今度の旅はツアーでした。
旅行通ではないので、お任せツアーも結構好きなのです。
行きの飛行機の中から富士山がとってもきれいにくっきりはっきり見えました。
ツアーには、小柄な老婦人が一人で参加しておられました。
黒い帽子に黒いオーバー黒い靴、(童謡「カモメの水兵さん」の歌詞そっくり!)かばんは小さいのが一つだけ。
他の人はゴロゴロを引いているというのにです。
いかにも旅慣れた感じ。
バスの席もお食事もホテルの部屋も一人。
歌舞伎の席についても添乗員の人に積極的に質問されていました。
孤高の人!じゃないけれど、なんか、話しかけてはいけない雰囲気・・・
興味津々でいつもチラチラ見ていました。
で、歌舞伎づくしの一日目は終わり、
二日目は東京観光でした。
浜離宮、浅草、新しくなった東京駅とその界隈、
たくさん歩きます。ガイドの女性はものすごい早歩きで、男性がついていけず、迷子になったくらいのスピードです!
私たち夫婦もついていくのに必死でした。
ところが老婦人はいつもそのガイドさんにぴったりくっついて、全然OKなのです。すごい!
お昼では隣同士になりました。
そこで初めてお話を・・・
そしてわかったこと、その方は82歳!!
なんてお元気なんでしょう。その頭脳明晰さと健脚ぶりに、舌を巻きました。
東京出身で宮崎に嫁に来て60年。息子さんが二人?だったかな?息子さんは仕事に忙しくお嫁さんはとてもできた嫁で自分は幸せだ・・・
一緒に参加してもよかったが歌舞伎に興味のないに人はかえって迷惑。
今回のツアーはお目当ては何といっても昼の部夜の部通しの歌舞伎。討ち入りの日の忠臣蔵、ということで歌舞伎のファンクラブにも入っているけれど、チケットが手にいらず、ツアーにしたとのこと。
話し出したら歌舞伎界の裏話など出てくる出てくる・・・
歌舞伎もですが、このご婦人のお話も面白かったです。
「明日のことはわかりませんよ、今できることをしておかねば」淡々とそう言われます。
うちの亡き母の2つ年下。うちの母が生きていれば・・・
老婦人に母の面影を重ねながらその後はご一緒しました。
でも、その方は集団行動はされないのです。自分で集合時間と場所を聞いて、
あとは自由行動!
この日、東京は行く先々、ものすごい人人人・・・で、結構ごった返し。
そんな中、失礼ですが、あのお歳で、一人でさっさかさっさか行動されるとは・・・
今の私でも躊躇します。(何せ超方向音痴だからね)
82歳でこんなに頭も体も心も健康だったらどんなにか素晴らしいことでしょう!!感心することしきり。
こりゃ、神様がこの方を目標に歳を重ねなさいって私に見せてくださっているんだと思います。
いや~、素晴らしいと思いました。
帰りの空港までのバスの窓から、またまた富士山が、夕焼けの赤い空の中、グレーのシルエットとしてきれいに見えました。まるで一服の絵のよう・・・
東京でもこんなに良く見えるのは珍しいそうです。
私たちのささやかな旅を祝福しているかの如く、行きも帰りもきれいな富士山を拝ませてもらいました。(おめでたいですね!)
こうして、私たちの還暦祝い旅行はたくさんの思い出を残して幕を閉じたのでした。チャンチャン!