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ふうたんがいて、ノワちゃんがいて

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『博士の愛した数式』

2016-04-20 | 

この本は、2004年の第1回「本屋大賞」受賞作で、当時図書館に予約すると、順番待ちが半年くらいだった。

たまたま友達が別の図書館で借りていて、期限までの3日間くらいの間に又借りのような形で貸してもらった。

とても面白くて、興味深くて、博士がいとしくて、夢中で読んだ。

それから12年経って、古本屋で93円で売っていた。93円!ありがたく購入して読み始めた。

ストーリーは知っているのだけれど、初めて読んだ時と同じようにぐいぐい引き込まれる。

事故で脳に障害を負い、記憶が80分しか持たない博士が、どう表現していいかわからないのだけれど、

圧倒的な力で胸を打つ感じ。

気の毒というか、切ないというか。

 「君の靴のサイズはいくつかね」

 「24です」

 「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」

 「カイジョウとは何でしょうか」

 「1から4までの自然数を全部掛け合わせると24になる」

 (つまり、1x2x3x4=24)

 「君の電話番号は何番かね」

 「576の1455です」

 「5761455だって?素晴らしいじゃないか。1億までの間に存在する素数の個数にひとしいとは」

のような感じで話が始まる。

家政婦の主人公が「28の約数を足すと、28になる」という事を発見したと博士に報告すると、

それは、完全数というものだという。

28=1+2+4+7+14 という事。

1番小さな完全数は、6。 6=1+2+3

完全数は、6、28の次は496、次は8128、次は33550336、次は8589869056・・・・

我が家の春たんは、誕生日が2月28日。完全数だ。

春たんのママは、11月6日。完全数!

春たんのパパは、3月5日。完全数じゃない。しかし、しかしである。

読み進めていくと、今度は素数の話になる。素数は約数を持たない数である。

 「この世で博士が最も愛したのは、素数だった」

2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53、・・・・・・

 「17,19とか41,43とか、続きの奇数が二つとも素数のところがありますね」

 「うん、なかなかいい指摘だね。双子素数だよ」

双子素数!春たんのパパの誕生日、3月5日の3と5は双子素数だった。素晴らしい。

春たん一家に知らせなければ。

とまあ、こんな具合に、読んでいる。

この後、楽しいだけではない展開になっていくのである。どんな内容だったかうっすらしか覚えていないのだが。

 

 

 

 

 

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アメリカ彦蔵

2013-09-29 | 

 吉村昭「アメリカ彦蔵」1999年10月

図書館で借りて、悪いことですがちょっと延滞していたら、

「次に予約している方がいるので、返却して下さい」というメールが来ました。

あわてて、返しに行きましたが、このような地味な本を読む人がいるんだなあと、ちょっと驚きました。

では、私が何故読むのかと言うと、吉村昭さんの本でつまらないものはなく、そして、

これは、江戸時代に漂流してアメリカで生き、3人の大統領に会見したという数奇な人生を送った人の物語だからです。 


  1851年、彦蔵13歳の時、初めて義父の船に乗った。

  途中、幼い頃過ごした村の人の船に出会い、その船に乗り換えて航海するが、難破、2ヶ月間漂流して、アメリカ船に救助される。

  翌年、日本へ帰れることになる。何と、【浦賀に黒船現れて、ペリーが日本に開港を迫った】というあの黒船に乗ってくるはずだった。

  ところが、そんな形で戻っても、鎖国中の日本は受け入れるはずがないと判断して、アメリカに残ることにする。

  それから、アメリカで暮らしていくのだが、彦蔵は協調性があり、また大変勤勉なので、色々な人に救われていくのである。

  1859年、駐日公使ハリスの通訳として、9年ぶりに日本に帰国した。

  が、日本は尊王攘夷思想が流行っていて、アメリカ人の様子をしている彦蔵は命を狙われることもあり、身の危険を感じて、

  2年後やむなく、アメリカに戻る。

  その後、また日本に戻り、商売を始めたり、新聞を発刊したりする。

・・と、ここまで読んで、返却してしまったので、最後の方はまた後で借りて読まなければなりません。

面白いと言っては悪いかもしれないけれど、読み物としては大変面白い。

彦蔵の想像できないほどの人生、

ドラマか映画にならないかなあ。

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茨木のり子 小さな娘が思ったこと

2012-01-15 | 

昔好きだった詩を急に思い出した。

でも、題名が思い出せない。こんな時に、いい友達がいる。

「茨木のり子か石垣りんの詩で、小さい女の子が大人の女の人の肩から

いい匂いがするっていう詩あったよね、なんていう題名だっけ」

とメールすると、

「茨木のり子さんの小さな娘が思ったことだよ、なつかしいねぇ」と早速教えてくれた。

 

    小さな娘が思ったこと
    ひとの奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう
    木犀みたいに
    くちなしみたいに

    ・・・・・・・・ 

    小さな娘がおとなになって
    妻になって母になって
    ある日不意に気づいてしまう
    ひとの奥さんの肩にふりつもる
    あのやさしいものは
    日々
    ひとを愛してゆくための
      ただの疲労であったと

そして、今日は、石川啄木の短歌も思い出す。

   「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て妻としたしむ」 

 

大人になると、男も女もつらい日がありますね。

 

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冬の鷹(吉村昭) その2

2011-08-31 | 

Yさん、福井はいかがでしたか?

