松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆シンポジューム・引きこもりを地域の力に(藤里町)

2014-06-08 | 1.研究活動
 7月20日に行うシンポジュームの依頼と勉強に秋田県藤里町に行ってきた。

 藤里町は、秋田県の北、青森県との境にある人口3700人の町である。高齢化率は42%である。町域の大半が山林で、北西部は世界遺産の白神山地がある。この町の取り組みである「引きこもりを地域の力に」が、NHKクローズアップ現代で紹介され、その面でも、すっかり有名になった。

 藤里町の取り組みがすごいのは、
 ①引きこもりの実数把握調査を行い、訪問調査を行ったこと
 ②その数は、3700人のまちで113人いることが分かったこと(調査対象の若者の10人に1人になる)
 ③調査にとどまらず、これらの人を地域に引き出す仕組みづくりと実践を行ったこと(50人以上が地域に出てきた)

 なぜそんなことができるのか、その実践を報告してもらい、考えてみようというとのが今回のシンポジュームである。
 7月20日のシンポジュームでは、この活動をリードした常務理事の菊池まゆみさんに、相模女子大学まで来ていただき、じっくりとお話を聞くことになっている。

 藤里町は、高速道路も鉄道もない町である。どうやって行くのか、Yahooで路線検索してみた。するとなんと、最寄駅の二ツ井から藤里町役場まで、「徒歩108分」と出てくる。駅から町の中心部まで、2時間近く歩いて初めて到達できるというのである。

 ただ、今回は、社協のKさんが、大館能代空港まで向かいに来てくれたので、2時間歩かない済んだ。役場までの道すがら、興味深く車窓から見ていたが、歩いている人は、皆無だったので、Yahooの情報が、あまりに実態にあっていないというだろう(実はバスも通っているとのこと)。

 さて、今回の訪問で、私の関心は、「藤里町では、なぜ、こんなことができたのか」であるが、菊池さんたちには、私の質問がどうもピンとこないようだったのが興味深かった。私が、あまりにしつこく聞くので、考えた末のポツと答えていただいたのが、「それが社協の仕事だから」というものだった。要するに、特別のことはしていないという回答である。

 藤里町には、3日間いたので、その間で、私なりにその答えを考えてみた。
 ①藤里町のような匿名性が乏しい地域では、暗黙の了解として、それぞれの家庭の状況が他人にも知られていること。その意味では、全戸調査は、私たちが考えるほど困難ではなかったのではないか
 ②社協の仕事の対象は、もっぱら介護等が必要な高齢者であるが、その介護の過程で、いわば「グチ」として語られる息子や孫の引きこもりを、これも福祉の対象ととらえ、取り組もうとする職員のセンスと行動があったこと
 ③①とは逆に地域に匿名性が乏しい分、実際に地域に引き出す取り組みのほうは、より困難性が増すが(都会ならば、誰も知らないので、これまでのことがなかったかのように、まちに出ることができる)、そこは肩に力を入れず、本人に内発力を後押しするような活動(情報提供と働く場所の提供など)を行ったこと。
 
 要するに、地域の特性を考え、それにふさわしい調査や仕組みを考えること、そして何よりも職員のセンスと思いが大事だということだろう。

 3日間いたが、社協の人たちには大変お世話になった。とりわけ、あちこちを案内していただいたKさん。受け入れていただいた事務局長のKさん。一緒に懇親会をやったKさん。そして、さまざまなお願いを快諾していただいた菊池さん。なぜかKさんばかりであるが、大変お世話になった。

 3日間もいたので、町の人たちとも知り合いになった。町長さんはじめ、ホテルの人たち、温泉のご主人、その他、たくさんの人たちと話し、お世話になった。楽しいひと時を過ごすことができた。

 今回は、連れ合いも一緒だった。親父の仕事の一端を見てみらって、私とすると、少し嬉しかった。

 さて、藤里町における経済効果であるが、イベントが行われた森の駅で、約1時間買い物をした。店内をくまなく見たので、今でも、どんな商品があったのか、思い出すことができる。結局、袋一杯買うことになったが、もともと単価が高くないので、全体の経済効果としては、大したことがなかったことを報告しておこう。

 シンポジュームの概要
 1、テーマ・講師
   「ひきこもりを地域の力に」
   秋田県藤里町社会福祉協議会常務理事・菊池まゆみさん
 2.日時・場所
   平成26年7月20日(日)13時から15時
   相模女子大学7号館1階教室
 3.主催・運営
   相模女子大学社会マネジメント学科松下啓一ゼミ(3年生) 
 4.参加申し込み・問い合わせ
   無料
   matsuzemi7@yahoo.co.jp
までお願いします。
   





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