荻原浩という作家さん

2006年11月05日 | 読んでみました
作品ではなく作家さんで書いてみたり。

「噂」をジャケ買いというか帯買いして
結構満足して読み終えたんですけど
何か見覚えのある作家さんだな~と思ったら
アレでした「コールドゲーム」の人でした

で、ナンダカンダで今年ハジメテ触れて
読み続けている作家さんの紹介です。
荻原浩さんですよ。
大当たりでは無いけどコンスタントに良いです。

先日の王様のブランチの読書コーナーで
新作の「四度目の氷河期」を紹介をされていました。
ていうか「明日の記憶」もこの人なのね…
本当に引き出しの幅が広いです。

読んだ順に簡単に紹介します。
書評じゃなくて、読んだ事のメモにしかなってませんが。


コールドゲーム
何で買ったのかも良く判らなかったんだけど
この時は天童荒太さんの「家族狩り」を読んだ後で
なんとなくモチーフが似ているな~
でも圧倒的に「家族狩り」の方が良いけど。
という感想でしたよ。まさかハマるとは…
この日のブログにチョロっと書いてますね。
スタンド・バイ・ミー以来、この手の作品は
「青春ミステリ」とカテゴリが決まってますが
本作にはホラー色もあるかと。


この時期既に積読率高かったハズなので
何で買ったのか判んないんですよね。

連続殺人事件を軸とするミステリなんですけど
ミステリのドキドキ感も味わえるし、
この作家さんの作品の特徴だと思う
軽い表現で深い情緒を現すというか
実は考えさせられる部分をサラリと
書き流しているという贅沢さも味わえます。

つか読み終わって気づいたけど、帯が既にネタバレ。
いや、ネタバレとまでは言わないけど
本文読む前に解説を読まない方がいいと思う…
特に「噂」は半分より後ろのページを開くのは厳禁だと思う…
最後のページをチラリとも目に入れるべきでは無いと思う…
忠告しましたからね。

神様からひと言
実はこの作品までは、「荻原浩」という作家さんを狙って
買ったわけではないのですが、行きつけの書店で
平積み&ポップ付きで売られていて
奥様がお客様相談室勤務であった事もあり
思わず手にとってしまいました。

この作品で初めて、この作家さんがコメディ出身というか
コメディ作品で受賞して、その後もコメディ作品を
期待されている作家さんだということを知りました。

「コールドゲーム」は青春モノというかホラーというか
そんなカンジだし「噂」はミステリだし、人間の書き方が
面白いとは思っていましたが、コミカルだとは思わなかったし…。

ハードボイルド・エッグ
ハードボイルド作品です。あ、ウソです。
ハードボイルドに憧れる私立探偵のお話です。
シチュエーション的には、私立探偵と助手という
加納朋子さんの「アリスシリーズ」と同じなのですが
探偵のスットボケ感はともかく、助手の魅力に関しては
ベクトルが違いすぎるっつーか
そもそも同列に並べるなっつーか。
カテゴリ的にはミステリっつーか、コメディっつーか
微妙なカンジですね。

誘拐ラプソディー
どうしようもない主人公が、いつの間にか魅力的に見えてくる
というか、主人公に魅力を感じないと最後まで読めません。
それくらいどうしようもない主人公です…
あ、題名のとおり誘拐します。
そして誘拐する相手がアレです。
カテゴリ的にはスラップスティックコメディーですね。

オロロ畑でつかまえて
これがウワサの出世作ですか。

題名から高橋源一郎さんの「ペンギン村に陽は落ちて」を
何となく思い浮かべましたが、全くカンケイありません。
ていうか、コラージュって苦手なんですよね。
元ネタわかんないと楽しめないし、元ネタ判っても
そんなに面白くないし、2次創作と呼ばれるモノとの
文芸性の差が判らん。

あ、本作は明らかにサリンジャーの某作品の題名を
モジってますがコラージュ作品ではありません。
コメディです。

なかよし小鳩組
「オロロ畑」の続編です。引き続きユニバーサル企画モノです。
あ、上で言い忘れてましたが、「オロロ畑」も「小鳩組」も
広告代理店に持ち込まれた依頼を軸に話が進んでいきます。
面白いし泣けます。
個人的にはこの作品に、後の「コールドゲーム」に
繋がる青春路線、「誘拐」に繋がるヤクザ路線(?)も
感じとったりもしました。

母恋旅烏
ハンディキャップの主人公を軸にしたオハナシです。
旅芸人のオハナシです。
あ、暗くないです。面白いです。
人情たっぷりです。切ないです。

僕たちの戦争
まさに今から読むトコです。
森山君主演でテレビ作品になってました。
録画した気がするけどドコにやったっけ?


この作家さんの作品の魅力は「人情」なんだと思います。
それも全然人情クサくなく、宮部みゆき的な情緒たっぷりというか
時に表現ヒトツに感動してしまうような雰囲気でもなく
あむまで軽く、どうしようもない人の話なのに
ちょっとホロリと来ちゃいます。
あと、作品を通してキャラにのブレが無いです。
意外性に欠けるというよりも安心して読める感が高いです。

イチオシ作家さんか?と問われると正直微妙なんですが
ワハハと笑ってホロリとしたい、そんな癒しを求める
読者に向いている作品だと思います。

小説における笑いのツボってSFのツボよりも狭いので
「個人的には」という表現を含まざるを得ないのですが
小説すばる新人賞を受賞しているって事は
広く受け入れられる素地を持っている作家さんだとは
思うんですよね。

あと、読書の幅を広げたい、軽めの作品が好み(枚数は多いですが)
といった特定需要にもオススメ出来ます。

あ、ほんで最近の文庫本に共通する事なんだけど
どの本も解説がイマイチかも…。ちょと惜しい…

つい最近読んだ宮部みゆきの「ブレイブストーリー」も
大原まり子が解説なのにイマイチだったんですよね…
あ、解説がね。本編は良かったっス

そんなカンジで久々の読んだメモでした。
コメント
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