加筆しました。
このままでは、非常にわかりにくい案で刑法改正が決まってしまいます。
これが私たちが求めた刑法改正だったのでしょうか?
刑法改正「同意なき性交は処罰を」に暗雲?
いったい、法制審議会では何が議論されているか(伊藤和子)
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刑法改正「同意なき性交は処罰を」に暗雲(伊藤和子)https://t.co/N3e1VN88zi
2017年に始まった#MeToo運動や、伊藤詩織さんの問題提起、さらには2019年3月に立て続けに下された4件の無罪判決を契機に、同意なき性交等を処罰する抜本的な改正が被害者や市民社会から強く求められるようになりました。
→この部会の検討事項は意に反する性交を処罰する検討を行っていくかのような期待感があふれていました。ところが、半年もたたないうちに急速に議論に暗雲が立ち込めてしまったかに見えます。
→非常に有力とされるのがB案ですが、この改正案では「拒絶する意思を形成・表明・実現することが困難であることに乗じて性交等をした者」という要件になるという
→ 「拒絶する意思を形成・表明・実現することが困難であることに乗じて性交等をした」ことが認定されなければならないことになり、そのように絞り込まれた場合にだけ有罪になるとされます。
→ これまで、性犯罪の成立要件である、「抗拒不能」が曖昧でわかりにくい、裁判官に白紙委任しているようなものだ、と言われ、批判されてきました。そこで、新たに諮問までして検討して浮上したこの「拒絶する意思を形成・表明・実現することが困難」という要件
→ 第一に、この要件がいったい何が言いたいのか?わかる人はどれくらいいるでしょうか?…率直に言って、この規定は一般の方から見てわかりにくく、わかりにくい規範は破られがちである一方、被害にあった人も、何が違反であるか明確にわかりにくいため、被害を告発しにくい
→ 第二に、この法律をもとに捜査する警察官、起訴する検察官、有罪無罪を判断する裁判官によってもわかりやすい規範だとは到底言えないでしょう。
→ 2019年の4件の無罪判決では「抗拒不能」という要件やその故意について判断が分かれ、一審は無罪、高裁では有罪という判断が相次ぎました。同じように、判断が分かれる危険性、法的な安定性を欠く事態が当然に起こりうるでしょう。
→ 第三に、有罪にするハードルがかえって上がるのではないか、という懸念があります。
→ これまでは暴行または脅迫が強制性交等罪の要件でしたが、今回、これに加えていくつかの事情が例示列挙されるようで、そうした具体的事例を絞り込む要件として、「拒絶する意思を形成・表明・実現することが困難であることに乗じて」いることが求められます。
→ 被害者にはかえって立証の負担がこれまでよりも重くなるのではないか?と懸念されます。
→ 第四に、被害者側の事情で犯罪の成否の絞り込みを行う要件を課すことを通じて、結局、被害者の落ち度が問われるのではないか?ということが問われるべきです。
→ これまでも性犯罪の裁判は、被害者側の「落ち度の有無」が問われる場となり、刑事裁判の審理の過程で被害者が傷つけられてきました。
それを脱却することは今回の改正の重要な課題だったはずです。
→ ところが犯罪成立の要件の中心を占めるのが加害者の行為ではなく被害者側の事情だとする改正案はむしろ被害者の落ち度を問う方向を強化しそうな懸念があります。
→ 第五に、「No」というだけではなぜ足りないのか?という点です。
→ 無罪事例を見ると、被害者が加害者に「No」と言っているにも関わらず、キスをしたり、抱き着いたり、押し倒したり、馬乗りになったり、服を無理やり脱がせたりして性交に及んだ事例について「合意で行われる性交でも通常随伴する程度の有形力の行使に過ぎないから」として
→ 「暴行」の要件を満たさず無罪とする例が相次いでいます。
→ 被害者が下着を脱がされないように抵抗したのに加害者の力が強く押し切られてしまったような事案では「抵抗できる力があったので抗拒不能には当たらない」と判断されてきたのです。
→ そのようなことが繰り返されないようにするには、「拒絶する意思を実現することが困難」というまどろっこしい要件ではなく、意に反して性交した、とすればよいのです。
→それが規範として確立すれば、「No」と言われた時点で、罪に問われたくない人間は断念するでしょう。
→ わかりにくい要件を導入することで、加害者に付け入るスキ、濫用する余地を与え、Noといった被害者であっても、無理やり性交等をすることを免罪しうるというメッセージを法が送ってしまうことは深刻と言わざるを得ません。
→ それではなぜこのようなわかりにくい条文になってしまったのでしょうか?
法制審議会で議論をしている学者の方々の見解を見ると、「処罰すべきではない行為を除外する」ために並々ならぬ情熱が注がれたことがうかがえます。
→ 処罰すべきでない行為の筆頭は結婚詐欺のような事例だそうです。しかし、そうであれば詐欺や欺罔という類型の構成要件だけ、別途規定を設け、それ以外のシンプルに犯罪が成立しそうなもの(例えば威迫したり監禁して性交した場合など)は、シンプルに犯罪が成立する…要件にすればいい
→ B案は丁寧に場合分けをして性犯罪を規定したドイツ刑法と異なり、一つ一つ分けないで、ごっちゃにしてしまったためにわかりにくくなっているのです。
ドイツ刑法のように反対意思を表明した場合と、それができない場合で、条文をわけて規定するのが、誰からもわかりやすい
→ 日本とドイツの大きな違いは…前者はシンプルなNo Means Noであるのに対し、後者は裁判官のあいまいな主観的判断が入り込む余地があり、不同意性交処罰といえないことは、上述した通りです。いっそ、ドイツと同じ条文にすれば、問題は解決に近づくでしょう。
→ 社会的なコンセンサスもないのにこのようなわかりにくい条文を学者主導でごり押ししていいのでしょうか?立法を求める人々の声や、法制審議会に対する法務大臣の諮問の趣旨に立ち返るべきではないのでしょうか?
→ 多くの人に刑法改正をめぐる議論の深刻な現状を知っていただき、社会的な議論を深める必要があります。そして、現在議論を進めている専門家には、改正の原点である被害者や市民が何を求めてきたのか、その思いに立ち返ることを強く求めます。
😒性犯罪を裁く刑法を作るということだけ見ても、この有様。日本の男はどうしようもないな…
😞だから、基本、どいつもこいつも、自分の身を守ることしか考えないんだから、男ばっかの一強政治が正しく機能するわけないんだわ。それは、様々な部分で言える。想田さんのそれぞれの分野の代表者で成り立たせる政治が理想的な理由