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”スローライフ滋賀” 

江戸後期に望遠鏡作った「国友一貫斎」の生家から道具発見 

 江戸時代に日本で初めて反射望遠鏡を作った発明家、「国友一貫斎」が使用していた、望遠鏡を作る道具や製作途中のレンズなど、およそ100点がまとまった形で確認され、調査に当たった専門家は「試行錯誤のあとやどうやって望遠鏡を作ったかが分かる非常に貴重な発見だ」と指摘している。


↑写真:NHK-HPより

 国友一貫斎は、安永7年=西暦1778年に、近江国国友村(今の長浜市)にあった鉄砲鍛冶の家に生まれた。
職人として若いうちから才能を見せ、40歳前後を江戸で暮らしてさまざまな学者と出会う中で、当時の最先端の科学技術について学んで行った。
鉄砲作りの技術を応用して、照明器具や現在の筆ペンのような携帯用の筆などさまざまな発明品を作り出し、江戸で外国製の望遠鏡を見たことをきっかけに、50代の半ばで日本で初めての反射望遠鏡を完成させた。
一貫斎が作った望遠鏡は4台が現存し、自身の手によ
る月面の観測図や太陽の黒点を連続して観測した、詳細な記録も残されている。
また今年の3月には、一貫斎が絵とともに作り方を記した国内最古の詳細な飛行機の設計図が見つかり、一貫斎の天文や空への思いを具体的に裏付ける資料が相次いで確認されている

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 「国友一貫」は、江戸時代の後期に、今の長浜市にあった鉄砲鍛冶の家に生まれ、今からおよそ190年前に、日本で初めて反射望遠鏡を製作したことで知られている。
 今回見つかったのは、一貫斎が反射望遠鏡を製作する際に使用したネジ回しや千枚通し、鏡やレンズを磨く砥石(といし)、それに製作途中のレンズなど合わせておよそ100点で、長浜市にある一貫斎の生家に保存されていたものを市などが調査して確認した。江戸時代の科学技術にまつわる製作道具などがこれほど多く残されているのは、ほとんど例がないということだ。

一貫斎が作った反射望遠鏡は4台が現存し、このうちの1台に使われていた鏡は、現代の市販の望遠鏡のものとほぼ同じ精度で作られていたことが分かっている。
調査にあたった長浜市歴史遺産課の太田浩司学芸専門監は「古文書だけでは分からない材料や成分が分析できるので、非常に貴重な発見だ。一貫斎の試行錯誤や苦労のあともしのばれ、今後の研究で、どうやって反射望遠鏡を作ったかが分かってくると思う」と話している。

【今回見つかったものは】
 今回見つかった資料の中で、専門家たちが特に注目しているのが鏡やレンズなどを高い精度で磨き上げるための道具である。
 鏡やレンズを磨く砥石は4点が見つかり、このうち1つの側面には西暦1836年にあたる天保7年8月6日という日付と、「ゾンガラス極妙」という言葉が一貫斎の直筆で記されていた。「ゾンガラス」は太陽の黒点を観測する際に使用する黒みがかったガラス、そして「極妙」は「とてもよく磨ける」という意味で、一貫斎が目的に応じて砥石を使い分けていたことがうかがえる。
 またレンズを磨く際に使う「研磨台」とみられる丸いくぼみがある道具は、たこ焼き器のように3つのくぼみがあるものや鉄砲の銃身を加工したものなどが見つかり、一貫斎の手作りと考えられている。
 このほか、磨いたレンズの曲面を測る機器や日本に現存するものでは最も古い部類のマイナスドライバーも見つかっていて、一貫斎が試行錯誤しながら、使いやすい道具を自前でそろえていたことが伺える。
 太田浩司学芸専門監は「製作道具を見て、本当に工夫しているなと思った。作り方が書いてある訳でもないし、教えてくれる人もいないので、試行錯誤が多かったと思うが、如何に苦労したのかがよくわかる」と話している。

【専門家 “製作過程実証できる”】
 江戸時代の科学技術史に詳しい、国立科学博物館産業技術史資料情報センターの鈴木一義センター長によると、静電気を発生させる「エレキテル」など、当時の完成品が残ることはあっても、製作道具や加工途中のものがこれほど多く残されているのは例がないということである。特に今回、確認された砥石や千枚通し、ネジ回しなどはさまざまな用途で使用できるため、別のものに応用されたり、使い古されて捨てられたりするということである。また砥石の表面にはレンズや鏡を磨いた痕が残されていて、分析することでどのように加工したのかが分かるとしている。
 鈴木センター長は「今まで知られている砥石の中でも、最も高級でよいものを使っている。加工するための道具がこういう形でセットでそろうというのは本当に例がないことだと思う」と指摘している。
 そのうえで、「技術のレベルは道具や工具が残っていないと分からない。今後、調査していくことで、当時の人がどういう形で試行錯誤をしながら、欧米から入った最先端の望遠鏡製作技術に挑戦していたのかという、その過程が実証的に分かる。本当に大発見ではないかと思う」と話している。

【滋賀・近江の先人第37回】鉄砲や望遠鏡を独創的に製作・一貫斎国友藤兵衛(長浜市)
https://blog.goo.ne.jp/ntt000012/e/175b3a93cad914d6fab6d9fb408c6ab0

国友鉄砲ミュージアム
https://kunitomo-teppo.jp/

時代は大きく下るが近江の「国友一貫斎」の後輩が滋賀から反射望遠鏡やレンズ磨きの名人、先駆者として輩出している。

【滋賀・近江の先人第134回】変光星、太陽、彗星、小惑星の観測・発見・中村 要(大津市)
https://blog.goo.ne.jp/ntt000012/e/2bcefa44cd20ec8b1a9b1ace00ced72b

【滋賀・近江の先人第133回】世界でも五指に入るレンズ磨きの名人/レンズ和尚・木辺成麿(野洲市)
https://blog.goo.ne.jp/ntt000012/e/ce56ba3894e7103b9858caf6a2b223a9


<NHK滋賀より>
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