松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地方創生は成功するか(宮城大学)

2015-02-10 | 1.研究活動

 宮城大学でまちづくり基本条例と地方創生を考えた。90分間、私が話をして、その後、実践活動をしている柴田町と大崎市の職員とのトークとなった。
 前半の私の話のほうは、参加者のレベルあわせが難しく、反省を残す講演となった。後半のトークは、実践事例が豊富だったので、もう少し、時間をとればよかったと思う。地方で、がんばっている自治体や職員を応援するのが、私の役割のひとつだからである。

 さて、まちづくり基本条例と地方創生の関係であるが、周知のとおり、自民党は、自治基本条例に消極的である。パンフレットを出していて、それを見ると、「地方自治は住民の信託に成り立っている」というのはおかしいとしている。論旨は錯綜しているが、要するに、地方の自立性には懐疑的で、相変わらず国によるおんぶにだっこの地方自治である。地方分権改革は、自民党政権時に強力に推し進められたが、それとの整合性は、どのように考えたらよいのだろう。

 もともと自民党は、地方の名望家を基盤に成り立っていたが、こうした人たちにとっては、地方の自立は当たり前である。国民国家ができる前から、村のことは自分たちで考え、自分たちでやってきた。自らがリーダーとして住民を引っ張り、学校をつくり、地域扶助の仕組みをつくり、維持してきたのである。それが今日になって、従来の自民党らしくない主張で出てくるということは、自民党がよって立つ基盤が、いわゆる「保守」ではなくなってきたということなのであろう。

 地方の名望家の人たちにお会いして、共通しているのは、穏やかな話しぶりと態度である。こうした人たちと話していると、こちらも穏やかな気持ちになり、私にできるならば、精一杯やってみようという気にさせられるから不思議である。

 さて、地方創生であるが、このままで行くと失敗してしまうことになるだろう。地方が創生するために、一番大事なのは、自治の当事者たちが当事者性を認識し、内発力を発揮できるかであるが、相変わらず、国による上からの地方創生になってしまっているからである。

 例えば、地方版総合戦略は1年でつくらないと、交付金をくれないという。国からお金をもらわないといけないから、ともかく計画をつくることになるが、時間がないなかで、役所が計画をつくることになる。これではこれまでと変わらない。本来ならば、住民一人ひとりが、地方再生を自分たちの問題として、考え、アイディアを出し、行動することが必要なのにである。

 自治基本条例がつくられて、あちこちのまちで、地域の住民が、自ら考え、行動する文化がつくられ始めた。そうした地方の動きを潰すことにならないことを願いたい。そんな思いを込めて、話をした。 

 宮城大学では、地域連携センターの古川部長さんには、大変お世話になった。きめ細やかな対応で、恐縮している。引き続き、奮闘を期待したい。

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