食とくらし~王子光照苑栄養課のメモ帳~

王子光照苑広報誌「ふれあい通信」と連動して、食とくらしにまつわるお話をお届けします

暖かい飲み物の、飲み分け(?)

2018-11-20 18:54:23 | 栄養雑学
 秋が深まってまいりました。

 秋は、日が落ちるのも早く、夜が長く感じます。

 静かな夜にスローテンポの音楽をBGMに読書にふけるのも至福の時ですね。

 そして、傍らに温かい飲み物があるとより幸せを感じますね。

 また、朝の起床の際に温かい飲み物を飲んで、目を覚ます方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 さて、その温かい飲み物ですが、飲む時間帯によって飲み分けを行うと、体に好都合な効果が表れることを知っていますか?

 こんかいはそのようなお話をしたいと思います。ひょっとして、ピンときた方もいることでしょう。

 そうです、私得意の「五味五性」に因むお話なんです。

 身体を温める温かい飲み物。しかし、身体のポカポカが長く続くものもあれば、スーと温感が引いてしまうものもありますよね。

 それは、胃に入った飲み物は常温に戻っていくという自然現象のためです。

 飲み物は、食材のように消化をして栄養素を吸収するという工程がなく、そのまま腸までいき直接吸収されます。

 この、性質を利用して飲み分けると身体に良い効果も表れるし、疲労回復にもつながります。

 さて厚着に頼らず寒空の下、元気に活動するには、「温+辛」の組み合わせの飲み物がいいでしょう。

 おすすめは、起床時の温かい発酵性飲料。甘酒や、乳酸菌飲料がよいでしょう。

 また、紅茶も茶葉を発酵させたものなので同様の効果が期待できます。カフェインも含まれていますので覚醒作用がありすっきりと目覚められます。私のおすすめはしょうが紅茶です。

 そして疲労回復に一番効果的なのは睡眠です。

 眠気は、温かい状態から体温が下がるときに感じるといいます。

 その状態を飲み物で意図的に作ることもできます。その組み合わせが「温+苦」。おすすめはハーブティー。

 ハーブティーには癒し効果や鎮静作用が期待できます。

 前述しましたが、胃に入った飲み物は温度が徐々に下がっていきます。温まった体も皮膚放熱により次第に元の体温に戻っていきます。

 その際に眠気を伴いますので自然に任せて、入眠すると質の良い睡眠ができるということらしいです。

 ただし、温かい飲み物も「水分」です。過剰に摂取したら吸収できない水分は尿となって排出することになります。
 
 夜中に、尿意で覚醒しないためにも、摂取量は程々にしましょうね。

お節は洒落の効いた保存食

2016-01-09 16:59:53 | 栄養雑学


 ご訪問いただいた皆様の皆様、新年あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いいたします。

 さて、新年ということでやはりお節のお話をしましょうか。え!もう飽きてしまいましたか?そのようなことは言わずお付き合い下さいませ。

 さて、今では大手スーパーマーケットや有名デパートなどで予約販売されているお節料理。見た目もカラフルで食欲をそそりますが、価格もなかなかいいお値段です。

 醤油や砂糖をふんだんに使用し、甘辛く濃い味付けが特徴ですがこれはなぜか?

 これは、普段、食事を作ってくれる女性に、お正月の三が日は休んでもらおうという意味と、正月の火を聖なるものとして、火を使う事をできるだけ避けるべきという風習から、日持ちする物が多く入れられているといいます。

 ・・・が、実のところ、お正月の三が日は食料品店等が営業していないため、保存のきく料理を作ったのではないかとの説もございます。

 現在は、元旦こそはお休みですが、2日から大手スーパーは営業しており、コンビニエンスストアーは年中無休ですから、余程のことがない限り、お正月中の食事に困ることはありませんね。

 そして、お料理にも、それぞれ意味があり、「黒豆」「お多福豆」は、まめに働き、まめに暮らせる、文字通り福が多いという意味を足したもの。

 「数の子」は、卵の数が多いことから子孫繁栄を願ったもの。

 「田作り(ごまめ・五万米)=イワシの稚魚の佃煮」は、片口イワシを田の肥料にして、五万俵もの米が収穫できた事から、五穀豊穣を願ったもの。

 「昆布巻き」、『よろこぶ』という言葉にかけています。

 「伊達巻」は巻物に似た形から文化・学問・教養を持つことを願ったもの。

 「栗きんとん(栗金団)」は黄金色をしていることから、金銀財宝、金運の意味があります。

 「紅白かまぼこ」は、紅白の色が縁起が良いから。

 「鯛の塩焼き」『めでたい』ということで縁起担ぎの意味があります。海老は、腰が曲がるまで丈夫という長寿の願いが込められています。

 重箱に詰めるのは、めでたさを「重ねる」という縁起をかついだもの。

 などなど、それぞれの意味合いも洒落っ気たっぷりで、なんとも日本人らしいではないですか。

豊穣の秋は、ダイエットの秋でもある・・・

2015-10-23 16:39:25 | 栄養雑学
 本格的な秋がやってまいりました。

 「食欲の秋」、「天高く馬肥ゆる秋」その他、秋には食にまつわる言葉が多くあることでもわかるように秋は豊穣の季節です。

 古来、秋は厳しい越冬に向けて脂肪をつけるために存在しました。

 体脂肪は、食糧が激減する厳寒期の生命維持のためのエネルギーとなり、防寒具ともなりました。

 ・・・が、一年中食糧に困らない現在にあっては、脂肪をため込む必要は、日常生活を送るにあたってほとんど必要ありません。

 体脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪とに分かれています。

 さて、皮下脂肪と内臓脂肪の違いについてですが、皮下脂肪は筋肉と皮膚の間につく「手でつまむことのできる脂肪」。内臓脂肪は、筋肉の下の内臓や内臓周りにつく脂肪でお腹が出てるのに「つまむことができない脂肪」です。

