今回は、伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮社)です。
--------あらすじ--------
解体された神様、鉢合わせの泥棒、歩き出した轢死体、拳銃を拾った失業者、拝金主義の富豪―。バラバラに進む五つのピースが、最後の一瞬で一枚の騙し絵に組み上がる。ミステリを読む快感と醍醐味がここに!新潮ミステリー倶楽部賞受賞第一作。(「BOOK」データベースより)
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・難事件を解決したことで信者たちから「神」と呼ばれている教祖・高橋を「解体」しようと言う塚本と、それに引きずり込まれる河原崎。
・利益や効率よりも自分の美学を優先する、プロの泥棒・黒澤。
・リストラされ家族にも見捨てられ再就職も40連敗中の豊田と、なぜか行動を共にすることになった老犬。
・不倫相手の妻の殺害計画を練る京子と、その不倫相手のサッカー選手・青山。
・全てのものは金で買えるが信条の拝金主義の画商・戸田と、彼に独立の夢を潰された佐々岡。
この5組が、あるところでは交差したかと思えば離れ、また交差する。そんなお話です。
実に面白かった!!!
読み始めたら止まらなくなって、一気に読んでしまった!
あらすじのところに、五つのピースが、最後の一瞬で一枚の騙し絵に組み上がる、とあるけど、まさにそんな感じ。ジグソーパズルといってもいいと思うけど。前半にちょこっと出てきたアノ発言が、数十ページあとのこんなところで効いてくるのか!!!とか、前半のアノ行動はこう繋がるのか!!!ということが満載で、一瞬たりとも気が抜けません。登場人物の全ての行動は、後の何かに必ず繋がっています。頭の中ですべてのピースが組み合わさって、おさまっていく感覚が非常に心地良いです。
そして、これら五つの話はどれも、最後にどんでん返しというか、予想外の展開になっていって、最後まで飽きませんでした。
五つの話が同時進行で次々語られるので、一見とっても複雑そうに見えるんですよ。それなのにあまり頭がこんがらがったりしないんです。まぁ本当によく練られていて、整理されていると思います。これはもう本当に脱帽としか言いようがないです。各話の冒頭についている小さなイラストが、どの話なのかを視覚的に明らかにしてくれています。
そういえば、恩田陸さんの『ドミノ』もこんな作品でしたねぇ。『ドミノ』は最初バラバラで全く関わりのなかった人々が、最後東京駅という一点で交差するという話でした。テンポの良さという点では『ドミノ』ですが、構成の巧さなどから個人的には『ラッシュライフ』の方が好みかも。
登場人物に関しては、黒澤がね~良いんですよ。格好良い!特にある老夫婦とのやりとりなんかは面白かった。黒澤は「重力ピエロ」でも登場しましたね。「重力ピエロ」自体は友達に貸していて手元にないのですが、「黒澤はカウンセラーみたい」云々の話はこれと繋がっていたのね!と納得。
ただ、前のほうで私、この小説はすごく整理されていると書きましたが、黒澤の行動については「???」な部分もありました。基本的に私あんまり日付とか注意して見ない人間なので、漠然とした「あれ?」という感触しか持たなかったのですが、他の書評ブログさんなどを見ていると、黒澤の行動、時間軸がおかしいらしいです。なるほどー、完璧な整理の中に、ひとつだけ歪んだものが入り込んでいる、このあたりが「騙し絵」たる所以なのですね。これに気付かないとは私はまだまだ読みが浅いですね。再読の必要がありそうです。
「昨日は私たちが主役で、今日は私の妻の京子が主役。その次は別の人間が主役。そんなふうに繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように続いていけばいいと思わないか?人生は一瞬だが、永遠に続く」(P246)
まさにそんなお話でした。
私だんだん伊坂作品に慣れてきたというか、伊坂作品の楽しみ方が分かってきたぞー(笑)
ラッシュライフ 伊坂 幸太郎 新潮社 2002-07 by G-Tools |
--------あらすじ--------
解体された神様、鉢合わせの泥棒、歩き出した轢死体、拳銃を拾った失業者、拝金主義の富豪―。バラバラに進む五つのピースが、最後の一瞬で一枚の騙し絵に組み上がる。ミステリを読む快感と醍醐味がここに!新潮ミステリー倶楽部賞受賞第一作。(「BOOK」データベースより)
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・難事件を解決したことで信者たちから「神」と呼ばれている教祖・高橋を「解体」しようと言う塚本と、それに引きずり込まれる河原崎。
・利益や効率よりも自分の美学を優先する、プロの泥棒・黒澤。
・リストラされ家族にも見捨てられ再就職も40連敗中の豊田と、なぜか行動を共にすることになった老犬。
・不倫相手の妻の殺害計画を練る京子と、その不倫相手のサッカー選手・青山。
・全てのものは金で買えるが信条の拝金主義の画商・戸田と、彼に独立の夢を潰された佐々岡。
この5組が、あるところでは交差したかと思えば離れ、また交差する。そんなお話です。
実に面白かった!!!
