(タマ)の井(イ)の郷(サト)に現はれ出でたる
三葉彦神(ミツバヒコノカミ)の教理三大教(サンダイケウ)を、
天下に宣布する北光天使(キタテルノカミ)なり。
この霊鷲山は印度(インド)と西蔵(チベツト)の境に屹立する高山にして、
黄金山(ワウゴンザン)は聖地エルサレムの傍(カタハラ)に聳(ソビ)えたつ
橄欖山(カンランザン)の別名なり。
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「霊鷲山麓(リヤウシウサンロク)の玉(タマ)の井(イ)の郷(サト)に現はれ出でたる
三葉彦神(ミツバヒコノカミ)の教理三大教(サンダイケウ)を、
天下に宣布する北光天使(キタテルノカミ)なり。」
霊鷲山=高熊山 玉の井の郷=穴太 三葉彦神=出口王仁三郎聖師
という事になるとすれば、
北光天使は東京辺りを中心に興った愛と許しを説く新興宗教かもしれない。
これはまたキリストとナザレのイエスの関係も顕しているのかも…?
「霊鷲山は印度(インド)と西蔵(チベツト)の境に屹立する高山」
釈迦がシッタルタ太子として生まれた時に、霊鷲山の仙人だかが、
仏陀が生まれたとか何とか予言したそうなので、
筆者のそのつたない記憶を頼りに検索したら以下のリンクの様だった。
霊鷲山 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%8A%E9%B7%B2%E5%B1%B1
「インドのビハール州のほぼ中央に位置する山。
釈迦仏が無量寿経や法華経を説いたとされる山として知られる。」
…だそうである。
…という事は、もしかすると、
釈迦が三葉彦神でナザレのイエスが北光天使なのかも?
「霊界物語」的には三葉彦神が出口王仁三郎聖師で、
北光天使は上田喜三郎先生…という事になるのかもしれないのだが?
「黄金山(ワウゴンザン)は聖地エルサレムの傍(カタハラ)に聳(ソビ)えたつ
橄欖山(カンランザン)の別名なり。」
黄金山=橄欖山=オリーブ山
…という事になると思うので、一応参考になりそうなリンクが下記だ。
オリーブ山 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%96%E5%B1%B1
オリーブ山はエルサレム東郊にある丘陵だそうで、
山というほどの山でもない様だ。
もしかしたら綾部市の四尾山がこの型なのだろうか?
他にも諸説ある様だが…?
そして、埴安彦神というのは艮の金神様の様である。
その教示を伝える五大教の東彦というのが一体誰なのかはちょっと不明だが、
もしかしたら国常立尊の分け身魂である国武彦命なのかも?
いわゆる大本教開祖出口直は、この国武彦命の神示を、
稚姫君命を介してお筆先として世に顕したという事になるのだろうか?
ナザレのイエスにとっての洗礼のヨハネの役所を持っていたのが、
もしかすると、この東彦の天使なのかもしれない。
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白髪異様の老宣伝使は、
東彦天使(アヅマヒコノカミ)の宣教を耳をすませて路傍に立ちながら、
静かに聴き入る。
東彦天使はこの宣伝使が、
吾が傍に来りて教理を立聞きせることを夢にも知らず、
一心不乱に側目(ワキメ)も振らず、
五大教の教理を説示しつつありき。
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ちょうど洗礼のヨハネがヨルダン川で、
わき目もふらずに神示を叫んでいる様子を眺めていた
ナザレのイエスの様な感じだろうか?
しかし、ナザレのイエスの肉体は洗礼のヨハネよりも若干年下だった筈。
後にナザレのイエス自身が「われはよみがえりなり」などと言っていた様で、
それは「第二アダム」を意味するらしいから、そういう意味では、
身魂の上では洗礼のヨハネよりもずっと老人であったのかもしれない。
そして、それを上田喜三郎先生に例えると、
筆者は上田喜三郎先生は「第三アダム」の役所だったのではないか?
…と考えているので、やはり、身魂の上では最長老だったのかも?
