小さい頃になりたかったもののひとつに「サラリーマン」があった。ぼくの家は、和菓子屋で、親父は菓子職人。親戚見回してみると、美容師とか、お茶の製造販売とか、とにかくサラリーマンがいなかった。テレビをつけると、サザエさんがあったり、ドリフの会社コントがあったり、ああいうのがよくわかんなくて、なんだか謎めいた見知らぬ世界への憧れだったのである。…というわけで、一族初の大卒として、曲がりなりにも「サラリーマン」になってもうすぐ10年。あたりまえながら、「謎」はどんどん減っていって、「サラリーマン」は今やぼくにとっての「現実」になってしまっている。しまっている…と書くと誤解されそうだが、ぼくはこのささやかな現実、結構気に入ってるのだ。他にいろいろ夢をみなかったわけじゃないけれど、まあ、これでそこそこいいんじゃないの、というヌルイ感じで。しかし、世の中、どんなところにも、難しいことってあるものだ。どんな世界を選択してもね。サラリーマンの場合、その難しさって、やっぱり「集団」というものの難しさだったりするんだろうな。今日はこのレコードのことを書く。Priceless Jazz Collection / Duke Ellington 。デューク・エリントンという人は、自分のビッグ・バンドを率いて、たくさんの素敵なポピュラー・ミュージックを生みつづけたアメリカの偉大なジャズ・ミュージシャン。彼のレコードをかけるたび、バンド・メンバーの誰もが、この古き良き「親方」としてのデューク・エリントンに敬愛の念をもって、そのボスの音楽を慈しむように演奏している様子が伝わってきて、そこに静かな感動をおぼえてしまう。このベスト盤に収録された「Mood Indigo」「In A Sentimental Mood」あたりの演奏を聴いていると、こういう「親方」と「バンド」の関係、そうしたものへの憧れが何とはなしの郷愁のようなものを誘って心をうつ。「集団」の最も幸福なありかたのひとつといえるんじゃないだろうか。余談だが、このデューク・エリントン、うちの社長に顔が似ている(笑)。
小さい頃になりたかったもののひとつに「サラリーマン」があった。ぼくの家は、和菓子屋で、親父は菓子職人。親戚見回してみると、美容師とか、お茶の製造販売とか、とにかくサラリーマンがいなかった。テレビをつけると、サザエさんがあったり、ドリフの会社コントがあったり、ああいうのがよくわかんなくて、なんだか謎めいた見知らぬ世界への憧れだったのである。…というわけで、一族初の大卒として、曲がりなりにも「サラリーマン」になってもうすぐ10年。あたりまえながら、「謎」はどんどん減っていって、「サラリーマン」は今やぼくにとっての「現実」になってしまっている。しまっている…と書くと誤解されそうだが、ぼくはこのささやかな現実、結構気に入ってるのだ。他にいろいろ夢をみなかったわけじゃないけれど、まあ、これでそこそこいいんじゃないの、というヌルイ感じで。しかし、世の中、どんなところにも、難しいことってあるものだ。どんな世界を選択してもね。サラリーマンの場合、その難しさって、やっぱり「集団」というものの難しさだったりするんだろうな。今日はこのレコードのことを書く。Priceless Jazz Collection / Duke Ellington 。デューク・エリントンという人は、自分のビッグ・バンドを率いて、たくさんの素敵なポピュラー・ミュージックを生みつづけたアメリカの偉大なジャズ・ミュージシャン。彼のレコードをかけるたび、バンド・メンバーの誰もが、この古き良き「親方」としてのデューク・エリントンに敬愛の念をもって、そのボスの音楽を慈しむように演奏している様子が伝わってきて、そこに静かな感動をおぼえてしまう。このベスト盤に収録された「Mood Indigo」「In A Sentimental Mood」あたりの演奏を聴いていると、こういう「親方」と「バンド」の関係、そうしたものへの憧れが何とはなしの郷愁のようなものを誘って心をうつ。「集団」の最も幸福なありかたのひとつといえるんじゃないだろうか。余談だが、このデューク・エリントン、うちの社長に顔が似ている(笑)。