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鬼滅の刃がどうしてこれほどヒットしたのか度々思いを巡らせる。一番はその映像美だと思う。宮崎駿作品とは異なるのは、原作を忠実に再現してること。むしろ、音と動きが加わり、原作以上に魅力的に作られている。アニメーターの技術が結晶化してるような絵の熱量により、私は物語に惹き込まれてしまう。
そしてもう一つは、やはり炭治郎という少年と彼を取り巻く魅力的なキャラクターのおかげと思う。彼らの凄いところは鬼殺隊に所属しながら鬼である禰豆子を受け入れてるところだ。その名の通り鬼を殺す集団にいながら、身内の鬼を背負い続けて、鬼と戦う。とてもいびつだけど、とても真実に近い。
人には二面性がある。誰もが正しい行いをできるわけではない。時に鬼となり、鬼である自分を受け入れた先に見えてくるものすらある。常に正しくあることなんてできないけれど、炭治郎は自分が正しいと思うことに、周りからどんなに「おかしい」と叩かれようと貫き通す芯がある。柱にフルボッコに遭ってすら禰豆子を庇う。そういう主人公の姿に多くの人が心を打たれるのではないかと思う。さらに凄いのが、柱という、いわばジャンプでいう最強キャラ的な立ち位置の人物があっさり死ぬ。上に立ってはいても、同じ人間であり弱さがあることをしっかりと描き出してくれる。
この作品が興収1位という快挙をとれたこと、それぞれ思うところがあるだろうが、私はとても喜ばしいことと思う。ジブリブランドだけでなく日本のアニメの技術が認められたこと、人が正しくあることは難しく、常に葛藤があることに理解ある日本人がたくさんいるのだと思うと、心があたたかくなる。