「どうして? なんで? 一体どうやったの?」
そう言ってそのめっちゃイケメンな人が草陰草案へとグイグイ来る。他の二人は「すみません」とかいってるが、二人も興味津々なのはかわりはないみたいだ。
「ちょっと落ち着けよ」
「これが落ち着けるわけ無い。だって彼女は……本物だ」
静かに……だけどそのイケメンの彼の視線はまっすぐに草陰草案を射抜いてる。いつだって奔放な草陰草案なわけだが、超絶イケメンからそんな真っ直ぐに見られた経験は無いんだろう。「あのう……えっと……うう……」となんか借りてきた猫みたいになってた。
「えっとこの通り、こいつは普段はめっちゃ物静かなんですけど、不思議な事になると一番行動力あるやつで……とりあえず納得できたみたいだし、自己紹介くらいしろ」
「僕は『朝日 蔵三』そんなことよりも――」
「おい、俺たちを遮るなよ」
興奮してるらしい朝日蔵三は残り二人の自己紹介を遮る。けどそんなのは本当にどうでもいいらしい。眼の前の不思議である草陰草案……彼女にだけ意識が向いてる。
「これまでにないなこれは……」
「でも、これは……仕方ないよな。だって俺たちだって興奮してる」
「ああ、なにせ……「「本物だ」」
残り二人の声が重なる。それはやっぱりキラキラとした目だ。二人はその力がある人物である草陰草案をみてワクワクしてる。
「あっ、ども」
なんかむず痒くなったのか草陰草案はそう返す。それからちゃんと残り二人の名前も聞いて、彼らはとてもはずむ会話をしてた。ちなみに残り二人は『大川 左之助』に『東海道 馬脚』と名乗った。
「信じてくれましたか?」
「それはもちろんだ。これだけ見せられたらね。君は本物だろう」
「なんで……僕じゃ……ダメなんだ……」
「まあやっぱり資質とかあるんじゃないか? あの石は彼女にしか反応しないし、彼女にしか使えない。諦めろ」
「いや、なにかきっと方法が……」
一通り伝えたい事はお互いに伝えあった草陰草案と彼ら三人組。その中で草陰草案は自身の力があの黄色い石を通して使ってるものだとも暴露してた。それを聞くと当たり前だけど、三人は自分たちにもできるんでは? とおもったらしい。当然といえば当然だろう。
だから無理言って草陰草案からその石を受け取って花瓶に入ってた花を取り出して、わかりやすく花びらを一弁切り離して実験してみた。言うの遅くなったが、ここはスタジオである。いや、スタジオ兼、彼らの住居と言ったほうが正しいだろう。どうやらかなり稼いでる彼らは家を買い、そこを自宅兼スタジオとしてるみたいだ。そして動画にも映る部分はオシャレな感じにしてるから男三人住みとは思えない程にお洒落空間になってるから花もあったというわけだ。
まあ結果は彼ら三人が言うとおりに、石が反応することはなかった。どうやらあの黄色い石が反応するのは草陰草案だけらしい。その後、草陰草案が使うと花はきれいに元通りになった。
そしてようやく本題に入った彼らだが……そこで真っ先にリーダー格であろう大川左之助が言う。
「これって、本当にネットに流して良いものか?」
――ってね。
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