松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆子どもと若者(三浦半島)

2013-12-18 | 1.研究活動
 私の、今一番の関心事は、若者である。
 子どもと若者は違う。一般に自治体政策としての若者は、16歳から39歳までである。なぜ16歳からなのか。これは大人としての自立や社会への参加を問題にしているからである。

 子どもから大人になる時期を移行期というが、今日では、この移行期が長引き、また移行をスムーズに行う機能が弱っているために、あちこちで、移行不適応から発生する問題が、顕在化している。ヨーロッパでは、すでに1990年代から問題となっているが、日本でも、今後、大きな問題になっていくというのが私の問題意識である。

 かつては、子どもから大人への移行は、社会的にはスムーズだった。私が、16歳のころは、大半が高校へ進学するようになったが、それでも中学を出て働くという人は、クラスに数人いた。池田君は、中学を出て職人になったが、卒業直後のクラス会では、ずいぶんと大人に見えたことを覚えている。

 実は、私も、中学を出たら働こうと考えていた時期があった。きちんとした考えや家庭の事情があってのことではなく、当時、磯子の埋め立てが始まって、そこにたくさんの企業が進出してきたので、そこで働こうと漠然と考えたのである。

 当時、私が気になっていたのが、磯子に進出してきた石川島播磨重工で、造船の仕事だった。今でも連れ合いとよく話になるが、もし私があのとき石川島播磨重工に勤めていたら、鉄をたたく仕事なので、今頃は、筋肉がモリモリになっていたと思う。連れ合いの結論は、「そっちのほうが、頼りがいがあってよい」というものであるが、おそらく、中堅の工員として、会社一筋に暮らしたのではないだろうか。

 話が横道にそれてしまったが、このように雇用ひとつとっても、かつては働き口はいくつもあり、一度勤めたら、そのまま定年まで勤めるのが当たり前だった。それが大人への移行を安定的に進めたが、今では、移行を支える条件や機能が、ずいぶんと変わってしまった。
 
 ここが、自治体で若者政策を考える出発点である。かつてならば、移行期を支える機能は、それぞれの個人や会社に任せておけばよかったが、今では、自治体が政策として対応しなければいけなくなってしまったということである。

 移行期の変化は、社会構造の変化やグローバル化という、深くて大きなところから発生しているので、一筋縄でいくものではなく、また自治体だけで完結できるものではないが、助け合いが存在意義である自治体ならばこそできることもたくさんあると思う。
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