Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「アトミック・ブロンド」「斉木楠雄のΨ難」(10月21日)

2017-10-22 21:11:29 | 映画


台風21号が迫ってくる中、朝もはよからシネコンで映画を見てきました。しかも2本。
こんな呑気なのは自分だけかと思いきや、意外とシネコンは混んでました。スタンプカードを提示すれば、1300円で見られるからでしょうか。

今回見たのは、シャーリーズ・セロン主演の「アトミック・ブロンド」と、福田雄一監督&山崎賢人主演の「斉木楠雄のΨ難」です。
両極端な気もしますが、見終わったらどちらも出演者の顔面力というかビジュアル力(りょく、と読む)がものを言う映画だったので、あながち間違ったセレクトではなかった…と思います。はい。

では感想。ちょっとだけネタバレもあるので、ご注意ください。





「アトミック・ブロンド」
公式サイトはこちら。
東西冷戦末期のベルリンが舞台。極秘情報が記載されたリストが、東側のスパイに奪われた。イギリス秘密情報部MI6のエージェント、ロレーン(シャーリーズ・セロン)は、リストを取り戻すためにベルリンに行き、現地に潜入中のエージェントパーシヴァル(ジェームス・マカヴォイ)と合流する。しかし、ロレーンには、リストを奪還するほかに、リスト流出に関与したMI6の二重スパイ、“サッチェル”を見つけ出すというもうひとつの任務があったのだが…

MI6といえばパタリロのバンコランですが、シャーリーズ・セロンならバンコランのコスプレも似合いそうですね。まあそれはさておき。
予告編のイメージだと、「腕っぷしが強くて頭も切れる、美貌の女スパイが華麗に事件を解決する、スタイリッシュな痛快アクション映画」を想像していたのですが、そんなにわかりやすいストレートな映画ではありませんでした。舞台が1989年だから、高性能なアイテムを駆使するわけでもなく、スパイ活動もアクションも、結構アナログで泥くさいです。その分、冷戦末期のヨーロッパの、真っ暗闇の中で泥沼に足を突っ込んでもがいているような、混沌としてもどかしい空気感が伝わってきました。

面白いのは、ストーリーが時系列で進むのではなく、MI6でロレーンが上官たちに語る回想から始まり、最後の最後、結末であっと驚かされる(多分)ところ。結末を知って見れば、映画の感想ががらっと変わりそうなので、できればもう一度見に行きたいです。

ラブロマンス要素はほとんどありませんでしたが、シャーリーズ・セロン演じるロレーンがひたすら美しいのと、ベルリンでロレーンと接触するフランスのエージェント・デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)が超絶かわいいので、目の保養になりました。バーで2人が一緒にいる場面は、2次元なのかと錯覚しましたから。「この2人がいちゃいちゃしながら活躍する映画だったらいいのに…」と残念に思うほどです。ソフィア・ブテラは「キングスマン」で華麗なアクションを披露していたのに、この映画ではアクションシーンがなかったのがもったいなかったけど。いろいろ事情があるのでしょうが。

パーシヴァルを演じるジェームス・マカヴォイは、私が見る映画では大概車椅子に乗っているので、両足で立って歩いてるのを見るだけで新鮮でした。相変わらず髪はなかったけど。あと、「マイケル・ファスベンター(というかマグニートー)には強いマカヴォイも、シャーリーズ・セロンには勝てないのだな」と思ったり。中の人のことはともかく、超然としてるように見えたパーシヴァルもまた、東西の争いに翻弄されていたのだとわかる最期はちょっとグッときました。

というわけで、上記の4人は顔の判別がついていたのですが、東側のスパイは見た目も名前も覚えにくくて、正直誰が誰だかよくわからずに最後まで見てしまいました。なんかもっとこう、それぞれの個性を強調したビジュアルにしてくれてたらよかったのですが。でも、映画後半から登場する、ロレーンたちをサポートするメルケル(ビル・スカルスガルド)だけはなんとかなりました。メルケルって名前だったことが、映画見た後に公式サイトで確認してやっとわかったってのは内緒の話で。

映像がスタイリッシュだっただけでなく、音楽も80年代後半らしい選曲で、サントラが欲しくなりました。シネコンの売店で売ってないかと探したけど、この映画のグッズはパンフレットだけだったので少しがっかり。まあ、田舎のシネコンだから仕方ないんだけど。

ベルリンの壁崩壊当時の世界情勢について予備知識があれば、もっと楽しめたのにな~というのが反省点でした。せめて「エロイカより愛をこめて」を読み返しておけばよかったかしら。共通点は「美しすぎるスパイ」くらいだけど。

余談ですが、もし、万が一、エロイカがハリウッドで映画化されたら、ジェームズ君はマカヴォイにやってほしい、とふと思いました。できる!彼なら!きっと!

