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【滋賀・近江の先人第56回】郷里に巨費を投じて迎賓館を建設した豪商・藤井善助(東近江市)

藤井善助、1782年(天明2年)五個荘村字北ノ庄(東近江市宮荘)生まれ。幼名は千次郎。近江商人。
 
先祖伝来の農業に従事していたが商いで身を立てる決心をして、19歳の頃、同郷の絹縮緬業の「塚本定右衛門商店京店」に丁稚として入店した。同輩よりも5-6歳遅い始まりだった。1年後には手代に昇格し、染呉服、関東織物を持ち信濃路に行商した。
 
1815年(文化12年)34歳で退職し独立し、「善助」と改名した。
初代善助は染呉服、関東織物を持ち、塚本時代の慣れた信濃路から離れ、未知の備後(広島)、周防(山口)方面に販路を開拓した。ひたすら商売に励み村内屈指の資産家となった。
1841年(天保12年)60歳の時、京都店を開き、子、仙二郎に託し、自分は周助と改名し郷里で農耕に従事した。その後庄屋などをやり、周祐に改め、1859年(安政6年)78歳で没した。
 
二代目善助(1818年(文政元年)生まれ、仙二郎は西国の販路を引継ぎ、その後、紀伊、和泉、伊勢にも広げ益々繁栄した。老後、周願となり、1885年(明治18年)に68歳で没した。
 
三代善助(1836年(天保7年)生まれ、は蒲生郡朝日野村鋳物師(現東近江市)の土田藤助の三男次助で、1862年(文久2年)27歳の時、2代目周願の長女美恵子の入り婿になった。
彼は京都に「近江屋」を出店した。染呉服、関東織物、金巾染、裏地類を扱ったが時流を読み、絹織物、洋服生地及び付属品の製造販売にいち早く進出した。
1892年(明治25年)、天満織物(大阪)を設立し、イギリス製の新鋭の製織機械を導入して関西の織物工業の先駆者となる。
1904年(明治37年)、周次と改め、4代目に引き継いだ。1906年(明治39年)71歳没。
 
四代善助(1876年)(明治9年)生まれー1943年(昭和18年)没、幼名磯松。京都市立第一商業学校卒。
 
 
商業学校を卒業して上海日進貿易研究所に学ぶ。農業・貿易商・織物商などを営み、大阪金巾製鉄、江商(のちの兼松江商)、山陽紡績などの創立に加わり役員を務める。また、中ノ島製紙・島津製作所などの取締役、天満織物・日本共立生命・関西倉庫・湖南鉄道・近江倉庫・大津電車軌道・日新電機・日本メリヤス・琵琶湖ホテルの各社長に就任。
その他、多数の会社の重役を務めた。この間、明治37年に生地・滋賀県北五個荘村の村長となり、神崎郡立実業学校を創立。滋賀県農会会長も務める。
1908年(明治41年)衆院議員(国民党)に当選、3期務める。ローマで開催の第17回列国会議同盟会議に派遣された。育英事業、社会事業、司法保護事業などに尽力し、実業界・政界で活躍すると共に、私立の天体観測所や東洋美術館を創設し、中国古美術収集家としても知られ、コレクションは京都市にある・私立美術館藤井斉成会「館藤井有鄰」に展示されている。
 
  
 
 
大正初めに家業経営は4代善助の実弟「彦四郎」(3代善助の二男)に委ねた。明治34年、子に家督を継ぎ隠退した。1943年(昭和18年)に没した。
 
五代善助、幼名千次郎は1925年(大正14)年に株式会社藤井商店と改め、1926年(大正15年)に自社工場で毛糸が生産され、これが「スキー毛糸」の始まりであった。
 
3代目藤助の二男、藤井彦四郎、1907年(明治40年)、本家「藤井善助商店」から分家し、糸商「藤井彦四郎商店」(現・藤井株式会社)を創業している。
「スキー毛糸」は、大正期、彦四郎が、共同毛織、共同毛糸紡績(現・倉敷紡績)を興して、「スキー毛糸」のブランドで成功を収めた。
しかし、2000年9月(平成12年)に「藤井株式会社」が経営破綻し、2001年(平成13年)には「スキー毛糸」の営業権は京都の繊維会社元廣(もとひろ)に譲渡された。但し、藤井株式会社(大阪市)は今もレディースアパレル製品卸売業として存続している。
 
 
藤井家は郷里の五個荘に迎賓館を建設し、藤井彦四郎家の住居にもなったが現在「五個荘近江商人屋敷 藤井彦四郎邸」となっている。
 
 
五個荘近江商人屋敷 藤井彦四郎邸
 
昭和7年~3年を掛けたこの迎賓館は、建設費36000円で、当時1000円普請の時代にこれだけの巨費を投じた例がないものだった。
 
<近江の商人列伝、Wikipedia等引用>
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