言いたい放題

コメント大歓迎…チューチューマウスと仲間たち

冤罪を訴えていた「出歯亀」事件

2012-05-18 09:02:28 | 褻(け)・日常生活

 

冤罪を訴えていた「出歯亀」事件 

 「出歯亀」といえば、「のぞき」の代名詞。その名称が、明治時代、「女湯をのぞいたうえ入浴帰りの女性を襲った強姦致死事件の犯人」として無期刑を受けた「出歯の亀太郎」に由来することは、広辞苑などの辞書にも書かれ、広く知られています。
 しかし、この「出歯亀」こと池田亀太郎が、実は裁判で一貫して無実を訴え、弁護団も冤罪を主張して争っていたことは、案外知られていません。

 ◇大久保で銭湯帰りの女性が殺害される◇

 事件が起きたのは1908年(明治41年)3月22日夜。現在の東京都新宿区大久保の空き地で、27歳の女性が口に手ぬぐいを押し込まれて窒息死しているのが発見されました。第1報は、24日付に「下谷電話交換局長の妻殺さる 入浴の帰途濡手拭いで」の見出しで伝えられ、以後、連日大報道が展開されています。

 ◇植木職人の池田亀太郎を逮捕◇

 「大久保の強姦殺人犯人捕はる」として、当時では異例の2段見出しが躍ったのは、事件発生から15日目の4月6日付。紙面8段中7段半を関連記事で埋め尽くす大報道です。記事は、3月31日から新宿署で取り調べを受けていた植木職の池田亀太郎(35歳)が4月4日「惨殺の事実を自白」、5日、東京地裁に身柄を護送され予審を開始と報じました。関連記事として「池田亀太郎の素性」「犯人検挙の苦心」「死刑か無期徒刑か」などを掲載され、この中で仕事仲間の話として「出ッ歯の亀」という表現が出ています。

 ◇裁判で亀太郎被告は一貫して無実を主張◇

 初公判は6月13日に開廷。翌14日付の公判傍聴記は、亀太郎が「全く存じない事です。私は警視庁で刑事の圧制を蒙ったんで心にも無い事を云ったんです」と全面否認したこと、沢田弁護士が「本件は誠に事実が曖昧であるから成るべく当被告を有罪視せずして慎重の御審理を」と述べたことなどを詳しく報道しました。
 8月8日付記事は、「出歯亀は果たして犯人か」の見出し。7日の公判で弁護側が、医師の死因鑑定結果と亀太郎の自白調書における絞殺方法の食い違いなどを指摘、その自白以外に証拠はないと反論し、改めて無実を主張したと報道。しかし、弁護側の主張は認められず、8月10日の東京地裁判決は亀太郎の強姦致死を認定して無期徒刑。亀太郎は控訴し、裁判の舞台は控訴院に移りました。

 ◇弁護団が自白偏重の危険訴えるも無期徒刑が確定◇

 控訴審には、高名な弁護士で衆議院議員でもあった花井卓蔵らが新たに弁護人に加わり、大弁護団を結成。しかし、3月29日に言い渡された判決は再び無期徒刑。亀太郎は再度上告しましたが、大審院は6月29日、上告を棄却、判決はそのまま確定し、亀太郎は服役しました。

 冤罪かどうか、今となっては不明ですが、少なくとも自白のみによる有罪判決だったことは間違いないようです。現代に伝わる不名誉な「出歯亀」の名も、もしかしたら濡れ衣だったかも……。
 それにしても、覗くだけというのは、やはり薄気味ワルイもの。不気味です。   

 

    

 面白ブログが盛りだくさん「BLOG! TOWON」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。