山岳漫画 『孤高の人』『岳』

最近、『残雪からはじめる雪山』という山渓の特集を見たのですが、
まぁまさにゴールデンウィークの北八ヶ岳は特集を地で行くものでした。

わたし達は期せずして、正解、をまっしぐらに掴み取っていたようです♪

歩きやすく、危険箇所が無く、ツボ足（登山靴）で歩け、雪景色を堪能できる山。

あまりにも快適な山と雪だったので、雪山をなめてかからないか心配です（笑）

ところで、山は夫と共有できる数少ない趣味ではないか？

ということで
（だってバレエはさすがに嫌がっているようですし・・・今時男性は一杯いますけどね・・・）
趣味を深めるべく、最近、漫画作戦にでました（笑）

山岳漫画といえば

・『孤高の人』
・『岳』

が有名です。　早速、『孤高の人』を大人買い♪　大人になっていいのは大人買いですよね～♪

■　孤高の人　

これはでも、山の話じゃなくて、”ロック・クライミング”の話でした・・・ガックシ。

この本、同名の小説を基にしており、そちらの小説も読みましたが、オジサンが
電車で読みそうな、５０年位前の人の感性で書かれたと思える小説でした。

理由は・・・縦社会への愛着と女性への憧憬。

ここに描かれている男性は、女性を愛すとき、女性にも中身があるんだってことは
忘れていそうです・・・そこが怖い。ロクに話したこともない相手を
恋焦がれるなんて小学生の初恋かい！ってのを大人がやってる…（汗）

縦社会への同化に対する苦悩も、結局愛着の裏返しであってそれ以外の世界は見えていないのが怖い。

漫画のほうはそうした古臭さを打ち消し、現代人にもすんなり入り込める話に
仕立てられており、違和感なく読めます。

しかーし！　文太郎！暗い！ニヒルが流行っていた時代の名残か？！

■　愛の本質を間違っている

寡黙がかっこいいと思っている節が多少日本人の中にはありますが
寡黙のための説明不足で結果自分への誤解を招くのは単なるスキル不足です。

誤解されてもその誤解ごと引き受けて僕は生きるんだ、って結局
”言わなくても理解してくれる”人を求めているだけ。
その本質は”相手を知らないのに愛する”のと同じ…というわけで求める愛情の質が根本的に間違っています。

人間への愛は、モノへの愛着とは違うはずです。

そこんところがこの物語の本質で、人を愛せない、モノ言わぬ者しか
愛せない男性の話です。要するに　山に恋愛中。

■　小説と漫画
小説のほうは加藤文太郎ですが、高卒でたたき上げの造船技師です。大卒しか
昇格できないところを実力で切り開いたってわけ。

漫画の森文太郎のほうは、派遣社員。会社がつぶれて無職。拾われて大学職員に。

どちらの設定も、格差社会の下のほうっていうわけ。昔にも格差はあったんだなぁ。「大学へ行け、俺みたいになるな」と言っていた高卒
お父さんはさしづめ今なら「何が何でも正社員になれ」といっている派遣…

孤高の人はどちらも、コミュニケーション不全症です。自分のことを上手に表現できないから
一人になりたい、山へこもりたい。　対話したいのは山とだけ。

■　岳

一方、『岳』のほうは、キャラが現代風です。海外登山暦で実力があり、外交的なキャラで日本人には意味不明に思えるけれど、前向きなキャラ。

岳のほうもクライミングは出てきますが、メインではない・・・一話ずつ読みきり
なので、どこから読んでもそれなりに楽しめます。

ただ全部遭難の話なんですよねぇ・・・そこがちょっとツライ感じではありますが
山への知識を深めるという意味ではこちらの漫画のほうがあっているような気が
します。

大人買い検討中です♪

■　まとめ

『孤高の人』　　本格クライマーの挑戦登攀の話　　→　山初心者が読んでも？？
『岳』　　　　　　山上級者の主人公がボランティアで遭難者を助ける話　→初心者にも楽しめる

うーん、岳を最初に買うべきでしたね。