色と寄り添い

私、押利鰤子、28歳（自称）、売れっ子エッセイストです。

まあ、実際のところ年齢なんてただの数字なんですけどね。

今日は、ちょっと不思議な話をしたいと思います。

印刷会社での27年間の経験が、今の私にどんな影響を与えているのか、そして介護の現場で第一印象がどれだけ大切なのか、そんなことをちょっと綴ってみようと思います。

 色で見る癖

27年間、印刷会社で働いていた頃、色がすべてでした。

色の微妙な違いが大きな意味を持ち、何度も修正を繰り返し、完璧を求め続ける日々。

それは、いつの間にか私の習慣となり、仕事だけでなく日常生活でも「色で見る」という癖がついてしまいました。

物を見るとき、瞬時にその色のバランスや調和を考える。

これが私の性（さが）というものなのでしょう。

この癖は、夢を見る時にも現れます。夢の中でさえ、基本はコントラスト強めの総天然色です。

色の組み合わせや配色に敏感で、第一印象で夢の内容や感情が決まることが多いのです。

例えば、夢の中で美しい夕焼けの赤とオレンジが広がると、心が穏やかになり、逆に曇り空のような灰色がかると、不安や焦りが胸を占めることもあります。

第一印象が夢の中でさえも重要だと感じるのは、印刷会社で鍛えられた感覚かもしれません。

介護業界での第一印象

しかし、介護業界に足を踏み入れて気づいたのは、第一印象に惑わされることは、決して良いことではないという現実です。ユニットリーダーとして日々多くの入居者と接する中で、表面だけでは見えないものが多いことを痛感しています。

介護の世界では、相手の「第一印象」にとらわれることで、その人の本当の姿やニーズ(問題、課題)を見失う危険性があるのです。

例えば、ある入居者の方が一見無表情で無関心に見えても、その方が本当に求めているのは寄り添いと安心感。

表面的な印象に流されず、その方の背景や過去、今抱えている感情に気配りしながら接することが重要なのです。

気配りと寄り添う姿勢

それでも、私は第一印象を無視することはできません。

第一印象が、その人の何かしらの「真実」を表していると感じることも多いからです。

しかし、その第一印象だけで判断を下さず、もっと深く掘り下げていくことが大切です。

つまり、第一印象を「入口」として使い、そこからさらに相手に寄り添い、気配りを持って接するという姿勢が、ユニットリーダーとしての私の信念です。

例えば、ある入居者の方が日々不機嫌そうに見える時、私はその不機嫌さの「色」をまずは受け取ります。

でも、そこで終わりにせず、その方がなぜ不機嫌そうなのか、その背景を探るようにしています。

その方の過去の経験や、その日特有の出来事が影響しているのかもしれません。

そこに寄り添い、気配りを持って接することで、少しずつその方の心を開くことができるのです。

第一印象を超えて

色で見る癖がついた私ですが、介護の現場ではその癖が役立つこともあります。

第一印象を大切にしつつも、その印象にとらわれすぎず、深く寄り添っていくことで、その方の本当の姿に近づくことができるからです。

色のバランスを見るように、入居者一人ひとりの心のバランスを見つめ、その人らしい生活をサポートすることが、私の目指す介護です。

印刷会社で培った感覚と、介護の現場での経験が融合し、私にとっての「色で見る」という習慣は、今では人を見る際の「心の色」を見る力へと変わりました。

第一印象を大切にしつつ、その奥にある本質を見抜くための「色彩感覚」を持って、今日もまた一日、入居者の方々に寄り添い、気配りを忘れずに働いています。