松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆外国人は消防団員になれるのか(三浦半島)

2014-10-05 | 外国人消防団

 明け方近く、緊急のサイレンが鳴った。消防団の召集サイレンである。私は、目を覚まし、マロンは何事かと走り回った。 サイレンがうるさいという向きがあるかもしれないが、文句を言う人は、所詮、家の中で、文句を言っていればよいのに対して、消防団員は、身支度して出動しなければいけないのである。文句を言うものではないとマロンには、言い聞かした。

 

 都市化やサラリーマン化、少子高齢化等により、全国で消防団員の確保が難しくなっている。全国には2300を越える消防団があるそうであるが、消防団員の数は、ピーク時のは半分以下の88万人になってしまった。そこで、消防庁はじめ、あちこちで、あの手この手の人員確保を試みている。

 

 では、外国人は消防団員になれるか。これについては国会答弁がある。 「公権力の行使、あるいは公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには、日本の国籍を有することが必要であるという公務員に関する基本原則、いわゆる公務員に関する当然の法理と言われているものでございますが、これがございます。したがいまして、国家公務員のみならず地方公務員にもこれが適用あると従来から解されているところでございます。 消防団員は、現行法令上、消防吏員と同様に一定の公権力の行使を行う権限を与えられておりますことから、日本国籍を持たない者を消防団員に任命するかどうかにつきましては、各市町村において、公務員に関する基本原則及び現行法令上消防団員に付与されている権限等を踏まえて適切に対処をしていただくことが必要であると考えております」(第169回国会 総務委員会 第14号平成二十年五月十五日(木曜日))   

 

 消防職員は公権力の行使を伴うから、外国人はなれないというのが一般的な運用であるが、他方、消防団員については、曖昧、微妙な答弁である。絶対だめだとは言わずに、要するに地域ごとに考えてという丸投げになっている。 消防吏員と違って、消防団員は非常勤公務員という気楽さもあるが、消防団員が恒常的に不足するなか、外国人であっても、地域を守るために、火災を消そうという思いや行動をダメとは言えないという現実が、このような答弁になっているのだろう。

 

 現実には、外国人が消防団員に採用されているケースもあるようだ。その理論的な整理が、機能別消防団員である。フルタイム、フル装備の消防団員でなく、得意分野やできる範囲に特化した消防団員である。これならば学生や女性も参加できることになって、最近では、学生の消防団員が増えている原因のひとつとなっている。外国人については、公権力の行使に関わらない消防団員が可能だからである。

 

 考えてみると、火を消すという行為に日本人も外国人もない。地域の住民から見れば、素早く火を消してくれる人が大事であって、国籍がどこだろうと関係ない。「外国からの武力攻撃事態など緊急の場合」は、外国人ではまずいのではないかという意見もあるが、もしそうならば、その場合のみ出動できないという限定で消防団員になってもらえばいいだろう。これも機能別消防団員である。

 

 外国人が増え、集住地区も増えているが、自分たちの地域には、自分たちで守るのは当たり前である。むしろ地域に愛着を持って、地域を守ってもらいたい。もし外国人消防団員を認めないということは、その地域を他の日本人が守るということになるが、自分たちは何もせずに、ただ守られるだけというのは、都合がよすぎるだろう。第一、日本人の消防団が高齢化、少数化して、そこまでの余裕がなくなっている。 要するに、地方自治は助け合いである。国と地方の違いを考えずに、国の理論を当てはめる考え方が制度疲労を起こしているのである。

 

 わが三浦半島には、米軍の関係者も多い。地域になじもうとしている外国人もいる。町内には、会うと挨拶をする外国人も多いが、その中には腕が足くらいに太い男もいる。その人たちが消防団に加わったら、地域の安全にとって、随分とパワーアップになるだろう。

 

  その2も書きました。



外国人消防団員の理論と政策』を出しました

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