Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「ロケットマン」(8月24日)

2019-08-26 17:00:35 | 映画


8月24日、イオンシネマ綾川まで、エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」を見に行きました。日本公開日(8月23日)の翌日に見に行ったので、昼間のちょうどいい時間に見ることが出来ました。地方のシネコンでは、年齢層高めの映画はすぐ1日1回レイト上映の身になるので…さて、この映画はいつまで綾川でやってくれるかな?

映画「ロケットマン」公式サイト


※若干のネタバレがあります。ご注意ください。






さて、改めて説明するまでもなく、映画の内容は「エルトン・ジョンの伝記映画」そのまんまです。監督は昨年大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」にノンクレジットながらも参加したデクスター・フレッチャー。主人公のエルトン・ジョンを演じたのは、「キングスマン」シリーズでブレイクしたタロン・エガートン(以下タロン君)。タロン君は「キングスマン ゴールデンサークル」でエルトンと共演してるし、アニメ映画「シング」ではエルトンの曲を歌っているので、これ以上の配役はありません。

エルトン・ジョンの盟友であり作詞家のバーニー・トーピンを演じたのは、私が一番好きな映画「リトル・ダンサー」の主人公ビリーを演じたジェイミー・ベル(以下ジェイミー)です。ジェイミーが出てるのですから、私がこの映画を褒めないわけにはいきません。ジェイミーのフィルモグラフィーは、マニアックなミニシアター系とかハリウッド大作かと思いきや大コケしたりとなかなか恵まれないものがありましたが(※個人の感想です)、今回この「ロケットマン」でまた評価が上がることを祈ってます。というか、この映画を見た人の中でまだ「リトル・ダンサー」を見てない人には、ぜひ見て欲しいです、はい。絶対。シンクロするところがあって、グーっときますから。

何の映画の感想なのかわからなくなってきましたね。軌道修正。

恥ずかしながら私はエルトン・ジョンといえば「君の歌は僕の歌」くらいしか知らず、あとはダイアナ妃と仲良しだったこと、衣装がド派手なこと、ゲイであること、くらいの知識しかありませんでした。当然、CDも持っておらず、ディスコグラフィーもよく知りません。まあ、「ボヘミアン・ラプソディ」も事実と大きく異なることを知らずに見て感動したクチなので、今更なのですが。ただ「ロケットマン」の場合、エルトンはフレディと違って存命で、この映画の製作総指揮でもあるので、事実と異なる箇所は了承済み(というかむしろイケイケ?)だから、そう問題になることはないでしょう。

短いプロローグの後、映画はエルトン・ジョンの子供時代から始まります。両親は不仲で息子を顧みず、彼にとって癒しになるのはピアノのみ。やがてピアノ教師に才能を認められ、王立音楽院に進むもロックに目覚め…とあらすじだけ書くと淡々としてますが、映画の中ではこのエルトン少年(本名はレジー)が歌う歌う踊る踊る。しかも歌うのはエルトン・ジョンの歌。この頃には存在してなかったはずの歌を。映画の中でエルトン・ジョンの歌を歌うのはタロン君だけだと勝手に思ってたので、子供が激しいロックを歌う姿は衝撃的でした。と同時に、「あ、これはそういう映画なんですね。わかりました」と観客に納得させる挨拶にもなっていたかな。何気に親切設計です。

そんな感じで、子供時代のエルトンだけでなく、エルトンの家族も、ジェイミー演じる作詞家バーニーもエルトン・ジョンのヒット曲を歌います。歌の歌詞でストーリーが進みます。レコーディングとかライブの場面でなくても。なので、既に書いた通り、私はエルトン・ジョンの歌をよく知らないので、特に違和感はなかったのですが、ファンの人の場合、思い入れがある分映画での使われ方に困惑するかもしれませんね。

面白いのは、エルトンの曲のほとんどはバーニーが作詞していること。しかもバーニーが作詞をするのが先で、できたものにエルトンが曲をつけるというやり方でした。「君の歌は僕の歌」とはよく言ったものです。エルトンの歌はバーニーの歌、バーニーの歌はエルトンの歌。ある意味、原題のYour Songよりも的を射ているかもしれません。