 これらの脂肪は性質も異なり、皮下脂肪は女性につきやすく消費しづらい。内臓脂肪は男性につきやすく消費しやすいという性質があります。

 特定健診で、腹囲を測定するのは、この内臓脂肪を図るためで、内臓脂肪の蓄積は、糖尿病・高血圧症・心筋梗塞・脳梗塞の原因になる、メタボリックシンドロームの目安になります。 内臓脂肪を消費するには、有酸素運動が良いといわれています。

 特に、空腹時の有酸素運動は、内臓脂肪をエネルギーとして燃焼し消費していくので有効です。

 さらに、秋には身体を温める性質を持つ食材が旬を迎えます。

 五味五性からすると辛・温の区分に入る、生姜や大根などを上手に使って、体の中からも代謝を高めるようにしましょう。

 とにかくお食事の美味しい季節ですが、運動するのにも最適の季節です。

 美味しいものをバランスよく摂って、気持ちよく身体を動かしましょう。

 さらに、脂を制する者は油というお話も・・・

 今、油を摂ることで脂質を消費するダイエットが流行っています。

 脂肪酸は、活動エネルギーになるほか、細胞膜の生成、皮膚の炎症を抑え、新陳代謝を上げ外傷の治癒を促すといった働きがあります。

 もちろんどのような油でもよいということではなく、不飽和脂肪酸に属する油脂を摂取します。

 特にオメガ脂肪酸に分類される脂質をバランスよく摂ることで、癒着した脂肪を分解し、エネルギーとして燃焼しやすくなり、これがダイエットに効果があるといわれる所以です。

 オメガ3類には、亜麻仁油、えごま油、チアシードオイル、青魚の油などがあり熱に弱いため、ドレッシングや生食で摂取。 オメガ6脂肪酸は、べにばな油、コーン油、ごま油、サラダ油、マヨネーズなど、オメガ9脂肪酸はオリーブオイルなどがあります。

 ですが、あくまでも脂質です。摂りすぎたり、摂取しても燃焼させなければ、余計な脂として身体についてしまいますよ。ご注意を・・・・・

食材と季節の関係

2015-09-18 16:11:31 | 栄養雑学


 「天高く馬肥ゆる秋」「食欲の秋」「豊穣の秋」。秋は、食に対する言葉が多くあります。が、何も食材が豊富なのは秋だけではありません。

 「旬」という言葉は、よく御存じのことと思います。今回は旬の食材についてお話いたしましょう。
 
 さて、今年は猛暑日連続記録を更新した直後、秋雨前線による急激な気温低下、そして9月に入って雨の日は寒く、晴れると暑いという不安定な気候によって体調を崩した方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 この体調不良、旬の食材で予防・改善ができるといったら信じますか?

 実は、旬の食材にはその季節、または次の季節を迎えるために必要な栄養素が多く含んでいます。

 中国には医食同源という言葉がありますし、薬膳料理という言葉も聞いたことはあると思います。

 旬を語る上で季節とは、体感する季節ではなく、暦に記された季節を指します。つまり、春は立春から立夏の前までといった感じで区分けします。

 春の食材。寒から暖へ気候が移り変わる季節です。この時期の食材には、冬にため込んだ老廃物を体外に排出し、体力を整える効能が期待できます。

 春野菜には独特の苦みや風味を持つものも多くありますが、これは植物性アルカロイドいう成分で、これが冬にため込んだ老廃物、脂肪などを解毒・浄化する効果(デトックス効果)があるといわれています。

 次に、夏の食材ですが、夏野菜の特徴には、身体を冷やす効果があります。

 夏野菜には、水分やカリウムを豊富に含んでいるものが多く、身体にこもった熱を身体の中から放出してくれます。

 トマトやキュウリなど生で食べられるものも多いので、夏に不足しがちな栄養素を簡単に補給できるのが夏野菜の長所です。

 夏野菜は、酸味を含むものが多く、これが食欲増進と疲労回復の効果がある、クエン酸という成分が含まれています。

 「トマトが紅くなると医者が蒼くなる」言われていますが、こうした効果から来ている言葉です。

 秋は、野菜だけではなく、動物性食材も豊穣の季節です。

 秋は、これから訪れる厳しい冬に備えて、食材となる側も栄養を蓄えていきます。

 秋の食材は穀物、果実など甘味のある糖質を多く含む食材が多く、また、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で夏場の疲れをとる働きがあるととも
に、これから迎える厳しい冬に備えた体作りに役立つといわれます。

 冬は、身体を温める効能のある食材が多く出回ります。

 ビタミン類、鉄分、糖質、カロテンなどを豊富に含んだ、身体を内側から温める効能のある食材が多く出回ります。

 「冬は厚味」という言葉があり、春の苦み、夏の酸味、秋の甘味と同じ等に使われますが、この厚味とは「こってりした味」という意味です。

冬の食材が身体を温める効能があるということは、エネルギーになる成分が多いということです。これらの栄養素を効率よく熱に変えて体外に排出しなければ、毒素として、また余分な栄養として身体に蓄えてしまいます。まあ、例として挙げるならば「正月太り」などでしょうか?

 なお、いくら良い効能を持っている旬の食材といっても、食べ過ぎや偏った食生活は禁物。

 バランス良く、適量(腹八分目)を心がけるようにしてください。