…と、言えないでもない様な気がする。
なんとなく、大人が子供の演説を背後から愛しく見守る様な…
そんな心境で、東彦天使の姿を眺めていたのかもしれない。
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北光天使(キタテルノカミ)は一同に目礼するのもうち忘れ、
襟(エリ)を正して無我夢中にこの教理を聴きつつありき。
東彦天使は少しく息を休めむとして口を閉ぢ、
あたりを見れば、
白髪異様の宣伝使が平岩(ヒライハ)の傍に佇立(チヨリツ)しゐるに驚き、
『貴下(アナタ)は何人なるや』
と軽き目礼と共に問ひかくるに、
白髪異様の宣伝使は、
慇懃(インギン)に答礼を施しながら、
『吾は霊鷲山(リヤウシウザン)の麓(フモト)に坐します三葉彦神の宣伝使なり。
今貴下(キカ)の御説示を聴き感歎措(オ)くあたはず拝聴したり。
願はくは吾にも教理の蘊奥を説示したまはずや』
と懇請する。
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お互いが交わしたコトバは全く違うけれども、
この様子はヨルダン川で出会った洗礼のヨハネと
ナザレのイエスの関係に似ている。
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東彦天使は宣伝使と聞き、
直ちに岩の座を下りその前に進み、
慇懃に会釈しながら、
『吾は愚鈍の性質にして、
貴下らに教理を説くの力なし。
ただ吾より後れたる信者に対し、
神の道を朧気(オボロゲ)ながら口伝へするのみ』
と謙譲の色を表はし、
固く辞し、
かつ、
『貴下は如何(イカ)なる教理を宣伝したまふや、
聴(キ)かま欲(ホ)し』
といふにぞ、
北光天使は、
『こは心得ぬ貴下の御言葉かな。
そもそも神の道は神人の知識
また考量をもつて伝ふべきものにあらず。
神は宣伝使の口を藉(カ)りて、
以て甚深微妙の教理を説示したまふにあらざるか』
と問ひ返したるに、
東彦天使はその理に服し、
『吾は誤(アヤマ)れり。
日夜大神(オホカミ)の神示を宣伝弘布する身でありながら、
かくのごとき重大なる意義を忘却しゐたり。
あゝ恥(ハヅ)かしや』
とさし俯(ウツム)きて、
袖(ソデ)に顔を隠すを見て、
北光天使は気の毒がり、
『いたらぬ吾らの過言無礼許させたまへ。
吾は神人(シンジン)を思ふのあまり、
かくも不遜の言辞を、
宣伝使たる貴下に申し上げしは不覚のいたりなり。
実に恥(ハヅ)かしさの限りよ』
と吾が心に省み、
おほいに恥(ハ)づるもののやうなりける。
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もしかすると、この東彦天使と北光天使のやりとりは、
新約聖書に書き洩らされた洗礼のヨハネとナザレのイエスのやりとりを、
この「霊界物語」の中で詳細に記しているのかもしれない。
上田喜三郎先生が出口直大本教開祖に出会った時の会話は、
ここまで複雑では無かったと「三鏡」辺りに記してあった気がする。
確か出口直開祖が、
「わかっているのでしょう?」
と、一言尋ねると、上田喜三郎先生は、
「わかっています。」
と、一言答えただけで、全てを了解し合えた様である。
実際には、それから金明霊学会が発足されて、
「火水の戦い」
という御神業が行われて、この洗礼のヨハネとナザレのイエスの、
最初の神業失敗劇の立直しをしたのであろうと筆者は考えるのだが…。
何故、筆者が洗礼のヨハネとナザレのイエスの神業が失敗したと考えるか?
それは朝鮮から出た故?文鮮明牧師の統一原理によるのであるが、
故?文鮮明牧師も、統一原理を編み出した後、
洗礼のヨハネに当たる人物と出会ったそうだが、
その出会いは神業としては失敗に終わったのだそうである。
しかし、実は出口直大本開祖と上田喜三郎先生の間で、
この失敗は立て直されていたのであって、
それが為に「霊界物語」には厳の御霊の権威は全て瑞の御霊に継承された。
…という意味合いの事が記されてあるのだと、筆者は考えるのだ。
つまり、故?文鮮明牧師の統一原理によって、吾々は、
洗礼のヨハネとナザレのイエスの神業失敗の経緯を学ぶ事が出来ると同時に、
出口直開祖と上田喜三郎先生が「火水の戦い」に於いて何を成し遂げたか?
