Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

三都半島アートプロジェクト2015 潮耳荘に行ってみた。 その2

2015-09-23 21:26:16 | ローカル


蒲野地区には、旧三都小学校を利用した三都公民館に、黒田大祐さん、チャールズ・ウォーゼン広島市立大学教授、広島市立大学大学院生の友定睦さんの作品がありました。

旧三都小学校体育館前にある、チャールズ・ウォーゼン教授の作品、「Venus by the sea,too」。



樹脂で固めた砂を、3Dプリンターで切断して作ったそうです。ヴィーナスの形を作るのには、既存のギリシャ彫刻の形をモデルにというかそのまんま使ったとか。ヴィーナスは海の泡から生まれたから、時々海に帰りたくなって里帰りする…というコンセプトだとか。ヴィーナスも里帰りするときは水中メガネがいるんですね。シュノーケルはさすがに要らないのか。



ヴィーナスの後頭部には、アクセサリーにヒトデがあしらわれています。遊星からの物体Xが飛び出してきそうです。キシャァアアアア!!

体育館内には、友定睦さんの「島の誕生」という映像作品が上映されています。



舞台奥の壁と、天井近くの壁の二つをスクリーンに見立てて、古事記に出てくる「国産み」のように島が作られていく様子が表現されています。天井近くの壁には、小麦粉を降り注ぐ手の映像を、舞台奥の壁には、海の映像と小麦粉が降り積もっていく映像を重ねて映していました。また、体育館内に置いてあるテレビでは小麦粉をこねて小豆島の形に成形する映像が流れていました。



降り積もった小麦粉が、島の山脈のように見えて面白かったです。

公民館の中には、黒田大祐さんの「小豆島の風」「風」「チョウジマカズミについて」「幻日」が展示されています。黒田さんの作品は暗い所にあったりして写真がうまく撮れませんでしたが、大量の扇風機を使ったオブジェ作品や、小豆島に見せかけて実は全然違う場所の写真を使った映像作品、中国・韓国・日本のそれぞれの国の人が母語と異なる言葉をでたらめに使ってあたかも会話をしているかのように見せかける映像作品など、とても実験的でした。多分、土井さんの解説がなければ何が何だかまったくわからなかったと思います。というか、土井さんの解説を聞いても半分もわからなかった…。

蒲野地区を後にして、次は神浦地区へ。まずは入江早耶さんの「ともしびの家」がある山口邸に向かいました。

山口邸の門をくぐると、中庭にはたくさんの白い菊が飾られていて、まるで極楽浄土…じゃなくて、この作品はククリヒメノカミ(菊理媛神)という神様をモチーフにしているので、白い菊が飾られているそうです。白い菊は造花で、そのせいか「この世のものでない感」がありました。(なぜそうオカルトに寄せようとするのか…)

入江さんの作品は、消しゴムのカスを練って塑像にするというちょっと変わった手法で作られていて、この「ともしびの家」では、



鯉と虎の描かれた掛け軸の前に、



室内だったのでピンボケになってしまいましたが、鯉と虎の小さな塑像がありました。そしてもうひとつは



十一面観音の掛け軸の前に、観音様がそのままの姿でありました。掛け軸に描かれた十一面観音を消しゴムで消して、そのケシカスで観音様を作ってますが、あまりの精密な出来栄えに、本当に掛け軸から飛び出してきたように見えました。蒲野にはコンピューターを駆使して作ったヴィーナスが、神浦には手作業オンリーの観音様が。究極のデジタルと究極のアナログの共存に、これが21世紀の芸術家とため息が出ました。

山口邸の次は、皇子神社社叢にある、このツアーのガイドをしてくれている土井満治さんの作品「水糸の参道」。皇子神社への参道に、海面を見立てた水糸を設置して、その下をくぐって神社へお参りするという趣向になっています。



水糸の下から撮った写真。水糸の上に浮かぶ船を、海の底から眺めているような。



水糸をくぐり抜けた後、振り返って撮った写真。スマホで撮ったので小さいわ、水糸がわかりにくいわ…実際に見るともっと迫力があるんですけどね。

次に見たのは、神浦庵にある、友定睦さんの「牛が歩く時」という映像作品。芝居の舞台で見るような、牛の被り物を被った2人の人が島を歩く姿を映したものです。じっくり見たら面白かったかもしれないのですが、ツアー終盤で疲れてきてたのもあって、じっくり見る気力がありませんでした。ちょっともったいなかったかな。映像作品は消化するのに時間がかかるので、ツアーで見るのは難しいですね(※個人の感想です)。

最後に見たのは、広島市立大学大学院生の粕谷優さんの「recording medium」。太鼓蔵の中に入ると、



大きな切り株が吊るされています。しかしその切り株を後ろから見ると、



なんと!



切り株は小豆島に関するチラシでできていました。ぎっしり、みっちり、島の情報が満ちています。



年輪のアップ。チラシでできた内側の部分と、表面の部分は別の紙でできています。どうやって作ったのか、工程を見てみたいと思いました。もとは木の加工品である紙が再び木の姿にかわるというループが興味深かったです。

連休最終日なのでそんなに人出は多くないかと思いきや、行く先々に自家用車で見に来ている人がいて少し驚きました。島の内外の人に、少しずつ三都半島の魅力が浸透してるんでしょうか。そうだといいけど。来年の瀬戸芸に向けて、三都半島のアートに関する活動が広まっていけばいいなと思います。

それにしても…暑かった!暑さ寒さも彼岸までって言うんだから、これで最後だよね!そうだよね!(予報では明日は大雨らしい…)


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