岡耕一郎法律事務所

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謝罪

2011-10-08 07:32:37 | 日記
 刑事事件の弁護人になると、被害者のところへ謝罪に行くことがあります。

 「自分からは行かない」という弁護士もいるようです。

 私は、本人の気持ちを代弁すべく、早めに自分から赴いてひたすら謝るというスタイルですが、被害者側の対応は人によって事件によってずいぶん違います。

 まず、会ってもくれないというパターンがあります。連絡先も教えない(警察、検察から「本人が教えてくれるな、と言ってます」と伝言されます。)というパターンもあります。

 それから、激怒されたり、長時間お説教されるというパターンがあります。
 私は、このパターンを覚悟して行きます。
 過去には、親戚が10人近く集まって、畳の上に正座をして数時間、代わる代わる怒られ続けられたこともありました。

 また、怒ってはいるけど、「弁護士さんも大変だね。お茶でも飲んで」と声をかけてくれるパターンもあります。
 めったにありませんが。

 怒られることによって被害者の怒りが少しでも和らいでくれたらいい、怒られたことを加害者に伝えて少しでも「弁護士さん、迷惑かけました。すんません。」と思ってくれたらいい、という気持ちでやってることです。

 が、こうした状況を伝えても、

 「なんぼ謝りに行っても、示談してくれにゃ意味がないんだろ。全然ダメじゃん。」

などと言ってくる加害者もいます。

 「あぁ、こいつはダメだな。」と、ガックリする瞬間ですが、それでも自分が謝罪に行くことで加害者にもなにか伝わるものがある、と信じています。
 
 そして、「こいつはダメだな。」と感じた加害者が、いろいろ話すうちに心から反省するような言葉を、ひねくれたような態度にせよ、口にした時、それはそれで少し前進したような、そんな感覚を得ることができるんです。

 やりがい、って言っていいのかなと思ってます。