松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市長選挙52公開政策討論会は有効であったか(新城市)②

2017-10-31 | 1.研究活動

 公開政策討論会の意義は、いくつもあり、候補者が荒唐無稽の政策を提案しにくくなるなどの、候補者に与える影響も大きい。しかし、ここでは、有権者の立場から考えてみよう。

 人がだれに投票するのか、投票行動の基準としては、次の3つがあげられる。ミシガンモデルといわれるものである。

 1.政党帰属意識(party identification):特定の政党に対して有する帰属意識である。創価学会=公明党が代表的な例であるが、かつては、農村は自民党支持が圧倒的であったが、今日では、そうとも言えないといったように、全体には、政党帰属意識が薄れて、無党派層が多くなっている。このコアな政党帰属意識は、公開政策討論会をやっても、簡単に影響を受けるものではない。 

2.候補者イメージ(candidate image):候補者個人の有するカリスマ性に注目した投票行動である。候補者個人のイメージが悪ければ、どんなに政策が良くても、支持を獲得することは難かしい。公開政策討論会は、候補者のイメージを、政策論議を通して知る良い機会だった。 

3.争点態度(issue position):政策を基準に候補者を選択する投票形態である。今回の公開政策討論会の主たる目的で、地方選挙を政策投票・争点投票にしようという試みだった。

 一般に、争点投票が好ましいとされるが、これが機能するには3つの条件が必要であるとされる。
 
第一は、有権者が選挙時に政策争点を知っていること、
 
第二は、有権者にとって、その政策争点が重要な意味を持っていること、
 
第三は、どの候補者が、その争点に関する自分の考えに近いかを知ることができること
である。

 これまで、この3条件をうまくつくれなかったので、結局、単に、握手したとか、知り合いだとかといった理由で投票することになってしまっていたが、今回の公開政策討論会では、4回の公開政策討論会を通して、3条件を満たすやり方を開発・運営してきたといえる。実践してきただけに、説得力がある。ミシガンモデルの地方選挙における実践というマニアックな話であるが、大いに評価できるものだと思う。

 
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