24第4話時間霊廟
ファウンデーションの夢
第四部
嵐の気配
第4話
時間霊廟
物語の大枠
第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言
第四部「嵐の気配」の大枠
21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配
あらすじ
ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。
ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
そして親しげにガールに話しかけてくる。
無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。
再生の命というものなのであろうか!
ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。
ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。
方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。
これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。
ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。
ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。
ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。
読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。
ここからがその次の世代の物語である。ハリ・セルダンの孫娘ウォンダも人類の常に従って息をひきとることになる。それも、わざわざロボットのメッカ、イオス星で。
ドース二世の命名のきっかけ談が入る。アルカディアに繋がる女系には同じ名前が繰り返される発端ともなる。
レイチを養子にした経緯は、本文には入れなかったが、ドースがこの子に、精神感応能力を見いだしたことによる、ということも付け加えおくべきである。
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ドース サルヴァー僕ちゃん、素晴らしかったわ。あんなに辞書編纂委員会のメンバーが呆気にとられる光景は凄かったわ!もう実権は市長に移ったも同然だわ。
ハーディン 僕ちゃんは止めて下さいよ!もう時期ターミナスのナンバーワンなんですから。
ドース それにしても、私としては感激だったわ。ハリ・セルダンをホログラフで見させてもらって。曾祖父は写真でしか見たときないんですもの!
わざわざあなたに会いにきたのは、別な二つの理由があったからなの。一つ目は、ハリが言ってた「星界の涯」なんだけどね、ファウンデーションナンバーツーっていうのよ。あなたご存知でしたか?
ハーディン 「第二ファウンデーション」?
ドースさん。それが今後、大事な未来の出来事だとしても、私は今の任務をただひたすら遂行するだけです。あなたのお母さんから学びました。お父さんからも学んだことがあります。これから30年後に、本当の危機が訪れます。お母さんから学んだ、兵法を試す時です。そしてこのファウンデーションの行く末は、シンナックス方式なのです。敵を欺くには、まず味方からと申します。ハリもその手を使いました。
ドース そこまでご存知でしたか。私の両親はそんなにまでしてあなたを見込んでいたのですね!
それから、二つ目は、あなたのお子さんの二番目の女の子、グレディアちゃんを私の養女に貰いたいの。
ハーディン 喜んで。実は本人もそのつもりです。あなたのお申し出をお待ちしておりました。あなたがおもちの二色に輝くシリンダー。二つうち一つを我が娘に渡すおつもりなのでしょう。
ドース えっ! そこまでご存知とは。
yatcha john s. 「時間霊廟」