映画のタイトル「ロケットマン」も、エルトン・ジョンの代表曲のひとつで、バーニーが作詞したものです。宇宙をひとり漂う孤独な宇宙飛行士の歌。映画の中では、宇宙飛行士同様に孤独なエルトンが、ド派手な衣装に身を包んで大観衆の前で歌っています。孤独を歌う寂しい歌を。とてもシュールです。しかも、孤独な人が歌う孤独の歌を紡いだのは、当人じゃありません。特殊すぎます。エルトンとバーニー、この2人の間に割って入れる人はいなかったんじゃないでしょうか。なんせ、バーニーが書いた決別の歌にさえ、エルトンは曲をつけて歌い、ヒットさせてるわけですから。高度すぎるプレイです。

しかし、エルトンはゲイですが、バーニーのほうはそうではなく異性愛者でした。映画の中で、エルトンはもしかしたらと期待してバーニーにキスしようとするんですが、拒まれてしまいます。「リトル・ダンサー」のビリーとマイケルのように。バーニーを演じているのがジェイミーだからそう思ったというのもありますが、こういった要素があるのはイギリス映画の伝統なのかなとも思います。

映画の中では、バーニー以外にエルトンの人生に深く関わった人として、敏腕マネージャーのジョン・リードが登場します。演じているリチャード・マッデン、どこかで見たことある顔だと思ったら、実写版シンデレラの王子様役の人でした。ジョンはゲイでエルトンの恋人でもありました。ついでにエルトンの前はクイーンのマネージャーだったそうです。ううむ。ジョン・リードを主人公にして映画が作れそうな豪華な経歴です。愛を求めるエルトンと、ビジネスライクなジョンとの間で亀裂が入り、恋人関係は破綻した、と映画ではなってるけど、実際はどうだったんでしょう。この映画について、ジョン・リードがどう思ってるのか知りたいような、知りたくないような。

母親の再婚相手は良い人だったものの、実の両親からは愛を得られず、孤独の果てに酒とドラッグに溺れてしまったエルトンを救ったのは、他ならぬ彼自身でした。そしてバーニー。エルトンが求めている愛を、バーニーが与えるわけじゃなくても。映画のクライマックス(と言ってもよさそうな場面)、過去と対峙したエルトンが最後に向き合ったのは、抱きしめてくれる人がいない孤独な少年時代の彼自身でした。愛に飢えた子供だった自分を、大人になっても孤独な自分を救えるのは、結局自分自身だけ-そう書くと寂しい話のようですが、いっそ清々しい気にもなります。心の傷と向き合うことで、胸の中の氷が溶けたようなほっとした気持ちになったことがある人は、少なくないんじゃないでしょうか。傷ついた過去は変えられないけど、傷を抱えて生きる方法を探ることはできるから。

映画全編通して、タロン・エガートンの演技は素晴らしかったですが、特に気になったのは彼の髪の毛と頭皮でした。タロン君、ゴメン。あの見事な額の後退ぶりと頭頂部の透け具合は特殊メイクによるものなんだろうけど、リアルさにドキドキしました(何故)。10月に公開予定の主演作「フッド:ザ・ビギニング」で、タロン君の髪の毛と頭皮が無事かどうか確認したいと思います。(小声で)特殊メイクで増やすことも可能だけどね。。。

映画館が遠いのでもう一度見に行けるかどうか怪しいですが、Blu-rayが出たら買おうと考えてます。特典映像も気になるし。あとはサントラを買うか、それともこれを機にエルトン・ジョンのアルバムを買うか…買うならやっぱりベスト盤かな?

映画の最後、エンドロールで、実在の人物を演じた俳優と本人の映像が並ぶのは実話を元にした映画のお約束ですが、子供時代のエルトンを演じた子役と本人の写真が並んだ時は噴き出しそうになりました。こんなにそっくりな子、よく見つけたなぁって。出番は短かったけど難しい役だったので、彼のこれからの人生が実り多きものになることを祈ります。

ところで、私が一番好きな現役フィギュアスケーターのネイサン・チェン選手が、この映画に出てくるエルトン・ジョンの曲を今季のフリープログラムで使うそうで、映画を鑑賞中、映画の中にフリーの衣装のヒントになるものがあるかなー、ネイサンの衣装はいつも白黒だけど、今季はエルトン・ジョンみたいに華やかになるかなーと期待しながら見ていた、の、ですが…。映画を最後まで見たら、あのド派手な衣装は彼を守る鎧で、彼本来の姿とは言いがたいものだったことが明らかになって…うん、もう白黒ジャージでもいいから、少しくらいは光り物を入れてくれると嬉しいんだけどなぁという結論になりました。いや、そんな簡単に派手な衣装を着てくれるなんて期待してなかったけどさぁ(涙目)。

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