小浜藩の台場跡に行きましたか?

さて、いよいよ、小浜藩医の杉田玄白が登場します。

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 良澤の会得したオランダ語は、青木昆陽の「和蘭文字略考」におさめられた700語と、長崎でオランダ通詞から

習い覚えた300語がすべてであった。

彼は、1日5語を覚えることを自らに課し、外出の路上でも厠の中でも、単語を記した紙を手にして、脳にきざみつけることに努めた。

 

 明和8年3月4日、杉田玄白に誘われて、骨ケ原刑場での刑死人の腑分けを見る機会を得た。

良澤がターヘル・アナトミアを風呂敷に包んで持っていくと、奇遇にも、玄白もターヘル・アナトミアを持参してきていた。

さて、腑分けが始まったが、刑死人の身体の内部はターヘル・アナトミアの解剖図とまったく同一であった。中国から伝わって流布していた

五臓六腑説の解剖図とは全然違っていたのである。

 その帰り道、良澤、玄白、中川淳庵は興奮のあまり無言で歩き続けた。

不意に玄白が足を止めて、『ターヘル・アナトミアを翻訳してはいかがか」と言った。良澤も淳庵ももちろん同じ気持ちで、何度もうなずき、

早速明日から良澤の家で、翻訳を始めることにしたのであった。

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冬の鷹(吉村昭) その1

2011-08-22 | 

Yさん、この間話したように、今日から本の内容を少しづつお伝えします。

これは、江戸時代、オランダ語の医学書『ターヘル・アナトミア』を翻訳して『解体新書』を成した前野良澤について書かれた本です。 

 

 良澤が生まれたのは、享保8年。7歳の時、福岡藩の江戸詰藩士だった父が亡くなり、母が良澤を残して他家へ嫁いでしまった。

天涯孤独の彼を引き取ったのは、母方の伯父であった。良澤は、将来伯父のような医家になりたいと思い、熱心に学び、

それが認められて、豊前国中津藩の藩医、前野家に養子として迎えられた。

 今、良澤は50歳に近い年齢となり、 美しい妻と3人の子に恵まれて、藩医として主君に仕え、これ以上何も望むものはないはずで

あったが、オランダ語を習得したいという熱い思いに駆られた。思いきって、藩主に願い出ると、洋学に興味を持つ藩主は、

オランダ語習得が西洋医術の研究につながるとして、長崎遊学を許可してくれたのであった。

 勇んで出かけた長崎であったが、100日という短い期間では、どれほどのオランダ語を学ぶこともできず途方に暮れた。

しかし、「長崎では、オランダ語に驚くだけで十分。勉学は江戸に戻ってからするべき」とオランダ通詞に励まされ、良澤は仏蘭辞書と

『ターヘル・アナトミア』という解剖書を手に入れて、江戸に戻った。

・・・・今日はここまでです。

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『処刑人の秘めごと』 ピーター・ラヴゼイ

2011-06-20 | 

Hさん、『処刑人の秘めごと』、とても面白かったです。

図書館で借りて、土日に、一気に読みました。

この題名といい、表紙の絵柄といい、また、「シドニー・ガーデンズで女性の死体が発見された。

子供の幼稚園に設置されたブランコの横木から、死体はぶら下がっていた」という出だしといい,

Hさんのお勧めでなければ、絶対読まなかったと思います。

私は、猟奇的なものは苦手なので。

でも、この小説は、カップルが次々と首つり死体となるミステリーなのだけれど、猟奇的な、不気味な感じがしないですね。

Hさんのおっしゃる通り、登場人物が丁寧に描かれていて、そして何しろ主人公のダイヤモンド警視がとても魅力的です。私も、すごく好きになりました。

また、最後が良かったです。

人生には、思いがけないことが起きる場合があって、それによって夢や希望が完全に打ち壊されても、それでも生きて行かければならなくて、パロマという女性もダイヤモンド警視もそういう境遇にある。

事件によって打ちのめされたパロマと、これから彼女を支えていくダイヤモンドの後ろ姿が見えるようなラストでした。

いい本を紹介してくれて、ありがとう。

では、7月の『あばらや』での飲み会、楽しみにしています。

 

 

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