…を正確に覚る事が出来るものだと考えるのである。
従って、真に出口王仁三郎聖師の聖地再臨を成就する為には、
筆者は、この統一原理という神器を必ず用うるべきものである。
…と、考えるのである。
ユダヤの役割とイスラエルの役割を正確に明らかにして、
エルサレム入りをしてゆく必要を筆者は強く感じるのだ。
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ここに二人の宣伝使は岩上に立ち、
宣伝歌を交(カハ)る交(ガハ)る謡(ウタ)ひて、
天津祝詞(アマツノリト)を奏上し、
天地(テンチ)の大神(オホカミ)の洪徳を賛美したりける。
而(シカ)して二人の宣伝歌を合一して、
一つの歌に延長したり。
『神が表面(オモテ)に現はれて
善と悪とを立別(タテワ)ける
魂(タマ)を研(ミガ)けよ立替(タテカ)へよ
身(ミ)の行為(オコナヒ)も立直(タテナホ)せ
この世を造りし神直日(カムナホヒ)
霊魂(ミタマ)もひろき大直日(オホナホヒ)
ただ何事も人の世は
直日(ナホヒ)に見直(ミナホ)せ聞(キ)き直(ナホ)せ
身の過失(アヤマチ)は宣り直せ』
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この東彦天使と北光天使との出会いによって生まれた宣伝歌は、
いわゆる「火水の和合」であろうと思うのだが、
かつて日本国内でも、大本で開祖と聖師が和合したからといって、
世界中がすぐに丸く治まったのではない事は歴史が証明している。
三五教の成立を意味する、この二柱の天使の出会いは、
厳と瑞との和合を意味するものであっても、
悪の世の立替へ、立直しの完成を意味するものではない。
この厳と瑞との和合によって、
これから悪の世の立替へ・立直しが始まるのだと思うのだが、
さて、どうであろうか?
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東彦天使は席を譲りて、
北光天使を平岩の上へ安坐せしめ、
神の教示を聴きいりぬ。
このとき一同は合掌して神徳を讃美し、
異口同音に宣伝歌を謡ふ。
一同の顔には以前に引代へ、
愉快にみてる血色(ケシキ)漂(タダヨ)ひける。
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要するに大本型神業の中でのクライマックスである「神島開き」の後、
出口直開祖のお筆先が鎮まり、
上田喜三郎改め出口王仁三郎聖師の活動が始まる。
…というわけだが、つまり、綾部の片田舎での組織内抗争が終息し、
これから日本政府に対して、
本格的な御神業を展開しようという段階になった。
…という事の様な感じの出来事なのではないだろうか?
洗礼のヨハネの時には、ヨハネが弟子達に、
ナザレのイエスに従う様に命じたが、
その命令が何処か不徹底だったのか?洗礼のヨハネの弟子達は、
そうは簡単にナザレのイエスには従わなかった様である。
それは、洗礼のヨハネ自らが、
ナザレのイエスの下座につき従う事が出来ないまま二人が別行動をとり、
イエスは荒野で四十日間の断食と悪魔による三大試練を受け、
その後ナザレのイエス独自の選別によって十二弟子をチョイスし、
新たな活動を始め、その間、ヘロデ王に捕らえられた洗礼のヨハネが、
斬首されて果てた為に失敗した為に、
この神業失敗の立直しを、上田喜三郎先生が出口直開祖が昇天するまで、
独立しないで耐え抜いた事で、
開祖派の弟子達をそのまま抱え込む事が出来た様だ。
しかし、今、改めて見直してみると、
出口直開祖と上田喜三郎先生の「火水の戦い」の折にも、
上田喜三郎先生は綾部の大本の旧役員達を嫌い、
自身の実力を駆使して宣伝活動で実績を上げていた様だが、
洗礼のヨハネの失敗を立て直す役目の出口直開祖も、
何度も上田喜三郎先生を呼び戻すという努力を繰り返した様で、
お互いに反目し合いながらも、なんとか離反せずに耐え抜いた事で、
辛うじて洗礼のヨハネとナザレのイエスの神業失敗を立て直した様である。
そして上田喜三郎先生改め出口王仁三郎聖師の代になってから、
開祖派の旧役員達の粛正が、第一次大本事件を通じて行われた様な気がする。
ナザレのイエスは最初、愛と許しを説いたので、
