松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆投稿から・「国法と条例の違い」から(三浦半島)

2013-01-07 | 1.研究活動
 いつも参考にしている自治体法制執務雑感に投稿した。
 「国法と条例の違い」という記事に反応したものである。

 明けましておめでとうございます。法令担当に戻って、忙しそうですね。でも、忙しいのは、なによりです。

 さて、国法と自治体法の関係ですが、私も大きな違いがあると考えています。書きはじめましたら、長くなったので、エッセンスのみとしました。
 ①違いの根本は、やはり主権論からでしょう。つまり国には主権がありますが、地方には、正確な意味での主権はありません(地域主権と言われているのは、地域主導権くらいの意味ですね)。主権は絶対権です。絶対権を持つのは国民国家を前提とする限り国です。
 ②そこから、国の仕事と地方の仕事の違いが生まれてきます。国の場合は、なんだかんだ言っても、最後の最後は、力づくという仕事の源泉がありますが(たとえば領土問題)、地方は、みんなで協力して協力して課題を解決する(防災や福祉)というのが、自治体の仕事の基本です。だから自治なのですね。
 ③そこから、法についても、国法と自治体法の違いが出てくるように思います。国を律する国法=強要性が基本に、自治体を律する自治体法=協働性が基本になります(むろん、相互に混ざりますが、これは軸足の話です)。
 ④協働関係はそもそも法ではない、法というのは権力の侵害から国民を守るものだという議論はよく承知していますが、これは国法についての(歴史的な)見方で、「なぜ協働は法ではないのですか」という問いにはうまく答えられないように思います。
 ⑤これまでの行政法は国についての理論なので、それを地方自治に当てはめても、なかなかピンときませんね。地方が国の機関だったころにはいいかもしれませんが、今は、時代が違います(もうひとつピンと来ない理由として考えられるのは、私のピンがずれている場合も考えられますが・・・)。
 ⑥地方にとっては法務が縁遠かったために無理もないのですが、あまり考えずに、国の法務を地方に移入することに急すぎたというのが私の問題意識です。お正月なので、ちょっと言いい過ぎを許していただくと、実務を知っているはずの実務家が、そのまま踏襲しているのが、正直、信じられません。うまく言えませんが、私の26年の横浜市の実務体験からは、自治体法と国法とは、手触り感が全然違います。
 ⑦そう考えていくと、法制執務も、国と自治体とでは、同じはずはないというのが私の率直な意見です。地方分権の時代、国に準拠していると、うまくいかない部分が、あちこちに出てきています。
 ⑧(ここから先は、hoti-akさんとは、道が分かれますが)、その典型例が一部改正の改め文方式だと思っています。「住民は分からなくてもよい」という国法=強要性の雰囲気を感じてしまいます(むろん、担当者のみなさんが、そうな風には思っていないことは承知していますが)。
 ⑨地方分権の時代なので、自分たちの頭と皮膚で、ニーズを感じて、自治を切り開いてほしいと思います。これは役所OB・一市民としての期待です。大変ですが、頑張ってください。

 長くなりましたが、今年もhoti-akの活躍、期待しています。よろしく。
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