ぬしさまへ (新潮文庫) 畠中 恵 新潮社 2005-11-26 by G-Tools |
--------あらすじ--------
きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。(「BOOK」データベースより)
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まず最初に、ドラマ版の『しゃばけ』見ました。
キャスティング的には、原作のイメージに合ってて良かったです! 特に仁吉役の谷原章介さんが! 谷原さん以外に仁吉役は考えられないというくらいハマってた!(今川義元も最高だったけどね!!)
若だんな役の手越くんも見た目では若だんならしかったですしね。
ただ、、、
おとっつぁん(藤兵衛)役の岸部一徳さんはいただけない!
いや。少なくとも、『医龍』と同クールでやるのはヤメテ・・・。
「朝田ちゃ~ん」(野口先生)の意地悪イメージのせいで、息子・一太郎(=若だんな)に甘甘のおとっつぁんに見えないです・・・。悪だくみしてそう。
ストーリー的には、原作が好きなので、どうしても厳しい見方をしてしまうんですが・・・一点だけ。
親・手代(仁吉たち)の甘やかしぶりをちゃんと描いて欲しいっす。
「大福に砂糖をてんこ盛りにして、その上から黒蜜をかけたような甘やかしぶり」だとドラマ中でも語られていたけど、その描写がほとんどなかったんじゃないかな。
ドラマを小説とまったく同じにする必要はないけど、「咳ひとつでもしようものなら、即布団に押し込まれるほどの甘やかされように、若だんなさんがむくれたり怒ったりしながら、事件に首を突っ込む(で、頑張りすぎてまた寝込む)」っていう基本線だけは、壊さないで欲しいです。
さて、『ぬしさまへ』ですが。
短編になってて読みやすい!(しかも話はちゃんと繋がってる)
そして、脇役にも光が当ててあって、面白いです。
「栄吉の菓子」は、タイトルのまま、若だんなさんの幼馴染・栄吉に焦点を当てたお話。
今まで散々不味いと評判だった栄吉の菓子で、ついに人が死んだ!? ということで、若だんなさんが幼馴染の疑いを晴らすべく奮闘します。
「空のビードロ」は、『しゃばけ』で若だんなが手代たちに内緒で会いに行った頃の兄さんの生活に焦点を当てたお話。
「仁吉の思い人」は、若だんなの世話を焼く妖の仁吉の失恋話。
仁吉がなぜ若だんなさんの世話をしているのか、ということもほのかに明らかになります。
全体的にとても面白いんですけど、若だんなさんの成長がほほえましいです。
『しゃばけ』では、ずーっとべったり若だんなさんの世話を焼く甘甘な手代さんたちや両親を煩わしく思い、ちょいと子どもみたいなところもあった若だんなさん。
しかし、『ぬしさまへ』では、自分のおかれた立場を「恵まれたもの」と感謝しつつも、長崎屋という大店の跡取りであるという不安ももっているんですよね。そして、妖たちに頼りっぱなしはダメだとも思ってる。
甘やかされども甘えず
という若だんなさんの心意気も垣間見えて、ますます若だんなさんのファンになりました。
・・・まぁでも事件に首を突っ込むのは、やっぱり退屈すぎるからなんですけどね(笑)