18第8話クローバー
ファウンデーションの夢
第三部
ウォンダとガールの地球探訪
第8話
クローバー
あらすじ
セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。
漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。
ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。
ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。
ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!
ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。
ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。
そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。
ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
それからもう一つの任務についても。
ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。
話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。
話しを元の状態に戻す。ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。
ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。
ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
そして親しげにガールに話しかけてくる。
無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。
再生の命というものなのであろうか!
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「そして私の結論はこうだ。あなたがたは、おそらくちっとも理解してくれないであろうけれど、あなたがた一人一人が地球なのだ。自浄作用をもった。新しい命を造り出せる。あなたがたはよくご存じであろう。七の七十倍、人を赦せ。これは寛容は無限であることを教えている。そして命は永遠なのだと。」(『ジョン・ナックの歴史思想書』)
ウォンダ よく協力してくださいました。クレジットバッグさん。
それにしても驚いたわね!この星全体、放射能が満ちているのに、この水だけ汚染されてなかったわ。島全体、クローバーで覆われていたのも不思議だったけど!
この水を、運んで行くわ。
一つはトランターへ。
二つめは、ヒューミンさんのお仲間がいる星へ。
三つめはあなたに頼みたいの。私の妹がいる、ターミナスというおじいちゃんの仲間が移住する星へ。
あっ、そうそう四つ葉のクローバーもあったのよ!
なんかね、気がついたのよ。このクローバーの意味。三つの意味。それが本当は一つだということ、そして人間一人一人が独立して自尊心を持っているけど、みんなと共に生きていくのが幸せなんじゃないかとね。
単なる勘繰りかしら!
yatcha john s. 「 clover 」![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/36/3e365981121c15f9f65e12f503a7cca3.jpg?1678355905)
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伊尹の導き
私が yiyin になった経緯についてお話ししたいと思います。作家の宮城谷昌光は傑出した三國志以前の中国の古代史の小説化で有名な方です。
実は、私は歴史は好きでしたが、私の四代前の先祖のことで、日本史とくに近代史についは自分の中でご法度にしていたのですが、極めて話を纏めると、宮城谷昌光の「天空の舟」二冊本を読んで、雷に撃たれるような衝撃を受けたのです。中国初代王朝の夏を滅ぼし、殷(商)を建てた天乙を補佐し、四代にわたって政治を執り続けた宰相です。その無欲さ、軽やかさ、鮮やかさ。
私にしてみれば、生身の人間でできる訳がない見事な人生に感服いたしました。どういうことでしょう。彼の残した言葉の集大成があります。中国文学では最古といわれる「書経」は彼の言葉を残しています。「習いは性となる」、「永図を思え」。すべて書き出したいのですが、要するに彼の思想は、飽くなき Humanism です。なあんだ、当たり前、だと思わないでください。当時、そんなことを考える人は皆無だったのです。
鬼神のなせる業が全てだった時代に、革命を起こしたのです。自分の運命は自分だけで開くものだ、と初めて言った人です。夏を倒す革命は、自ずと彼の思想からでる当然の帰結だったのです。もう少し、簡単に、言います。中国の文明は彼からはじまったのです。
私の浅はかな思い込みも微塵に砕け去りました。それから、解禁。あれよあれよと地元の古代史を過去に遡ってまいりますと、ここ、ひたちなか市が、日本ではもう一箇所を除けば、世界最古(約15000年前)の定着文明の土地だということでした。
お陰で、今、私の名前は、彼に習いたい一心で yiyin と名乗らせて頂いております。![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/ed/356fd66d89b004c656a63f0917f341e2.jpg?1678354207)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/ed/356fd66d89b004c656a63f0917f341e2.jpg?1678354207)