おそらく洗礼のヨハネの弟子達の粛正などは夢にも浮かばなかったのであろう。
筆者は、ここが肝心要の部分なのであろうと思う。
『神が表面(オモテ)に現はれて
善と悪とを立別(タテワ)ける』
出口王仁三郎聖師のその後の御神業を見直してみると、
筆者にはその様に思えてならないのである。
ただし、これは神と悪魔の戦いであって、霊的な立替へ・立直しであっても、
霊体完備した地上天国の完成という事では無い様な気もするのである。
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甲 『只今(タダイマ)の宣伝使に御尋(オタヅ)ねいたします。
前刻より黄金山(ワウゴンザン)の宣伝使様に承(ウケタマハ)りますには、
この世の中は善悪の立替(タテカヘ)があり、
大慈大悲の神様が現はれて善人を助け、
悪人を亡ぼし、
強きを挫(クジ)き、
弱きを救ひ、
吾々の地に落ちたる人民を天国に救ふて下さるといふことであります。
実に吾々は再生の思ひと、
歓喜にたへませぬ。
然るに、
又もや貴下(アナタ)がここに現はれて、
「ただ何事も人の世は、
直日(ナホヒ)に見直(ミナホ)せ聞直(キキナホ)せ云々」
と仰(オホ)せられましたが、
一体これは何ういふことでありませうか。
詳しく御説示を願ひます。
吾々は祖先伝来の山や田地を悪人に占領せられ、
女房は奪ひとられ、
住居(スミカ)は焼かれ、
食ふに食なく、
眠るに家なく、
親子夫婦は四方に離散し、
実にあるにあられぬ、
悲しい世を送つて居ります。
私はそれ故かく乞食となりて四方をめぐり、
家を焼き女房を奪つた悪者を探し求めて、
仇(アダ)を討つてやらうと考へ、
苦労艱難を致してをりますが、
もし神様がこの世に在(イ)らつしやるのならば、
なぜこんな不公平なことがあるのに、
黙つて見てをられるのでせうか。
私はこの世に神の存在を疑ひます。
先の宣伝使の言はれたやうに、
善悪を立替る神様が在(ア)るとすれば、
一日も早くこの無念を晴らして欲しいと思ひます。
然るに只今貴下(アナタ)の御言葉の中に
「ただ何事も人の世は、
直霊(ナホヒ)に見直せ聞き直せ」
と仰せになりましたが、
これは要するに何事も諦(アキラ)めよとの教ではありますまいか。
先の神様の教と貴下の教とは、
どうしてもつばねが合はないやうな考へがするのです。
どうぞ詳しく御諭(オサト)しを願ひたう存じます』
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『黄金山(ワウゴンザン)の宣伝使様に承(ウケタマハ)りますには、
この世の中は善悪の立替(タテカヘ)があり、
大慈大悲の神様が現はれて善人を助け、
悪人を亡ぼし、
強きを挫(クジ)き、
弱きを救ひ、
吾々の地に落ちたる人民を天国に救ふて下さるといふことであります。
実に吾々は再生の思ひと、
歓喜にたへませぬ。』
この甲のコトバは、霊的な救いばかりに酔っていた若い頃の筆者には、
とても愚かな発言の様に感じられたものだが、今の筆者はまるで感じ方が違う。
この甲の叫びこそ、この物質世界には重要な問題なのだ。
東彦天使も北光天使も、精神崇高で、物質的な欲望を超越し、
常に神霊界の天国に籍を置いているので、
肉体的な不満という事が観えていない。
だから天使同士は、非常にその出会いを喜び、法悦に酔う事が出来るが、
地上で悪神達の支配と暴威に苦しめられて来た弱者達にとっては、
その様な事は酔狂にしか観えないに違いないのだ。
『然るに、
又もや貴下(アナタ)がここに現はれて、
「ただ何事も人の世は、
直日(ナホヒ)に見直(ミナホ)せ聞直(キキナホ)せ云々」
と仰(オホ)せられましたが、
一体これは何ういふことでありませうか。
詳しく御説示を願ひます。』
彼等が味わって来た怨みつらみの根本原因を解決して、
その後、直日に見直し聞き直し、過去の過ちの全てを許す心を持つように、
順序を踏むべき事を、まだこの三五教の元祖二柱は気付いていないのだろう。
要するに筆者は、ここが、
「皇道經濟を土台にした皇道政治」
の受け持ちであると考えるのだ。
『吾々は祖先伝来の山や田地を悪人に占領せられ、
女房は奪ひとられ、
住居(スミカ)は焼かれ、
食ふに食なく、
眠るに家なく、
親子夫婦は四方に離散し、
実にあるにあられぬ、
悲しい世を送つて居ります。
