「声」にまつわる技術が、今急速に進歩しています。
中でも有名なもののひとつが、「初音ミク」などのボーカロイドをはじめとしたバーチャル・シンガー(※1)、音声合成ソフトではないでしょうか。
歌詞と楽譜を入力すれば、それを機械が歌ってくれる技術です。
ボイスチェンジャーも、フリーソフトでもかなりの高機能なものが手に入るようになりました(※2)。
“読唇術”、唇の動きを機械が読み取って音声変換する技術も研究されているそうです(※3)。すごいですね!
これらの技術は、趣味のツールとしてはもちろんのこと、災害時の緊急放送や声を出せない人の支援など、さまざまな用途が期待されていますが、セクマイ的に注目なのが、「声による性別越境」「性別のアバター化」です。
個人差はあるものの、声というのは年齢や性別がかなり露骨に出るもの。
しかし、機械によって、それを簡単に超えられる時代になってきているのです。
声以外にもビジュアル面や動画配信など通信技術の進歩もあり、“バ美肉”(※4)が話題を呼ぶなど、バーチャル空間で性別を越境する人は決して珍しい存在ではなくなっていています。
これからの時代、社会的性別は、その日の気分で気軽に替えることのできるアバターのようなものになっていくのかもしれません。
そうなれば、「性自認」や「性的指向」と呼ばれている概念のありようも、変わっていくのではないでしょうか。
特に昨今は、「オンライン〇〇」や「リモート〇〇」など、リアル生活のバーチャル化がすすんでいます。
仕事でもプライベートでも、バーチャル空間に日常生活の軸足を置く人は、どんどん増えていくことでしょう。
レインボーパレードまでもがバーチャル化した今、そしてこれから、私たちのリアルはどこまで拡張していくのでしょうか?性のありようは何が変わって、何が変わらずに残るのでしょうか?
LGBT/性的マイノリティや性にまつわることについて考えるなら、もはや外せないテーマです。
と、いうわけで、前置きが長くなりましたが、ここから本題。
♀×♀お茶っこ飲み会・仙台では、このテーマに向き合うため、「まずは使ってみなくちゃ始まらない!」ということで、新企画「バーチャル・シンガーでお茶っこおうた部」を始動いたしました!
第一弾で登場いただいたのは「AIきりたん」(※5)。
東北ゆかりのキャラクター「東北きりたん」をモチーフにつくられた、ハイテクAIシンガーです。先進技術を詰め込んだスゴいソフトなのに、なんとフリーソフト!いろんな意味でスゴい!こんなスゴいものが東北ゆかりというのも、東北人としてはまた嬉しいですね。
まずはきりたんの歌声、聞いてみてください。
歌詞と楽譜を打ち込んだだけで、ここまで歌ってくれるんです!
(ちなみに今回制作を担当した女郎蜘蛛魅冴はこれがきりたん初使用です)
【AIきりたん】楽して生きたい【オリジナル】
バーチャル・シンガー、自分の肉声を使わずに歌唱表現ができるので、身バレ防止という意味でもクローゼットセクマイには嬉しいところ。 いろんなおうたで楽しみながら、リアルとバーチャルの溶けゆく境界線について、いろんな人たちと考えていきたいと思っています。
今後の展開をお楽しみに!
ご意見ご感想や音楽的アドバイスも大歓迎です!
(※1)「音声合成ソフトの総称がボーカロイド」と思われがちだが、実は「ボーカロイド」はヤマハの独自技術・商品の名称であり、音声合成ソフトは他にもさまざまなものがある(ちなみに「AIきりたん」は「NEUTRINO」。ボーカロイドの代名詞的存在の「初音ミク」も2020年発売の新製品「初音ミクNT」ではボーカロイド技術ではない新技術が採用されている)。ちなみに音声合成ソフトを総称する適当な単語は現状まだ固まっていない模様。お茶っこ飲み会では当面「バーチャル・シンガー」の語を用いることとします。
(※2)ちなみに「やじうまヒヨコは見た!第1回仙台こっそりレインボーパレードこっそりレポート!」のやじうまヒヨコ3羽の声は、“バ美肉”御用達で有名なフリーソフトのボイスチェンジャー「恋声」を使用し女郎蜘蛛魅冴が吹き込んだもの。
(※3)読唇術を実現するためのデータベース作成!? 口の動きだけで言葉を認識し、違う声にする究極のバ美肉技術のための研究資金をクラウドファンディング中(2020年7月12日、藤本健の “DTMステーション”)
(※4)バ美肉(ピクシブ百科事典)
(※5)ボカロ界の革命――無償のAI歌声合成ソフトが一般公開 誰でもアイドル声優の歌声が作れるように(2020年2月25日、ITmedia News)