松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地方自治論11・地方議員の職業は何ですか(相模大野)

2014-06-24 | 1.研究活動

 地方自治論の11回目は地方議員を取り上げた。

 二元代表制のもう一方の代表である地方議員を取り巻く状況は厳しい。

  一般に、地方議会の定例会は3月、6月、9月 12月の年4回開かれる。なぜこの時期なのか。それは農作業の繁忙時期を避けて会議が開かれたためだという。仕事の合間に議員として活動するというのがもともとの出発である。

  それゆえ、会期そのものは、100日ほどあるが、実際に会議が開かれているのは25日程度である。本来の仕事に支障が出てはいけないからである。議員は兼業が出発点というのは、議員に対して職業を聞いてみるとよく分かる。「議員が職業」と言う回答は少なく、大半が、農業や自営業という回答になる。とりわけ町村議員では、職業が議員と答える人はほとんどいない。

  他方、報酬のほうは微妙な額である。一般の市の平均で月額で38万円という(年功制ではないので、子どもにかかると大変だろう。ちなみに、指定都市の場合は、86万円である)。これも兼業が出発だからである。金額総額としては、議員より自治体職員のほうが、多くをもらっている。

  議会が農作業の繁忙期を避けて開かれ、本来の仕事がやりながら、地方議員をやってきたが、そのうち専業という人も出てくるようになる。純粋な兼業ならば、アメリカのように年間50万円程度ではいいが、専業になるととてもやっていけない。世間の相場とあまりにかけ離れているという意見が大きくなって、そこで、月額38万円という微妙な金額になるのだろう。

  38万円は微妙であるが、ただ、これを出勤日数で割ると、1日当たり20万円という法外な額になり、ずいぶんと割が良い。 もちろん議員の仕事は、会議だけはなく、会議日数で割り切るのは妥当ではないことはよく分かる。しかし、兼業で行うという勤務形態と世間並みの報酬とのミスマッチが、この時代、矛盾として露呈して、市民から甘すぎると批判されているということは、真摯に受け止める必要があるだろう。

  その批判を乗り越える方法の一つは、「仕事は会議だけでなく、日々が仕事」ということを世間に理解してもらう方法である。そのためには、たとえば、市長がやっているよう「議員動静」を毎日、発表することにしたらどうだろうか。会議や調査の様子がよく分かるだろう。

  こういう制度がない今、議員はそれぞれのブログやツイッターで、活動報告をしている。地元議員のブログ等を読むと、よく動いている議員もいる反面、評論家のような議員もいて、これは正直、がっかりである。テレビのコメンティターも、あまりに酷いが、直接、受信料を支払っていないので、チャンネルを回すことができる。

 全体に厳しい話となったが、それは、地方議員ががんばってこそ、地方自治は前に進むからである。大いに奮闘を期待したい。そんな、まとめになった。

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