私はそれ故かく乞食となりて四方をめぐり、
家を焼き女房を奪つた悪者を探し求めて、
仇(アダ)を討つてやらうと考へ、
苦労艱難を致してをりますが、
もし神様がこの世に在(イ)らつしやるのならば、
なぜこんな不公平なことがあるのに、
黙つて見てをられるのでせうか。
私はこの世に神の存在を疑ひます。』
実際に、こういう怨みを抱える皆さんに、
いきなり何でも「許せよ、愛せよ、見直せ、聞き直せ」と言い聞かせても、
それは全く無理難題というものであろう。
ちょっと気骨がある者なら、
武力を鍛えて一矢報いようと思っても無理はない。
『先の宣伝使の言はれたやうに、
善悪を立替る神様が在(ア)るとすれば、
一日も早くこの無念を晴らして欲しいと思ひます。
然るに只今貴下(アナタ)の御言葉の中に
「ただ何事も人の世は、
直霊(ナホヒ)に見直せ聞き直せ」
と仰せになりましたが、
これは要するに何事も諦(アキラ)めよとの教ではありますまいか。
先の神様の教と貴下の教とは、
どうしてもつばねが合はないやうな考へがするのです。
どうぞ詳しく御諭(オサト)しを願ひたう存じます』
弱者に代って、正しい神のやり方を明らかに示してみせ、
これをもって世の中の不公平を完全に解消し、
要するに力主体霊(つよいものがち)、体主霊従(われよし)のやり方で、
弱い者いじめをして来た事についての充分な謝罪の態度を示させた後、
彼らの怨みを解消して頂く様な順序を踏む以外にはなかろう。
宣伝使達は、これら弱者に対して「見直し、聞き直し」を叫ぶのではなく、
世に不公平をもたらしている、いわゆる「勝ち組」に対して、
「見直し、聞き直し」を叫び、皇道經濟を土台にした皇道政治に従う様、
正しい道を伝えるべきであろうと筆者は思うのだが、どうだろうか?
今風にいうとイルミ系の支配者層に対して、
皇神から奪って私財にした龍宮のお宝を奉還する様に伝え、
「聞かねば聞く様に致す金神様の絶対権威」
を明らかに示してみせねば、こうした負け組の怨みが晴れるのは難しかろう。
もし、この天使達に、それを行うだけの強制力があったならば、
これら弱者達の不平不満も解消したであろうけれども、
要するに、これら天使達も、
所詮綺麗事で弱者達の怨みを丸めこもうとしていたのだ。
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ここに北光天使は、
『神様は至善至美至仁至愛の御方(オカタ)である。
ゆゑに悪を憎み、
無慈悲を御嫌ひ遊ばすのはいふまでもない。
しかし人間はいかに立派な賢(カシコ)い者でも、
神様の御智慧に比べてみれば、
実に恥かしいものであります。
災(ワザハヒ)多く、
悪魔の蔓延(ハビコ)る今日の世の中は、
どうしても無限絶対力におはします
神様の力に依頼(タヨ)らねばならぬ。
あなたが家を焼かれ、
山林田畑を掠奪され、
女房を取られて、
その怨(ウラ)みを晴らさうと思ひ、
諸方を尋ねまはらるるのは人情として尤(モツト)もであり、
吾々も満腔(マンコウ)の同情をよせますが、
しかし、
そこを人間は忍耐して、
敵を赦(ユル)してやらねばならぬのです。
そこが人間の尊いところであつて、
神様の大御心に叶ふといふものです』
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おそらく世界中の宗教家や、精神論者達は、
この様な綺麗事を並べて、全ての弱者達の怨念を丸めこもうとするのだ。
そして基本的に人がよい弱者達は、そのうまい言葉にちょろまかされてしまう。
しかし、その甘い言葉を信じたか弱き信者達は、
意外にも、第一次、第二次大本事件や、世界大戦の様な大惨事の犠牲になり、
この世に深い怨念を残す結果になる。
『そこを人間は忍耐して、
敵を赦(ユル)してやらねばならぬのです。
そこが人間の尊いところであつて、
神様の大御心に叶ふといふものです』
これが出来たらカッコいいかもしれないが、
やはり、その様な無理な忍耐を抱えたままでは、
どの様な身魂も真の天国には到達し得ないのかもしれない。
二度とこの世に生まれて来たくないという様な悟りではダメなのだ。
何度でもこの世に生まれて来て、神霊界と現実界を天国として拡大する様な、
そういう次元にまで上昇しないといけないのではないだろうか?
