松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆パートナーシップ制度で悩んでいること(1)

2022-02-19 | 1.研究活動
 原稿を書いていて、紙幅の関係で原稿には載せられないが、考えておかなければいけない論点が、次ぎ次ぎ出てくる。

(1)まずは、この制度の対象者
 この制度の対象者は、自治体の制度では、(1)同性同士のみ(戸籍上男性・性自認男性+戸籍上男性・性自認女性)、(2)一方又は双方が性的マイノリティ(双方又はいずれか一方がXジェンダ ーの場合)、(3)性自認・性的指向を問わない(事実婚も入る)まで幅がある。

 渋谷区のように、パートナーシップを公証する制度の場合は、公証の対象が明確でなければいけないので(公正証書を使うので)、性的マイノリティのようなあいまいなものは、制度化が難しく、婚姻類似(1)という限定になるのだろう。

 他方、多くの自治体は、さまざまな態様のカップルの生きづらさに寄り添う制度と考えるから、寄り添う対象は、(2)一方又は双方が性的マイノリティ、(2)性自認・性的指向を問わない(事実婚も入る)ということになるのだろう。

 逆にいうと、渋谷区のようなパートナーシップを公証するような設計思想が、結果的に、ニーズにあっていないのではないかという問題にもなる。

 他方、さまざまな態様のカップルの生きづらさに寄り添うというのは魅力的であるが、しかし、事実婚まで含めるというのが、本当にいいのかというと自信がない(利用したければ、利用できるようにしてあげた方がいいかもしれないが、制度趣旨があいまいになってしまうような気がする)。これでは、この制度によって受けられる行政サービスとの関係で不公平の問題が生じないかである。

 逆にいうと、渋谷区のような厳格な制度のほうが、法律制度から落ちてしまうさまざまな不都合を救済できるのではないかと思う。

 全体にいうと、パートナーシップ制度によって生まれてくる新たな行政サービスとの関係からの議論の詰めが弱いように思う。実際、ほとんど、議論されていない。ここを考えればいいが、なかなか、力が入らない。このテーマで、論文を書く気にならないからである。苦手意識がここに出る。

(2)男女共同参画との関係
 パートナーシップ制度をつきつめていくと、従来の男女二元論に基づく男女共同参画計画との整理の問題が出てくる。パートナーシップ制度は、男と女と行く区分けを乗り越える制度だからである。パートナーシップ制度を男女共同参画条例の一部改正で考えると、この点を考えるよい機会になるだろう。しかし、ここでも、これ以上は、なかなか考える気にならない。締め切り、1か月前だったら、考えたかもしれないが。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆パートナーシップ制度で難航... | トップ | ☆同性パートナーシップ制度の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1.研究活動」カテゴリの最新記事