今回は、伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』(新潮文庫)です。
ちなみにこの作品は、伊坂さんのデビュー作でもあります。
--------あらすじ--------
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸時代以来外界から遮断されいる”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか?(文庫本裏のあらすじより)
--------------------
えーっと、ミステリー?
でもかなり非現実的な設定だし、ファンタジーっていうんでしょうか?
・誰にも知られていない仙台沖合の島。
・喋ることができ、未来まで見通すことができるカカシ、優午。
・殺人を許されている男、桜。
このように、この小説の世界は、ものすごくあり得ない設定です。でも、伊坂さんのかかると何故か現実感が出てくるから不思議です。
でも、非現実的な設定ではあるけど、すごく現実的でシビアなテーマを扱っているようにも思えます。
・動物を殺し、樹を切り倒してまで生きる価値のある人間はどれほどいるのか、という桜の疑問。
・リョコウバトを全滅に追い込んだ人間。
・人間の悪意の塊のような城山の存在。
・そういった人間の業への優午のささやかな復讐。
このように重いテーマを含んでるけど、やっぱり重たさを感じさせない。「寓話のようで寓意は込められていない」と『陽気なギャングが地球を回す』あとがきで書かれているそうですけど、まさにそんな感じ。重いテーマは含みつつ、でも、何か正義を振りかざしてみたり、教訓を垂れるということはない。押し付けがましくない。これが伊坂作品の魅力なのかなと思います。
でも実は私、この小説はあんまり入り込めませんでした。この前読んだ『重力ピエロ』も、物語の世界に入り込むことができませんでした。といっても『重力ピエロ』の方は洒落た表現がすごく気に入ったし、色々考えるところもあったわけですが。
私は、伊坂さんの小説は客観的に読んでしまうんですよね・・・。雰囲気に浸って、誰かに感情移入してって感じではなく。まぁまだ2冊しか読んでない私が言うのも不遜ですが。
でも、本当に上手いなぁとは思いました。非常に無駄のない文章で、すべての出来事・言葉が、後々の何かにしっかりと繋がっています。だから読んだあとスッキリします。
かといって、ガチガチな論理的な文章ではなくて、例によって、軽いタッチで書かれていて、気楽に読めました。
私の個人的な評価は低いですが、PSUの知人さんは、「伊坂作品で一番好き」と言っていました(その方はかなりの伊坂ファンで、伊坂作品はすべて読んだそうです)。一度読んでみてはいかがでしょう。ハマるかもしれませんよ!
ちなみにこの作品は、伊坂さんのデビュー作でもあります。
オーデュボンの祈り 伊坂 幸太郎 新潮社 2003-11 by G-Tools |
--------あらすじ--------
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸時代以来外界から遮断されいる”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか?(文庫本裏のあらすじより)
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えーっと、ミステリー?
でもかなり非現実的な設定だし、ファンタジーっていうんでしょうか?
・誰にも知られていない仙台沖合の島。
・喋ることができ、未来まで見通すことができるカカシ、優午。
・殺人を許されている男、桜。
このように、この小説の世界は、ものすごくあり得ない設定です。でも、伊坂さんのかかると何故か現実感が出てくるから不思議です。
でも、非現実的な設定ではあるけど、すごく現実的でシビアなテーマを扱っているようにも思えます。
・動物を殺し、樹を切り倒してまで生きる価値のある人間はどれほどいるのか、という桜の疑問。
・リョコウバトを全滅に追い込んだ人間。
・人間の悪意の塊のような城山の存在。
・そういった人間の業への優午のささやかな復讐。
このように重いテーマを含んでるけど、やっぱり重たさを感じさせない。「寓話のようで寓意は込められていない」と『陽気なギャングが地球を回す』あとがきで書かれているそうですけど、まさにそんな感じ。重いテーマは含みつつ、でも、何か正義を振りかざしてみたり、教訓を垂れるということはない。押し付けがましくない。これが伊坂作品の魅力なのかなと思います。
でも実は私、この小説はあんまり入り込めませんでした。この前読んだ『重力ピエロ』も、物語の世界に入り込むことができませんでした。といっても『重力ピエロ』の方は洒落た表現がすごく気に入ったし、色々考えるところもあったわけですが。
私は、伊坂さんの小説は客観的に読んでしまうんですよね・・・。雰囲気に浸って、誰かに感情移入してって感じではなく。まぁまだ2冊しか読んでない私が言うのも不遜ですが。
でも、本当に上手いなぁとは思いました。非常に無駄のない文章で、すべての出来事・言葉が、後々の何かにしっかりと繋がっています。だから読んだあとスッキリします。
かといって、ガチガチな論理的な文章ではなくて、例によって、軽いタッチで書かれていて、気楽に読めました。
私の個人的な評価は低いですが、PSUの知人さんは、「伊坂作品で一番好き」と言っていました(その方はかなりの伊坂ファンで、伊坂作品はすべて読んだそうです)。一度読んでみてはいかがでしょう。ハマるかもしれませんよ!
最初はいろいろな出来事や人物が繋がらず読みにくかったですが、なんとか最後には繋がってすっきりしましたね。
伊坂さんて男性ウケするんですかね?私は他の作品も・・・って興味があまりわかなかったです。
でも「陽気なギャング~」はちょっと興味ある。映画にもなったしね。
そういう分類をすると、やはり恩田さんは女性ウケする作家ということになるんですかね?
ま私は面白そうならとりあえず読みますけどね(笑)
『陽気な』は読みたかったのですが、図書館にいついってもないので、文庫本買おうかなぁ・・・。