岡耕一郎法律事務所

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残業代

2011-10-27 07:03:32 | 日記
 残業代の不払いについて、労働基準監督署が是正指導した実績(平成21年度)が公表されました。
 
 是正指導によって、約1200企業から、労働者11万人に対して残業代が支払われたようです。

 ただ、この数字は支払金額が100万円を超えた事例だけを対象に集計されていますから、従業員5人にそれぞれ15万円ずつ支払ったような事案(支払総額75万円)は除外されています。

 したがって、是正指導によって支払われた総額は、もっと多くなるはずです。

 この集計は、100万円以上を支払った企業に限って公表されていることから、

「うちみたいな小規模な事業のところは関係ない」

と、捉える事業主もいるようですが、残業代を請求するのに企業の規模はあまり関係ないでしょう。

 今回の是正指導でも、一人あたりの平均支払額は、15万円程度です。

 その程度の請求ですから、請求することによって企業が倒産することを恐れて労働者が自粛するなんてことはありません。

 残業代の争いをなくすには残業をなくすのが最も効果的ですが、まずは労働時間をきちんと把握できるようにし、労使間で実労働時間の争いがないようにしなければなりません。
 
 最近は、労働時間管理にペーパーレスの電子タイムカードなどが利用されているようですが、方法の如何にかかわらず労働時間を正確に把握することが事業主の責務とされていますから(厚労省が使用者がなすべき措置の基準を策定しています)、注意が必要です。