「斉木楠雄のΨ難」
原作は週刊少年ジャンプに連載中のギャグマンガ。公式サイトはこちら。
福田雄一監督、山崎賢人主演ということで、制作が決まった時から期待してました。

生まれながらに地球を1人で滅ぼせるほどの超能力を持つ高校生・斉木楠雄(山崎賢人)。しかし、その超能力は有効活用できるレベルを超えているため、本人はごく地味で平凡な生活を送ることを心掛けている。ある日、担任から「今年の文化祭で不祥事が起きたら、来年から廃止にする」と言われた斉木楠雄は、文化祭を平穏無事に終わらせるため、超能力を駆使して1人奮闘するはめになる。だが、彼の気苦労をよそに、曲者ぞろいのクラスメイト達は次から次へとトラブルを巻き起こし…。

ギャグマンガを実写化、しかもドラマではなく映画でやるのは、恋愛やアクションよりも難しいのではと危惧していたのですが、福田雄一マジックと俳優たちの怪演で、意外や意外きれいにまとまってました。さすがに感動して泣くことはなかったけど、見終わってから「なんかいいもん見たなー」と満足できました。これもひとえに山崎賢人と橋本環奈の顔面力のたまもの…と言ったら乱暴ですが、主役とヒロインが映画を最後まで引っ張って引っ張って、見事に着地したのだから、すごいと思います。しかも、すれ違っていた2人の心が通い合ってハッピーエンド、とかじゃなくて、コミュニケーションがまったく取れてないままで終わるのに。特に、自分を天下無双の究極美少女だと自負している照橋心美を演じた橋本環奈は、自らのセルフパロディの様な役を堂々と演じていて、ものすごく好感が持てました。前から割と好きだったけど、ファンになりました。「銀魂」の時もそうだったけど、彼女はきっとメンタルが強いんだろうなぁ。憧れます。

山崎賢人演じる斉木楠雄は、基本クールというか無表情なので、演技らしい演技は特にしないんじゃないかしらと思っていたのですが、照橋の勝手な妄想の中で百面相&ギャグ調の演技を披露していて、「…頑張ってるね、えらいね」と、甥っ子を見守る親戚のおばちゃんのような気持ちになりました。多分、出演者の中で一番演技力を求められる役だったと思います。主役なんだから当たり前っちゃ当たり前だけど。

他にも、曲者ぞろいのクラスメイトの役で、新井浩文、吉沢亮、賀来賢人、笠原秀幸が出てました。一番出番が多かったのは、吉沢亮演じる重篤な中二病の海藤瞬でしたが、これまた仮面ライダー俳優にセルフパロディをさせるようなキャラで、「最近の若い役者はメンタル強いなぁ」と感心することしきり。ただ、仮面ライダーから入った彼のファンの若い女性はどう感じているのか…いや、きっと祝福していることでしょう。大画面で何度もアップになってるし。特撮出身だからこそできるキャラだったと思うし。賀来賢人は元ヤンで今はまじめっ子ぶってる転校生・窪谷須亜蓮の役でしたが、プライベートでもこの役を引きずらないか心配になりました。マイカーのフロントにムートン敷いたりしてたらどうしよう。あと、新井浩文演じる燃堂力みたいなキャラ(バカすぎて思考が読めない)は、出オチかと思ったけど斉木楠雄にとっては重要な人物だと思うので、斉木楠雄も燃堂力の前では普通の高校生みたいにできるのかなとちょっと気になりました。しかし新井浩文、割れアゴのおかげで高校生役に違和感がない…。

福田作品になくてはならないムロツヨシは、さすがに高校生の役ではなくて謎のマジシャン役でした。相変わらずムロらしい、ムロにしかできない役でしたが、そんな出番が多いわけじゃないのに美味しいところを持って行く、ムロの底力というかムロ力(か、ではなくりょくと読む)を感じました。ムロはいつ見てもムロらしさ全開なのに、ちゃんと役が成立してるのが不思議です。同じくなくてはならない佐藤二朗は、予告や宣伝での扱いが大きい割に出番それだけかよ!と観客に突っ込ませるためだけに用意したような役&出番でした。いやでも、いなかったらいなかったで物足りないんだろうなぁ。

地味にいいなあと思ったのは、赤ちゃんだった頃の斉木楠雄が、瞬間移動でみりんをどこかから大量に取って来た時、両親(田辺誠一&内田有紀)が「万引きはよくない」と話し合ったこと。両親が天然だというギャグなんだろうけど、たとえギャグ漫画でも対価を払わず勝手に持って行くのは良くないことという教育的指導がちゃんと入っているのは好印象でした。

ギャグ漫画が原作だから、おバカなギャグがメインの映画だと思って見ていたのに、最後まで見たら予想外にもひねりの効いたラブコメだったので、なんだかちょっぴりお得に感じました。つか、壁ドン男子より斉木楠雄のほうがよっぽど理想の彼氏なんじゃないかと錯覚してしまうほど、気持ちのいいラストでした。うん、これは続編あるぞ、というか、作っても構わないぞ。テレ東深夜でもいいぞ。

映画の中で、心美を見た男子がもらす「おっふ」が何度も出てきてしつこいな、そもそも「おっふ」ってなんだよ、と心の中で突っ込みながら見ていたのですが、トイレで顔を洗う場面で、斉木楠雄のメガネを外した顔がアップになった時、思わず私も「おっふ」と言いそうになって、ようやく意味が分かりました。ただ、今まで見た山崎賢人の中で斉木楠雄が一番「おっふ」ってどういうことなのよ私…。

10月は映画をひたすら見まくりましたが、来週からしばらくは別の予定が入って見に行けなくなるので、映画の感想はしばらくお休みです。次にミニくのは多分「マイティ・ソー」。でも行けるのは上映2週目以降…それまでにレイト扱いにならないことを祈る…。


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