四百年の長きに渡り、歴史の奥深くに隠されてきたある秘密ー
それを暴くのは、東京からきた会計検査院の調査官3人、そして
大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開く時、大阪は全停止する。
ただひとつの秘密を守るために、セーラー服とお好み焼きとアイスモナカに
ミラクルは起きるのか?
ここから先はややネタバレあります。ご注意ください。
読み終わってすぐにアイスモナカが食べたくなった…あとお好み焼きも。
大阪府にやってきた会計検査院VSある秘密を抱えた大阪の庶民、という図式で描かれているこの小説。
つい最近、職場で会計検査があったばかりの私には、ストーリーとは別にいろいろ勉強になりました。
一体この人たちは何しに来たんだろう?とか、なんでみんなこんなにぴりぴりしてるんだろうと
思ったことに納得できたし。でもまあ、うちに調査に来た人たちは、「鬼の松平」ほどのキレ者では
なかったみたいですけどね!うちの職場で一番の無駄遣いに気がつかなかったみたいだから!
調査官の三人の名前は、鬼の松平にミラクル鳥居、そして旭・ゲーンズブール(本名)。
松平、鳥居、旭ときたら、歴史もしくはまだ大河が大河らしかった頃の大河ドラマファンには
ピンとくることでしょう。この3人だけでなく、大阪チームには真田とか長宗我部とか蜂須賀とか、
これでもかというくらい豊臣家に縁のある名前が出てきます。もちろん、漢字は違いますが「ハシバ」も
出てきます。個人的にツボだったのは、大阪下町の少年少女・大輔&茶子の同級生でジャコ屋の
少年の名前が「島」だったこと。いやまさかここで島が出てくるとはね!三成ヲタにはたまらないね!
で、ストーリーについての感想。
大阪府に隠されたある奇想天外な「秘密」をめぐって物語は展開するわけですが、そこに至るまでの
前置きがかなり長くて読み進めるのに時間がかかりました。会計検査院の説明に少なからず興味が
ある私でもそうなのだから、興味がない人にはかなり苦痛かもしれません。映画では、映像化されてる分
わかりやすくなるでしょうけど。ただ、会計検査院という設定はこの小説にとっては必要不可欠なので、
説明が多くなるのは仕方ないのですが。
映像化といえば、映画のキャスティング(堤真一、綾瀬はるか、岡田将生)を見て、てっきり綾瀬はるかが
旭の役だと思ってたのに、映画では旭と鳥居は性別が逆転するんですね。
確かに綾瀬はるかにはクールビューティーの役よりも、おっちょこちょいの鳥居のほうがピッタリです。
ミラクル鳥居がミラクルたる所以を、綾瀬はるかなら充分すぎるくらい表現してくれそうです。
(インクの匂いに反応する場面はアレですが)
でも旭が男性では。小説のエピローグの部分がまるまるカットされてしまうということになるのかな?
それはそれでもったいないなぁ。小説のクライマックスに出てくる「大阪が全停止」した状態は、
映像化したら圧巻の迫力で見応えがあるでしょうから、映画にはかなり期待してるんですけどね。
アイスモナカをひたすら食べる堤真一の姿にも。あ、でももしかしたら綾瀬はるかが出るからスポンサーに
考慮してジャイアントコーンに変更されちゃうかも?
その、映画ではカットされてしまうのではないかと心配される「エピローグ」の場面は、それまで
男性主体で描かれていた小説(=大阪)の世界を、一気にくるっと、まるでお好み焼きをひっくり返す
かのように逆転させる、とても面白い場面です。自分らは大それた秘密を背負っている、と意気込んでいる
男たちを
「あーもう、ほんましゃーないなー」
とぼやきながら温かく見守る女たち。私も読みながら心の中で
「ほんまにしゃあないよなぁ」
と呟いてしまいました。だってほんまにアホなことしよるんやもん。本人大まじめやけど。
それと、文字だけの世界から映像の世界へと飛び出した真田大輔君が、どのように描かれるのかも
とても興味があります。彼(?)はある意味、この小説の世界の誰よりも過酷な運命が待ち受けてるかも
しれないので…って、もしかしたら映画では彼の設定は完全スルーかもしれないけどな!ははっ!!
あー、それにしても「太閤」のお好み焼きが食べてみたい…。
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