筆者は、そうした真の地上天国の土台になるのが、
「皇道經濟を土台にした皇道政治の実現」なのだと強く感じるのである。
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と聞くや否(イナ)や、
甲はムツクと起(タ)ちあがり、
『馬鹿』
と叫び、
かつ隼(ハヤブサ)のごとき眼を剥(ム)きて北光天使を睨(ニラ)みつけ、
息をはづませながら、
『オヽ俺はコヽ斯(コ)んな宣伝使の吐(ヌ)かすことは、
キヽ気に食はぬ。
腰抜野郎奴(メ)。
嬶(カカ)を奪られ、
家を焼かれ、
悪人に財産を全部(スツカリ)ふんだくられ、
寝る家もなく、
食ふ物もなし、
親子は散りぢりばらばらになつて、
あるにあられぬ艱難苦労をしてをるのに、
苦労知らずの人情知らず奴(メ)。
ナヽ何が、
カヽ神さまだ。
赦してやれも糞もあつたものかい。
尻(ケツ)が呆(アキ)れらア。
あまり人を馬鹿にするない。
そんならお前の頭に、
オヽ俺が今小便を引つかけてやるが、
それでもお前はオヽ怒らぬか』
といひながら、
宣伝使の背後に立ち、
端坐せる北光天使の頭をめがけて、
ジヤアジヤアと放(ヤ)りだした。
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『オヽ俺はコヽ斯(コ)んな宣伝使の吐(ヌ)かすことは、
キヽ気に食はぬ。』
現実的なつもりでいて精神論に傾いていた若い頃の筆者なら、
この甲というのは何と愚かな身魂であろうか…と思ったに違いないが、
正直言って、今の筆者は、
「甲、そうだ、そうだ!もっとやってやれ!」
…という気分になってしまうところもあるのである。
しかし、そういう感情も飛び越えて、
今、筆者が北光天使に言ってやりたいのは、
「この甲の叫びを救ってやれるのは皇道經濟を土台にした皇道經濟だよ」
という事に尽きるのである。
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東彦天使、
その他の一同は、
『待て待て』
と叫ぶ。
その間に小便は全部放出しをはりぬ。
北光天使は莞爾(ニツコ)として坐(スワ)りゐたり。
甲はなほも口汚く、
『ヤイ腰抜、弱蟲、小便たれ、洟(ハナ)たれ』
と罵(ノノシ)る。
一同は、
『オイ貴様が小便たれぢやないか。
今現に小便をたれたであらう。
人のことだと思つて自分の事を吐(ヌ)かして居らア。
オイ、
洟を拭かぬかい。
水洟(ミヅバナ)たらしやがつて、
洟たれの小便たれとは貴様のことだよ』
といふに、
甲は躍起となり、
『なに、
俺が小便たれたのぢやない。
小便の方から出よつたのだ。
俺や、
洟たれアせぬ、
洟の方から出てきやがつたのだい』
と不減口(ヘラズグチ)を叩(タタ)く。
北光天使は泰然として、
小便を浴びたるまま講演をつづける。
(大正十一年一月二十二日、旧大正十年十二月二十五日、井上留五郎録)
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北光天使には、きっと甲が目の中に入れても痛くないほどの、
可愛い子供の様に感じられていたに違いないので、
その可愛い子供に小便をかけられても、全く頭にも来ず、
ただ可愛い、可愛い、という思いだったのかもしれないが、
それをいきなり甲に求めてみたところで納得するわけがない。
筆者だったら、立派な大人の甲に小便をかけられたら、
「この無礼者が!何をするか?」
…といって叱りつけるなり、それなりの仕返しを考えるに違いない。
出口王仁三郎聖師も小学生の頃にバカにしてくれた担任教師に対し、
竹竿の先に糞を塗って復讐したそうだが、それが人情だろう。
そうした差別を産み出している根本問題は經濟の不完全さなのだ。
生き仏の様な顔をして悟り済ましているだけでは、
絶対に解決出来ない問題である。
現代社会で例えるなら、
戦勝国の飛行機が敗戦国の上空を毒ガスを撒きながら飛んでいても、
敗戦国の政府がへらへらと笑って、何の抗議もしない。
…という様な事を、この北光天使はやっているのかもしれない。
そんな事、甲の様なまともな神経の持ち主ならば、
我慢出来るわけがないと思うのだが、果たしてどうだろうか?
皇道は、こうした宗教的慢心をも正すものなのであると、
筆者は、最近つくづく感ずる様になったのである。
嗚呼、惟神霊幸倍給坐世(カムナガラタマチハエマセ)
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