読み始めたら止まらなくなって、一気に読んでしまった!
あらすじのところに、五つのピースが、最後の一瞬で一枚の騙し絵に組み上がる、とあるけど、まさにそんな感じ。ジグソーパズルといってもいいと思うけど。前半にちょこっと出てきたアノ発言が、数十ページあとのこんなところで効いてくるのか!!!とか、前半のアノ行動はこう繋がるのか!!!ということが満載で、一瞬たりとも気が抜けません。登場人物の全ての行動は、後の何かに必ず繋がっています。頭の中ですべてのピースが組み合わさって、おさまっていく感覚が非常に心地良いです。
そして、これら五つの話はどれも、最後にどんでん返しというか、予想外の展開になっていって、最後まで飽きませんでした。
五つの話が同時進行で次々語られるので、一見とっても複雑そうに見えるんですよ。それなのにあまり頭がこんがらがったりしないんです。まぁ本当によく練られていて、整理されていると思います。これはもう本当に脱帽としか言いようがないです。各話の冒頭についている小さなイラストが、どの話なのかを視覚的に明らかにしてくれています。
そういえば、恩田陸さんの『ドミノ』もこんな作品でしたねぇ。『ドミノ』は最初バラバラで全く関わりのなかった人々が、最後東京駅という一点で交差するという話でした。テンポの良さという点では『ドミノ』ですが、構成の巧さなどから個人的には『ラッシュライフ』の方が好みかも。
登場人物に関しては、黒澤がね~良いんですよ。格好良い!特にある老夫婦とのやりとりなんかは面白かった。黒澤は「重力ピエロ」でも登場しましたね。「重力ピエロ」自体は友達に貸していて手元にないのですが、「黒澤はカウンセラーみたい」云々の話はこれと繋がっていたのね!と納得。
ただ、前のほうで私、この小説はすごく整理されていると書きましたが、黒澤の行動については「???」な部分もありました。基本的に私あんまり日付とか注意して見ない人間なので、漠然とした「あれ?」という感触しか持たなかったのですが、他の書評ブログさんなどを見ていると、黒澤の行動、時間軸がおかしいらしいです。なるほどー、完璧な整理の中に、ひとつだけ歪んだものが入り込んでいる、このあたりが「騙し絵」たる所以なのですね。これに気付かないとは私はまだまだ読みが浅いですね。再読の必要がありそうです。
「昨日は私たちが主役で、今日は私の妻の京子が主役。その次は別の人間が主役。そんなふうに繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように続いていけばいいと思わないか?人生は一瞬だが、永遠に続く」(P246)
まさにそんなお話でした。
私だんだん伊坂作品に慣れてきたというか、伊坂作品の楽しみ方が分かってきたぞー(笑)
小説ばっかって事は信やってないな?(笑
いや、むしろ信オン復活したせいで、小説読む時間が取れなくて困ってる^^;
今日はおバカなコエができもしないイベントをやって鯖落ちしてくれちゃったりしちゃったので、感想が書けたwww